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2018年8月30日

こんにちは、口腔外科専門医の豊原です。

長かった夏休みもようやく終わりが近づき、
学生さんたちは宿題の追い込み、
お家の方は新学期の準備に追われている
今日この頃でしょうか。
この夏は猛暑、長雨、台風と自然の猛威を思い知らされ、
ここ名塩も随分交通機能麻痺のため、
多々苦労がありましたね。

今回は、以前にもブログで触れた
前癌病変の続きを書きたいと思います。
前は白板症と紅板症について触れました。
今回は口腔扁平苔癬について触れたいと思います。

20180830toyohara.png

20180830toyohara1.jpeg

扁平苔癬は幅1~2㎜ぐらいの
乳白色の細かい線状を示す難治性の病変で、
レース状、網状の模様を呈することが多く、
しばしば白い線状の内側は発赤やびらんを呈します。
しかし、このレース状模様は時間的経過とともに、
赤味を帯びたり、その形状が変わりやす特徴があります。
形状が変わるだけでなく、
接触により出血しやすくなったり、
疼痛が増したり(もしくは軽減してきたり)しやすいです。
この白色線状の病変は角化の異常を示しており、
病変は口腔粘膜のあらゆる所に生じます。
発生部位によりその病変がやや異なります。
頬粘膜では白色病変が主であり、
発赤やびらん、潰瘍を伴うことがあるのが特徴的です。
舌では斑状の白色病変が特徴的で、
小豆大~大豆大の境界明瞭な
乳白色の斑が見られることが多いです。
歯肉では白色線状であることが多く、
びまん性に紅潮しています。
このように扁平苔癬は多彩な像を呈するため、
種々の分類がなされており、
それらの病型を挙げてみると、


①網状型、②丘疹型、③線状型、④斑状型、
⑤びらんまたは潰瘍型、⑥小水疱型、
⑦色素沈着型、などです。

自覚症状としては、接触痛が最も多く、
食物(特にキムチや歯磨き粉などの刺激物、熱いものなど)
がしみたりします。
次いで口腔の荒れ、出血、不快感、
味覚異常、灼熱感などです。
症状は極めて慢性の経過をたどり、
網状型のものは自然治癒も期待できますが、
潰瘍型では自然治癒は期待できません。
経過期間は1~10年程度のものが
多いとされていますが、
まれに癌化することがあるため、
なるべく長期間の経過観察をした方が良い病変です。
扁平苔癬の原因は正確にはわかっておらず、
遺伝的素因や自己免疫疾患、
ストレス、代謝障害、歯科用金属を含むアレルギー、
ウイルス、菌、梅毒などの関与が考えられています。
一方、合併する疾患として、
高血圧や消化性潰瘍、慢性肝炎のうち
特にC型肝炎が報告されています。
C型肝炎との合併率は
日本では40~60%と非常に高値の報告があります。
治療では、局所的にはうがい薬や
副腎皮質ステロイド薬を含む軟膏を使います。
歯科用金属によるアレルギーが疑われる場合は、
まず、皮膚科でパッチテストを受け陽性ならば、
原因と思われる充填物や冠を除去するのが望ましいです。
その他ビタミンAや
ビタミンA誘導体の内服が有効とされていますが、
ビタミンA誘導体は副作用がかなり強く出るため、
安易な内服は避けるべきです。
どちらにしても、
この疾患は長く付き合っていく必要があるため、
当初は軟膏や含嗽薬を用いても結局のところ
効果が十分得られるとは限らず、
長期経過観察を必ずやっていくこと自体が
一番の治療と考えます。


まだまだ暑い日は続きそうですが、
体調を崩されないよう皆様お気を付け下さい。

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