«  2020年10月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
2020年10月 1日

こんにちは、歯科医師の武田です。
「歯を守るための力のコントロール」について
数回にわけてお話ししていきます。
どうぞよろしくお願いします。

◆ 永久歯の抜歯原因

 公益財団法人8020推進財団が2018(平成30)年に実施した
永久歯の抜歯原因調査によると、抜歯の主原因別の割合で最も
多かったのは歯周病で37.1%、次いでう蝕が29.2%、破折17.8%
埋伏歯5%、矯正1.9%です。また定期的にメインテナンスを
受診している方の統計では、細菌感染のコントロールと早期発見
早期治療の効果で歯周病が21%、う蝕が7%と明らかに減少する
一方で破折は67.5%に及びます。このように細菌感染に対する診断と
対応はある程度確立し、その効果は炎症のコントロールによる
関連疾患の減少、歯の喪失の減少として現れています。

よって歯を守るためには、歯の破折を代表とした
力による歯の喪失を防ぐことが大切です。
では症状を引き起こしている顎口腔系にかかる力を考えていきましょう。

◆ 顎口腔系にかかる力

 力の影響は定量的な測定が難しく、過大な力あるいは持続的な力
に対して、その力を受ける組織に様々な変化が現れるため、偏咀嚼
などの機能のなかで生じているものか、クレンチング、グラインディング
などのブラキシズムや種々の習癖を含む非機能的活動によるものかの判別、
また力の大きさ、力の集中、方向も考慮すべきです。

非機能時に生じる力は無意識化で起こることも多く、感覚受容器による
制御も生じにくいため破壊的影響を及ぼすことがあります。

◆ 歯の接触~咬合の二大要素(かみ合わせで大切なこと)

 歯はステンレススチールの塊ではなく、三つの異種物質で構成され、
中央には歯髄腔があり、歪むべくしてつくられています。エナメル質と
象牙質では耐摩耗性と被圧変位が異なり、上顎の前歯は下顎とは違った
力の受け方を示し、その変化は咬耗とクラックという形で姿を現します。

歯の接触で力をコントロールするには、少しでも下顎が動いたら
臼歯が離開したほうがストレスが加わりにくく、歯の負担は減ります。
この考え方は咬合の二大要素である、
① Posterior occlusal support 臼歯による咬合支持
② Anterior guidance 前歯誘導(犬歯による側方運動のガイド)
の確立が力の制御に必須といえます。上下の犬歯同士の働きにより
臼歯が離れ、側方圧が制御され、歯や歯周組織に負担が
加わらなくなるというのが離開の主たる目的です。

◆ 開咬(前歯で上下の接触がないかみ合わせ)

 歯周治療でも補綴治療でもその対応に困るのは開咬です。
前歯部に接触がないためAnterior guidanceが全く得られず、
臼歯は常に負担過重の状態にあり、力の影響を強く受ける歯周疾患に
罹患すると改善が難しく、歯の咬耗や破折も生じやすいのです。
そのほかにも正常な嚥下ができなかったり、顎関節に異常が起こりやすい
などのデメリットがあります。これは小児の定期健診の重要性にもかかわり、
上顎乳中切歯が抜けた後、すぐに後継永久歯が萌出してくることが理想
ですが、萌出するまでの間に時間を要すると、前歯の隙間を舌で閉鎖して
発音したり嚥下する習慣がついてしまい、乳歯列期に開咬はなくても
将来開咬になってしまうこともあります。また卒乳が遅くなることによる
乳児型嚥下(舌を突出して嚥下する習慣)や指しゃぶりに伴う舌突出癖
も開咬の原因となります。よって上顎中切歯の萌出が遅れて舌突出癖が
確認できた場合は、早期の切開開窓術や、悪習癖の改善が必要で
将来の開咬を防ぎ、Anterior guidanceによる力のコントロールを
可能とし、歯を守れるようにしていくことを考えるようにします。


今回の「いただきます」

20201001takeda1.jpg

宇治抹茶エスプーマ氷


歯の健康、美しさを保つには、
定期的なクリーニングがとても大切です
ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。
ご来院お待ちしております。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年9月24日

少し暑さも和らぎましたが、如何お過ごしでしょうか
歯科医師の川村です。

今回は、親知らずに関してです。

§0 親知らずって何?
専門的には、第三大臼歯(智歯)と呼ばれています。
前歯から数えると8番目にある歯になります。
一番最後に、一番奥に生えてくる永久歯です。
一番最後に生えてくるので、顎骨の中で生えてくるスペースが不足しがちになり、
正常に生えてくるのが難しくなります。
このことが原因で腫れたり痛みが出てきたりします。

20200928kawamura1.png

§1 智歯の疾患
①智歯周囲炎
奥歯の辺りが腫れて痛い場合、智歯周囲炎かもしれません。
虫歯ではなく、智歯周囲組織の炎症です。
智歯は、歯列の最後方で半埋伏(中途半端に生えている状態)
になることが多いです。
この状態では、歯の一部が口腔内に出ていても他の部分は粘膜で覆われています。
そのために粘膜と歯との間に深い歯周ポケットが形成されて、
その中で細菌が増殖して炎症が起こることがあります。
また、盛り上がった粘膜を咬んでしまい、傷が出来て起こることもあります。
下顎に起こることが多いです。

②萌出するときの痛み
智歯が萌出するときに、周囲の歯茎や隣の第二大臼歯を押してしまうために
生じることがあります。
智歯が萌出するスペースがあれば断続的な痛みが続いた後、
歯茎が膨らんできて萌出してきます。
萌出スペースが不足すると押す力が強くなり痛くなることがあります。

③齲蝕
智歯は一番奥にあるため歯ブラシが届きにくいため、デンタルプラークの除去が
困難で不潔になりやすく、齲蝕になりやすい傾向があります。
他の歯と同様に齲蝕の痛みが出てきます。


§2 治療方法
智歯周囲炎の場合、急性炎症時は安静と局所洗浄、抗菌薬の投与、鎮痛剤の投与
を行います。
加えて、膿瘍(膿がたまった状態)が出来ていれば、切開して排膿(膿を出す)
を行います。
ただし、炎症が軽快しても智歯がある限り再発を繰り返すことがあるために、抜
歯をすることが多いです。
症状があるときに抜歯をすると、麻酔が効きづらかったりするので、症状が軽快
してから抜歯を行うことが多いです。
薬で軽快したとしても、基本的には、親知らずがある限り症状が再発する可能性
があります。

§3 抜歯の後に
抜歯後に起こりやすいのは、腫れと痛みです。
特に下顎の智歯抜歯後には腫れることが多く、骨を削ったりすると腫れが出やす
いです。腫れが外に広がると頬が膨らんで見えて、上方へ向かうと顎の関節周囲
に近づくために口が開けづらくなることがあります。
腫れに関しては、抜歯後2~3日がピークで大体は1週間程度で収まることが多いで
す。抜歯後に多いトラブルとしては、ドライソケットと呼ばれる症状があります。
抜いた箇所がズキズキと痛み出すことがあります。
通常は、抜いたところの穴の部分は、血餅(血の塊)で満たされます。
その血餅がとれた状態がドライソケットです。
下顎に起こりやすいですが、予測は困難です。
この場合は、傷口に軟膏のガーゼを詰めて蓋をし、頻回のガーゼ交換、消毒をし
ながら傷口の回復を待ちます。

智歯の抜歯は小手術です。
体調が優れないと抜歯できない可能性もあります。
体調を整えて受診してください。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年9月17日

こんにちは、歯科医師の村重です。
ようやく外の暑さもひと段落といった様子で、
外で過ごしやすい季節になってきましたね。
自粛からの猛暑でなまった身体をすこしずつ慣らしていこうと思います。

さて、歯を失った時にそれを補う方法として義歯(入れ歯)がありますが、
本格的な義歯が最初に作られたのは日本だということをご存知でしょうか。
古代エジプトの昔から、歯の抜けた所に人工の歯を補うという考え方が
あったと言われています。
しかし、これらが生存中に「入れ歯」として使用されていたのか、
または死後、装飾品としてはめ込まれたものか、詳しいことはわかっていません。
近世ヨーロッパにおいては、動物の骨や抜けた歯を削り、
スプリングなどで固定するという方法がありました。
けれどもこれらは、外見の回復が主で、
まだ食べ物を噛むという実用性には欠けるものだったようです。
そんな中我が国では西欧より200年も早く、
いわゆる噛める総義歯が実用化されていたといわれています。
ツゲの木などを彫刻して仕上げた「木入れ歯」です。
現存している最古の総入れ歯は、和歌山市の願成寺を開山した中岡テイ、
通称"仏姫"と呼ばれる女性のもので、1538(天文7)年に76歳で死去していますので、
すでにこの時代には入れ歯が普及していたことがうかがわれます。
ちなみに、この入れ歯はX線解析と赤外線分析でお歯黒が施されていた
ことが判明しています。
20200917murasige2.jpeg

西欧では、ようやく1800年頃に床義歯が実用化されはじめました。
このように、日本の歯科技術は世界に先駆けていたことになります。
明治時代以後、西欧からゴム床義歯が導入され、
人工歯も従来のろう石や動物の骨に変わって陶器の歯、
いわゆる陶歯が開発され、日本でも製造されるようになり、
歯科の歴史にも文明開化がおとずれました。
しかし、大正時代に入っても義歯はまだまだ一部の階級の人々のものでした。
同時に、製品としての義歯の耐久性、衛生性、
審美性などは現在から見ると比べものにならないものでした。
ゴム床義歯昭和初期ドイツでアクリル系樹脂による義歯床が開発され、
その後まもなく我が国に紹介されました。
このアクリル義歯床の登場は画期的な出来事で、従来のゴム床に比べ、
天然の歯ぐきの色によく調和し美しく、歯科医師の方々にも喜ばれました。
現在ではアクリルレジンによる義歯床が主流となっています。
いつの時代も失った歯の機能、そして審美性を取り戻すために
様々な試行錯誤を繰り返し、現代の歯科医療に引き継がれています。
日々の診療でもそんな歴史に恥じないように、勉強を続けていきたいと思います。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年9月10日

こんにちは。
歯科医師の今泉です。
日本の昔の人は、歯磨きをどうしていたんだろうとよく考えることがあります。
最近では研究が進み、
江戸時代の食べ物や歯磨きについて少しずつ解明されているようです。
以下は江戸時代に歯ブラシのような


「房楊枝(ふさようじ)」の写真です。

20200910imaizumi1.jpg

そこで興味深い記事がありましたので紹介させて頂きます。
小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」7月号の記事を紹介させて頂きます。

江戸時代の人骨の歯に残っていた「歯石」からDNAを取り出して、
当時、どんなものが食べられていたのかが分かりました。
昔の人々の食生活を解き明かすのに役立ちそうですね。

 にぎりずし、天ぷら、うなぎの蒲焼きなどが
江戸時代の庶民の人気料理だったことは、浮世絵や書物などで知られています。
しかし、実際にどんな食材を食べていたのか、科学的に分析されたことは、
これまでありませんでした。

 そこで琉球大学や東京大学などの研究チームが、
発掘された人骨の歯についた「歯石」を削り取って分析し、
食べられていた野菜などの種類を明らかにした。
調べたのは深川(現在の東京都江東区)から発掘された
江戸時代後期の町人の骨13体の歯で、内訳は成人男性6人、成人女性7人だ。

 歯石というのは、唾液に含まれるカルシウムや口の中の細菌などが
歯についてかたまったもの。
子どもの歯にはあまりつかないが、大人では、
ていねいに磨いている人の歯にもこびりつく。
最近の研究で、歯石からは、食べた野菜や果物、
肉や魚のDNAが見つかることがわかってきた。
DNAは生物の種ごとに異なるので、
今回、研究チームは歯石から取り出したDNAの違いを読み取って、
野菜などの種類を割り出したのだ。

 DNAからわかった野菜の種類は、イネ(米)、大根、ニンジン、
カボチャ、栗、シソ、ネギ、スイカなどだ。
ということは、江戸時代の人々も私たちと同じ野菜を食べていたのだろうか? 
それらは今の野菜と同じものなのだろうか? 
琉球大学の澤藤りかい研究員(現・総合研究大学院大学の特別研究員)
に聞いてみると、「今回調べてわかったのは植物の種類で、品種まではわかりません。
たとえば大根といっても、色や形、味などが品種によって少しずつ違います。
江戸時代の品種が今と同じとは限りませんが、描かれた大根の絵は、
誰が見ても大根とわかります。
だから、今と同じような大根を食べていた可能性が高いと思います」とのこと。
 今回わかったもののなかに「レタス」も含まれていたが、
おやっと思う人がいるかもしれない。
レタスは明治以降に日本に入ってきた野菜として知られ、
洋風サラダとして食べることが多い。
江戸時代の「レタス」の仲間は「チシャ」と呼ばれ、
現在、私たちが食べている品種とは別のカキヂシャだと考えられる。

 ほかにも、見慣れない「フタバガキ科、生薬(龍脳)」も食べていたようだ。
これは何だろう?

「フタバガキは、マレーシアなどの熱帯に生える木です。
私も最初は、どうして歯石に含まれるのだろうと思って、
江戸時代の文献を調べてみました。
すると、フタバガキ科の植物からとれる『龍脳』という樹脂が、
歯磨き粉の原料として使われていたことがわかったのです。
江戸時代に歯磨きの習慣が庶民に広まっていたことは、
当時描かれた浮世絵などからも知られていますが、
今回分析した歯石のDNAからも裏づけられました」

 タバコ属のDNAも見つかり、すでに喫煙の習慣が広まっていたことも裏づけられた。このように、歯石の分析からは、当時、それぞれの人が食べていたものだけでなく、
その時代の習慣や文化までも探ることができると澤藤さんは言う。

 今回、歯石に含まれるDNAからわかったのは植物ばかりだった。
肉や魚など動物のDNAが含まれていないのは、
歯石には同じ動物であるヒトのDNAがもっとも多く含まれているため、
この研究で用いた方法ではヒトのDNAしか発見できなかったからだという。
今後ほかの動物のDNAだけを標的とした方法で調べれば、
どんな肉や魚が食べられていたかもわかるはずだという。

 澤藤さんは、今後の研究を次のように思い描いている。

「歯石からわかる食べ物の種類も大事ですが、
住んでいる地域や身分で食べ物がどのように違っているかを
明らかにする研究にも力を入れています。
さらに鎌倉時代、平安時代、縄文時代などの人々の歯石も
調べていきたいと思っています」

我々歯科医や衛生士にとって
たまると歯周病の原因になる厄介者の歯石。
しかし、その歯石で
からこれまで謎に包まれていた大昔の人の食や
生活習慣の歴史が解明できるなんて、ワクワクしますね。
さらなる分析で、どんな事実が明らかになるか、今から楽しみです。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年9月 3日

こんにちは。歯科医師の法貴です。
まだまだ暑い日が続いて夜もエアコンがないと眠れない日が続いています。
今回は睡眠歯科についてお話させていただきます。
近年、アメリカで睡眠医学が注目されています。
その理由として睡眠障害、とくに未診断の潜在的な睡眠呼吸障害が及ぼす健康面、
社会面、経済面への影響が明らかになってきたからです。
睡眠と睡眠呼吸障害に関する基本的な知識を紹介します。
私たち歯科医師は、睡眠障害に含まれるもののなかで、
とくに睡眠中に呼吸が困難となる睡眠呼吸障害に対してOA(口腔内装置)を
用いて治療します。
一方、睡眠障害患者のおよそ1/3は、
睡眠呼吸障害の他に別の睡眠障害を併発しているとの報告があります。
まずは、睡眠のメカニズムについてです。
睡眠のメカニズムとしてよく知られているのが「睡眠サイクル」です。
一般的に眠りに入ると「NREM睡眠」が60分前後続き、
その後「REM睡眠」に入ります。
この「NREM睡眠」と「REM睡眠」が1セットになったものを
「睡眠サイクル」と呼び、一晩の睡眠中にこれを4~6回ほど繰り返されます。
睡眠中の心拍数と血圧は、NREM睡眠の間は低くなり、REM睡眠の間は高くなります。NREM睡眠はステージ1~4に分けられ、ステージ1、2は比較的浅い睡眠であり、
ステージ3、4はより深い睡眠であり、
後者には脳と身体を休息させるという重要な働きがあります。
ステージ1~4は、睡眠中に見られる脳波の違いで区別されます。
睡眠の仕組みは、睡眠と覚醒の2つの過程が交互に繰り返されます。
第一の過程は、睡眠欲求の強さである睡眠圧が覚醒中に高まり、
十分に蓄積されると睡眠が始まり、
その後、眠ることにより睡眠圧が解消されるというものです。
第二の過程は、約24時間周期で刻まれる体内時計であり、
睡眠圧とは独立して覚醒シグナルの波を作るといわれています。
睡眠障害とは、正確には睡眠および覚醒における障害全般を指し、
昼夜時間帯の生活に影響を及ぼすものです。
睡眠障害のなかでもっとも多い症状は、「不眠症」と「むずむず脚症候群」です。
睡眠呼吸障害のなかでもっとも多く見られるのが「閉塞性睡眠時無呼吸」です。
閉塞性睡眠時無呼吸とは、睡眠中に重力によって、まず舌根や軟口蓋が沈下し、
そして筋肉が弛緩することにより舌根がさらに沈下し、
その結果、上気道が狭窄し完全に気道が塞がれることで
呼吸がしづらくなる状態のことです。

20200907houki1.jpg
次回は治療の流れについて紹介します。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年8月27日

こんにちは。
訪問担当歯科医師の岩本です。


日頃の訪問診療において、
私達が行っていることは、
歯科医師が行う「治療」と、
歯科衛生士が行う「口腔ケア」
の2本立てです。

今回は、新型コロナウイルス感染症の
重症化を防ぐ効果があるかもしれないと言われている、
「口腔ケア」についてお伝えしたいと思います。

20200827iwamoto1.jpg


口腔ケアによる
~効果その1~誤嚥性肺炎の予防

近年、肺炎が原因で亡くなる日本人の数は、
がんや心疾患に次ぐ多さとなっています。
そのうち、9割以上が65歳の高齢者です。

誤嚥性肺炎とは、
飲み込むべき食べ物や唾液を誤って気道に落としてしまい(誤嚥)、
肺に炎症が起こる疾患です。

通常はむせて咳をすることによって
誤嚥したものを吐き出すことができますが、
不顕性誤嚥といって、
咳反射が起きず、吐き出すことができない状態の方もおられます。

このとき、口腔内が清掃不良のため汚れていると、
それだけ多くの細菌が気道に侵入します。
口腔ケアで食べかすや歯垢を取り除き、常にキレイにしておくことは、
肺炎の発症を抑える上で重要です。


~効果その2~口腔疾患の予防と早期発見

一般外来でも、衛生士によるブラッシング指導というものがあります。
目がよく見え、手も自由に動く若い人でも、
歯磨きはなかなか難しい作業です。

ましてや歳をとると、目は見えにくい、手も動きにくい、
人によっては痛みを感じにくくなることもあります。

他の人が定期的に口腔ケアをすることにより、
虫歯ができていたり、歯肉が腫れていたりといった、
「いつもと違う状態」に早く気付くことが可能となります。


~効果その3~口腔乾燥の改善

唾液の分泌が減少した状態を口腔乾燥症、ドライマウスと言います。

唾液の抗菌作用が期待できなくなり虫歯や口臭が発生する、
咀嚼や飲み込みがしづらくなる、
総義歯が外れやすくなる...

唾液が減ると本当に困ったことになります。

唾液は、頬や下あごにある唾液腺から分泌されていますので、
口の中やまわりの筋肉に刺激を与えることによって、
分泌の増加が期待できます。

口腔ケアの際に、
スポンジブラシなどで粘膜を軽くマッサージするだけでも、
口腔乾燥の改善に役立ちます。


~効果その4~嚥下機能低下の予防

寝たきりになると、
一日で1~3パーセントほどの筋肉が落ちてしまうと言われています。
口まわりも同じで、あまり動かさないと筋肉は衰えます。

筋肉が衰えるということは、飲み込みの力も衰えますので
誤嚥を招いてしまいます。

これを少しでも防止するため、口腔ケア時には
口まわり、首、顔面のストレッチやマッサージを行うのが効果的です。

声をだす、唾液を飲み込んでもらう等の運動を一緒に行うこともあります。

口腔中の粘膜マッサージを行うと、脳の神経も活性化し、
大脳の血流が非常に良くなるため覚醒状態も上がると言われています。

食事の時にシャンと覚醒していることは、誤嚥の防止にもつながります。


~効果その5~健康の保持増進

近年、歯周病や動脈硬化、アルツハイマー型認知症などの疾患と、
歯周病との関連が解明されつつあります。
歯周病で炎症が起きている部分から細菌が血中に入り込み、
全身疾患を増悪させている可能性が示唆されています。

一見、「ただ歯を磨いてるだけ」に見えるかもしれない口腔ケアは、
実は多くの効果が期待できるものなのです。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年8月20日

こんにちは、歯科医師の豊原です。
毎日ものすごい猛暑が続きますが、皆さま体調などは崩していらっしゃいませんか?
こんなにも暑い日が続くと、さすがに身体にも悪影響が出やすくなります。
まずはしっかり水分と塩分を補給して、なるべく日中は直射日光が当たらないよう、
お身体を休めてあげてください。
今回は含嗽薬について書きたいと思います。
すっかり、大阪の吉村知事のお蔭で有名になったイソジンガーグルですが、
ひと昔前までは歯科でよく処方されていました。
イソジンには消毒殺菌効果があるため、抜歯後などの消毒でかつては
含嗽薬として処方されることが多かったのですが、今は保険適用の審査が厳しくなり、
歯科で処方されることが少なくなりました。
そのイソジンガーグル(ポビドンヨード含嗽液)ですが、
一般に流通しているものは7%液で、
1mL中に有効成分のポビドンヨードを70mg(有効ヨウ素として7mg)を含んでいます。
添加物として、エタノールがあるため、
含嗽した時に若干ヒリヒリ感があるのが特徴です。
黒茶褐色の液体で、白い服などに着くとお洗濯してもなかなか取れず、
シミとして残ってしまいますので、
イソジンガーグルでうがいなさる時はくれぐれもお気をつけください。
ちなみにこの黒茶褐色のシミはハイポアルコール液で
嘘のように綺麗に取ることができます。
ヨウ素に対して過敏症の既往歴がある方や甲状腺機能に異常のある方、
まだ甲状腺が成長過程のお子様はイソジンガーグルの使用をお控え下さい。
イソジンガーグルは15〜30倍(2〜4mLを約60mLの水)に希釈し、
1日数回含嗽しますが、これが30倍希釈といっても結構濃く感じ、
なかなか長時間口に含んでいられない方が多いと思います。
しかし、イソジンガーグルは薄めると効果は低下し、
また時間が短すぎても効果が発揮されません。
なので、イソジンガーグルで適切にうがいをしたけれど、口内刺激が強く感じたり、
その他不快感、口内のあれ、口腔粘膜びらん、口腔内灼熱感が起こるようなら、
使用をお控えいただく方がいいと思います。
また、あらかじめ沢山の量を希釈して保管して
ご使用になられる方がいらっしゃいますが、
その都度希釈しないと効果が薄れますので、お気をつけください。
イソジンガーグルは細菌にもウイルスにも殺菌・殺ウイルス効果があり、
たとえば、単純ヘルペスウイルスやコクサッキーウイルス、インフルエンザウイルス、HIVなどにもそれぞれの希釈濃度を満たせば効果が得られます。
しかし、中には結構高濃度でしかも1分以上口腔内に含んでおかないといけないものもあります。
1分はとても長いので、目安としては10秒を
三回くらいと考えていただければと思います。
イソジンガーグルのヒリヒリ感が苦手な方には、
ハチアズレ含嗽薬をおすすめしますが、こちらは喉が痛いとか口内炎が痛いとか、
元々ある炎症に対して抗炎症作用、ヒスタミン遊離抑制作用、上皮形成促進作用があり、口腔内のあれ・痛み・はれを和らげる効能のため、
殺菌効果が得られるわけではありません。
20200821toyohara1.jpeg

いずれにしても、手洗い・うがいは病気予防の基本中の基本なので、
水うがいでも構いません。しっかりしていきましょうね。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年8月 6日

こんにちは、歯科医師の久貝です。
世間は夏休みになり、徐々に暑さ増してきており、本当に「夏!!」
って、感じの季節ですねぇ。

そうなってくると、なってくるのが「夏バテ」ですよね。
暑くなってくるし、汗かくし
ゴハン作るのも面倒臭くなってくるし、
冷たい飲み物が増えるし、そうなって来ると余計に暑さが・・・

もう負のスパイラルです。

そんな時だからこそ、ガッツリ食べて元気を取り戻そうじゃないですか!!
昔からよく言いませんか?

「身体の健康はお口から!!」って

そもそも、食べるという行為は人間の体を維持する上で当たり前で基本的な行為です。
それが出来なくなるという事は生命存続の危機なんですよ!
判ります!?

ところが・・・疲れていると「食べる」という行為自体がツラくなってきます。
高齢者にとっても、それはとても重要なものであり、食事という楽しみを持つことで、
脳へ刺激を与え活性化させる役割もあるのです。
20200806kugai1.png
固形物が食べられなくなっても一口大にする、刻む、ミ
キサーにかけるなどと食事の形態を変えることでいつまでも口から取ることができます。
食事ができなくなるだけで生活の楽しみも減り、
生きる意欲さえ失ってしまう可能性もあるのです。

食事を取ることで人間の生命を維持する栄養素を摂取することができます。
そして食事を食べるという動作には「視覚・嗅覚・聴覚・触覚・咀嚼・嚥下」
などの動きをします。
また口まで食べ物を運ぶという動作では腕を使います。
このように身体の機能の維持はもちろん、
食事に関係する機能の維持のためにも口からの食事はとても大切なのです。
そのために大事になってくるのが、予防歯科になってくるのです。
20200806kugai2.png
「歯医者は歯が痛くなってから」ではなく
「今は痛くないからいいや」ではなく
その前からの予防を心かけましょう

「痛くなってからの治療」よりも、「痛くなる前の予防」の方が
「治療期間」も、「治療費用」も
はるかに「短く」、「安く」終ります。

普段はお家にて、セルフケアを心掛け
約3~4か月に一度の定期健診にて、歯科医師・衛生士にての点検。

「転ばぬ先の杖」ではありませんが、
タニダ歯科にて定期的な健診で、
皆さんのお口の中を健康チェックさせてもらえると嬉しいです。
また、何かわからない点があれば気軽にお伺いしてもらえると嬉しいです。
一緒にお口の健康と体の健康を守っていきましょう

20200806kugai3.png


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年7月30日

こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
皆様は病院へ行かれる際には保険証を持参されると思います。
訪問歯科診療の場でも同様に保険証類を確認します。
これは社会保障制度によるものです。
一般に社会保障とは傷病、労働災害、職業病、障害、老齢、失業、
家族扶養等によって生活上の困難や種々のハンディキャップが生じた場合に
国が行う現金給付やサービス給付の制度を総称するものとされています。
これは日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を
国が責任を持って保障するという社会保障の理念に基づくものです。
日本の社会保障制度は、社会保険、公的扶助、社会福祉、
公衆衛生・医療の各部門があります。
1社会保険
加入者と事業主のかけ金を主な財源として、疾病や障害、老齢、
失業等の生活困難になる原因が生じた時、保険方式を用いて必要な給付を行い、
生活の安定を図る事を目的とした制度。果たす役割によって、医療保険、
介護保険、年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険がある。
・医療保険
加入者またはその家族に業務外の疾病、負傷等の事故が起こった場合、
その治療費や休養に伴う収入の減少による経済的損失を補う目的で
医療サービスや手当金等の保険給付を行う。
・介護保険
加入者が加齢に伴って生じる心身の変化による疾病等で要介護状態になった場合に、
日常生活を営む事ができるよう入浴、排泄、食事等の介護や機能訓練、
看護等、医療サービスや福祉サービスの保険給付を行うもの。
・年金保険
老齢、障害、死亡等で本人または遺族の生活不安を防ぐ為、
定期的に長期にわたって支払われる現金給付制度で、加入者、
事業主、国が費用を負担して運営される。
・労働者災害補償保険
労働者が業務上の理由(または通勤災害)で疾病、負傷、障害、
死亡となった場合に事業主の補償義務を肩代わりして治療費、
休業中の生活費、遺族の生活費等を年金や一時金の形で支給する。
事業主を保険加入者として労働者(またはその遺族)の医療と所得を補償する。
・雇用保険
失業中の生活の安定と再就職の促進を図る目的で、一定期間、
在職時の賃金に代わるものとして基本手当等が公共職業安定所から支給される。
2公的扶助
国が生活不安に陥った全ての人に対してその困窮の度合に応じて
「健康で文化的な最低限度の生活」水準を保障する経済保護とそのサービスをいう。
公的扶助には生活保護、教育補助、公費医療等があり、
生活保護はその中核的な制度である。
3社会福祉
国の扶助の適用を受ける身体障害者、児童、老人、一人親家庭その他の援護、
育成を必要とする人が自立してその能力を発揮できるように必要な生活指導、
更生保護その他の援護育成を行う事をいい、
それぞれの対象者に対して各種の社会福祉法がある。
4公衆衛生・医療
健康増進対策、疾病予防対策、医療機関の整備、生活環境の整備等、
広く国民が健康で文化的な生活を維持する事ができるよう
生活基盤の整備を図る事をいう。

20200801murayama1.jpeg

先に述べた社会保険は
・強制加入
・被保険者と事業主が保険料を支払う
・国が管理する
・負担は所得に応じて行う
といった特徴を有します。また次回、医療保障についてご説明しましょう。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

2020年7月16日

こんにちは、歯科医師の池田です。
毎日雨で気分が憂鬱になってきますね。


今回は、喫煙と口の健康についてお話ししていこうと思います。

「喫煙は身体に悪い」というのは、皆さん知っていると思いますが、
どう悪いのかを今回はお話ししていこうと思います。

タバコの煙の中には、約4000種類の化学物質が含まれ、
そのうちの約200種類が有害物質で、
発癌物質が約70種類といわれています。
さらに、タバコは喫煙者だけの問題ではなく、
タバコから吸い込んだ主流煙を喫煙者が吐き出す
呼出煙と副流煙からなる受動喫煙により
不特定多数の健康までにも悪影響を与える点、
さらに、「タバコを消した後にものこっているタバコ煙による汚染、
残留タバコ成分による健康被害、
三次喫煙による健康被害までも留意する必要があります。


タバコの煙が最初に通過する口腔は、
喫煙の悪影響が最初に貯留する器官になります。
すなわち口腔に貯留、
通過するタバコの煙による直接的影響と血液を介した間接的影響の双方が関わります。
タバコの煙の影響は、
歯肉や口腔粘膜の上皮の厚さやその直下の粘膜下組織に
分布する血管の分布度に依存します。
一般的に、歯肉は硬く角化し、口腔粘膜の上皮は、口腔底、
舌の下、口唇、歯槽粘膜(歯肉の下の部分)で薄く、
硬口蓋(上顎内側)や舌背で厚くなっています。
特に、口腔底粘膜は、物質透過性が高く、薬剤の迅速な吸収を期待して、
薬剤の舌下錠が使用されていることから、
タバコの煙の影響を受けやすいことになります。

タバコに含まれている化学物質であるニコチンの血管収縮作用により
歯肉上皮下の毛細血管網の血流量の減少、
ヘモグロビン量および酸素飽和度の低下を起こします。
そして、長期間の喫煙につれて、
逆に炎症を起こした歯肉出血の減少をきたしてきます。
歯周病喫煙患者において歯肉出血が少ないことは、
疾患の発症や進行の自覚を遅らせることになります。

喫煙は免疫機能に対して抑制的に作用します。
ニコチンは身体を守ってくれる好中球のどんしょくのうや化学走化性を低下させ、
マクロファージによる抗原提示機能も抑制します。
また、粘膜面での局所免疫に関与する免疫グロブリンや、
細菌やウイルス、薬物に対して生体反応を示す免疫グロブリンの低下をもたらします。
したがって、喫煙は歯周病の最大の危険因子です。

受動喫煙により、歯周病、
小児のう蝕や歯肉のメラニン色素沈着のリスクが高くなることもあります。

20200716ikeda1.jpeg

また、小児や乳児は気管支喘息などの呼吸器疾患、
中耳疾患、胎児の発育異常、乳幼児突然死症候群、小児に発育、
発達と行動への影響、小児がん、
さらに注意欠陥多動性障害などの危険因子になります。


喫煙は口腔内の機能を低下させるだけでなく、肺機能も低下させます。
喫煙は成人の肺機能の早期の低下傾向や低下が加速されることにつながります。
ただし禁煙することによって、肺機能の低下は非喫煙者と同等、
つまり通常の加齢現象としての低下と同等にまで復活します。

つまりタバコの煙を吸って吐くという習慣を続けることによって、
タバコの煙が気道や肺胞ひいては免疫系の細胞など広範囲に影響を与え、
持続的に気道や肺胞の刺激、障害が続きます。
さらに時には感染が拡がって肺炎や気管支炎などの状態にまで悪化し、
炎症による組織の壊滅的な障害へと通じ、
またこうしたプロセスが繰り返されることによって、
最終的には肺の組織と機能の不可逆的壊滅状態へと至っていくことになります。


喫煙により口腔内だけではなく、全身にも影響がでます。
肺にタバコの煙がはいることだけではなく、
口腔からも化学物質を吸収することも原因になります。

喫煙をしているけど歯科にずっと受診していない方は、
歯周病が進行している可能性が高いので健診をお勧めします。
歯周病は痛みがないため、かなり重度になるまできづかないことが多いです。
またタバコの影響により歯肉出血もないため、より気付きにくくなっています。
歯周病により減った骨は、もう戻らないため早めの受診をすすめます。


タニダ歯科医院のホームページはこちら:
西宮市・宝塚・三田・神戸市北区の歯科・歯医者ならタニダ歯科医院

Categories

comments

trackbacks

Powered by
本サイトにて表現されるものすべての著作権は、当クリニックが保有もしくは管理しております。本サイトに接続した方は、著作権法で定める非営利目的で使用する場合に限り、当クリニックの著作権表示を付すことを条件に、これを複製することができます。
タニダ歯科医院

医療法人社団
タニダ歯科医院

当院の勤務医が書いているブログです。笑顔になれる内容がいっぱいで、当院をもっと身近に感じることができます

院長ブログ

新スタッフブログ