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2018年9月27日

こんにちは。歯科医師の村重です。

猛暑の夏も終わり、グッと気温も落ちて
風邪を引きやすい季節となりました。
風邪を引いた際に鼻炎持ちの人は、
鼻詰まりがひどくて
辛い思いをすることも多いのではないでしょうか。
こういった症状が増悪すると、
稀に"副鼻腔炎"に移行する場合があります。
副鼻腔炎とはどういった疾患なのでしょうか。


20180927murasige.png

・副鼻腔炎とは

 鼻(鼻腔)の周りには「副鼻腔(ふくびくう)」
と呼ばれる4つの空間
(上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞)があります。
洞の奥の方では脳や眼に隣接しているとともに、
それぞれの洞は鼻腔と連絡しています。
洞内は小さな毛(せん毛)の生えた粘膜で被われ、
分泌物などをせん毛の運動により鼻腔へ排泄しています。

この空洞内で炎症が起きている状態を
「副鼻腔炎」といい、
以前は「蓄膿症(ちくのうしょう)」
という呼ばれ方もしていました。
急性期では鼻づまり、ドロっとした匂いのする鼻汁、
頬・鼻周囲・額及び歯の痛み、顔やまぶたの腫れ、発熱
などの症状を認めます。
これらの症状が一段落したあとも、
なかなかすっきりしないという場合には
炎症が慢性化している可能性があります。
炎症が慢性化すると粘膜が厚くなって、
鼻腔への出口を塞ぐことになり、
洞内で分泌される粘液、膿(うみ)などが
副鼻腔の中に溜まってきます。
また、炎症が続くことにより、
肥厚した粘膜の一部が成長してブヨブヨした塊となって
鼻腔の中に顔を出し、鼻腔をふさいでしまいます。
これが鼻茸(ポリープ)と言われるものです。
慢性副鼻腔炎の症状は、
鼻がつまる、嗅いがしない、
粘り気のある黄色い鼻汁が出る、
あるいは鼻汁がのどの方に流れるなどが一般的ですが、
頭が重い、集中力がないなどの症状を訴えることもあります。
さらには、鼻腔や副鼻腔の炎症が中耳にまで波及して
中耳炎を起こしたり、また、
のどに下がる鼻汁のために慢性咽喉頭炎、
慢性気管支炎を起こすこともあります。

・診断、治療法
鼻腔の内部の粘膜の腫れ、鼻汁、鼻茸などの状態を観察し、
レントゲン写真やCTスキャンで副鼻腔の状態を確認し、診断します。
慢性副鼻腔炎の治療は、
数回の外来治療で完全に治すことはなかなか難しく、
治療期間はある程度長くなります。
日頃の治療は薬の内服や鼻処置が行われます。
症状や洞の粘膜の変化が高度な場合には
手術が必要となります。
鼻茸が出来ている副鼻腔炎は手術が必要です。
手術は内視鏡を用いてポリープを切除し、
副鼻腔の病的粘膜を可能な限り鉗子で切除します。
鼻づまりを除く目的で、
鼻中隔(鼻腔を左右に区切っている中隔)
の弯曲を矯正したり、鼻茸だけを切除する方法や、
肥厚した下甲介粘膜を切除する方法を
単独あるいは組み合わせて行います。

この「副鼻腔炎」ですが、
実は歯が原因で起こることがあります。
副鼻腔炎の中で最も大きい空洞である上顎洞は
上の奥歯のすぐ上にあるので、
人によっては奥歯の根元が
元々上顎洞に突出している事があります。
上の奥歯に虫歯や歯周病があり、
根元の炎症が起きると、
根元の細菌が上顎洞にまで侵入してしまい、
上顎洞炎になってしまうことがあります。


20180927murasige1.jpg

このように歯が原因で起こる上顎洞炎のことを
「歯性上顎洞炎」と言い、
歯科医院での治療が必要となります。
上記の画像では赤い線で囲まれた歯の周りに炎症が起き、
上顎洞に波及している様子を認めます。
通常の副鼻腔炎の場合は両方の鼻に症状が現れますが、
歯が原因で起きた副鼻腔炎は、
原因の歯がある側だけの症状が多く、
急性の場合は、歯の痛み、頬の痛み、
臭いのある鼻水が出たりします。
上顎洞炎のうち、
歯が原因の「歯性上顎洞炎」は全体の10~30%を占めています。
急性の場合は、洗浄や抗生物質を投与し、消炎させます。
慢性の場合は、感染源の除去が必要ですので、
根っこの治療、歯周病の治療で
改善できないようであれば残念ながら抜歯となります。
抜歯を行うと抜歯したところと上顎洞が繋がりますので、
その穴から何度か洗浄を行います。
抜歯後の穴が小さい場合は自然に塞がります。
しかし大きい場合は、
いつまで経っても自然に塞がらず、
飲み物を飲んだ時に鼻から流れてきてしまいますので、
穴を塞ぐ処置が必要になります。
このように、一見歯科とは無関係と思われる疾患も、
思いがけず歯が原因となっていることがあります。
定期的な健診を行うことで、
可能な限り予防することが大切ですね。

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