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2019年4月 4日

こんにちは。訪問診療担当の岩本です。

桜の花って良いですね。個人的に、桜は花の中でも別格だと思っています。
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訪問診療での歯科医師の仕事は、虫歯の治療、抜歯、色々とあるのですが、中でも義歯(入れ歯)を作ることは、大きな割合を占めています。

たくさんの歯を失ったままにしておくと、

(固形の)好物が食べづらくて悲しい、
噛み砕けないので丸呑みすることにより誤嚥や窒息のリスクが上がる、
よく噛まずに食べると胃腸への負担が大きくなる、
顎を使わなくなるので口まわりの機能が衰える、
失ったのが前歯なら見た目が老ける、
空気が漏れて話しづらい、

と多くの困りごとが発生します。

ですので、ご希望の方には義歯を作りますが、
「入れ歯を作って、何でも美味しく食べられるようになりましょうね」
という勧め方をすることは、私の場合ほぼありません。

義歯は、うまく作るのも難しいですが、
口に入れて使いこなすのもなかなかに難しいからです。

よく言われるのが、
「義歯は、義手や義足と同じで、使えるようになるには練習と慣れが必要ですよ」
という説明です。

義歯の使用に慣れた方は、頬や舌で器用に義歯を支えてバランスをとり、
お食事をされています。
これが出来るようになるには、ある程度の時間がかかると思われます。

また、一般的には、高齢になるにつれ、
身体的にも精神的にも、新しいものに慣れる力は落ちると言われています。

特に認知症の進んだ方にとっては、
新しい義歯とは「口の中にある、食べられない大きな異物」でしかないことも多く、
入れてもすぐ吐き出されたり、「何を突っ込むんだ」と怒られることもあります。
「口の中にあるのは、噛むための道具だ」と認識していただけない場合は、
新しい義歯を作っても無駄になる可能性が高くなります。
また、壊れていても噛みにくくても今の義歯に強い愛着がある方もいらっしゃるので、
その場合は無理して新しいものを作るのではなく、
修理や、義歯安定剤の使用などで対応できないかを考えます。

義歯の使用を諦めざるを得ない場合もあります。

歯が無いのに、義歯も入れてない状態が長く続くと、
舌と上顎で食べ物を潰すやり方が身についてしまっていたり、
あるいは上下の歯肉でかみ続けたお陰で歯肉がガチガチに硬くなっていたりします。
前者の場合は、義歯を入れても多くのケースで、
上下の「歯」は噛みあわせてもらえません。
後者では、傷も出来ていないのに
「どこもかしこも痛くて窮屈で、義歯は入れていられない」と言われます。
歯肉が硬くなってしまっていて、義歯を支えるクッション性がなくなっているからと、
考えられますが、「無くても噛めるし、入れる必要性が無いから慣らす気も起きない」
という面もあると思います。

また、認知症のため食事を口に溜め込んでなかなか飲み込まないようなケースでは、
義歯を外したほうが、却って食が進む場合もあります。
口の中の大部分を覆っていた義歯を外したほうが、
粘膜への味覚や温度の刺激が強くなり、
人によっては嚥下が促されることがあるようです。
誤嚥を防ぐためには、
上下の歯をしっかり噛みあわせて飲み下すのが望ましいのですが...


このように、義歯を作るにあたっては本当に作った方が良いのか、
しばらく悩むのですが、
「この方は、恐らく義歯は使えないだろうな」と思いつつ作った義歯を、
素晴らしいスピードで使いこなしてくださる方も中にはいらっしゃいます。
そんな時は、自分の見る目の無さを痛感します。


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