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2019年4月25日

歯科医師の片山です。

今回のブログは局所麻酔薬によるアナフィラキシーショックについてです。
局所麻酔薬のアナフィラキシーの頻度は非常に少ないものの、
発症すれば死に至ることもあります。
局所麻酔薬のアナフィラキシーについてはその機序と症状について
書かさせていただこうと思います。
アレルギー反応と全体の中で遅延型アレルギー性皮膚炎が約 80%と頻度は高く、
アナフィ ラキシーは約 1%程度とされています。
局所麻酔薬使用時のアナフィラキシーは局所麻酔薬の中の保存薬、
ラテックスが抗原となりえます。
アナフィラキシーは早急に診断し、治療をできるだけ早期に始めることが、
治療を成功させる鍵であります。
また、アナフィラキシー治療の第一選択薬は酸素、補液、アドレナリンであります。
局所麻酔薬そのものによるアナフィラキシーは
「Anaphylaxis is a serious allergic reaction that is rapid in onset and may cause death」
と定 義されています。
重篤なアナフィラキシーショックでは症 状・所見の進行は非常に速く、
抗原曝露から循環虚脱と 呼吸停止までの中央値は食物では 30 分であります。
昆虫刺傷では 15 分であり、薬物と放射性造影剤では 5 分であります。
治療が遅れれば死に至ることもあります。
たとえ死を回避できたとしても 重篤な合併症を残すこともあり、
迅速にアナフィラキシー と診断し治療を開始することが、
救命率を上げる最適な手段であります。

局所麻酔薬には芳香族残基と三級アミンがエステル結合、
またはアミド結合の中間鎖で結ばれた化学構造をもち、
2 種類に分類することができるエステル型局所麻酔薬の
アナフィラキシーの発症頻度は、アミド型のものに比べて高いです。
エステル型局所麻酔薬は、血漿中のコリンエステラーゼで
加水分解されたパラアミノ安息香酸(p-amin- obenzoic acid:PABA)が高い抗原性を
もつため、さらに抗体産生や T リンパ球の感作を促すために、
アレルギー反応が起こりやすいです。
アミド型局所麻酔薬自身によるアレルギー反応 は非常に少ないですが、
リドカイン特異 IgE 抗体によるアナフィラキシー、
プリロカインとブピバカインによる II 型 アナフィラキシーが認められています。

次にアナフィラキシーショックの症状をあげたいと思います。
初期症状としては、死んでいくような不安な感じることが多いです。
そのあと、金属臭様の味や、倒れそうな感じ、めまい感、発汗が
みられることが多いとされてます。これらの症状は心因性反応、迷走神経反射などで
よくみられる症状(血圧低下、顔面蒼白、虚脱、吐き気、嘔吐、発汗など)に
類似しているので鑑別が必要であります。
患者様がこれらの症状を訴えたときには、
アナフィラキシーの発症の可能性があるため、
その病状の進行の有無を十分に観察する必要があります。
一般的にはほとんどの症例で30 分以内にアナフィラキシーが発症するので、
少なくとも30分間は厳密に観察する必要があります。
アナフィラキシーの場合にはさらに進行していき、
顔面蒼白、目の痒み、結膜の腫脹、流涙がみられます。
皮膚症状としては、紅斑、発赤、掻痒、血 管浮腫、蕁麻疹がみられるようになります。
鼻の症状としては、鼻閉、鼻水、口唇および舌の腫脹と顔面浮腫が発現してきます。
さらに進行すれば、
消化器症 状(悪心、嘔吐、腹痛、下痢)、
循環器症状(血圧低下、頻脈または徐脈、不整脈、循環虚脱)、
呼吸器症状(上気 道浮腫、嗄声、喉頭絞扼感、喘鳴、呼吸困難、頻脈、胸 部絞扼感、気管支痙攣、ラ音聴取、呼吸停止)、
中枢神経症状として昏迷、意識喪失、痙攣がみられます。
重篤なア ナフィラキシーでは、
これらの症状・所見の進行は非常に速く進み、
一般的に原因薬物の投与後数秒もしくは数分以内に症状の発現がみられるます。
しかし時間単位で徐々に、症状が発現してくる症例もあります。
皮膚症状は 90 %以上に認められます。
ア ナフィラキシーを診断するときには重要な所見であります。
血管浮腫は重篤なアナフィラキシーショックでの
死亡原因の大きな要因でありますので、重症アナフィラキシーショックの
生存例では口唇・顔面浮腫と四肢の浮腫が多いですが、
死亡症例では喉頭・咽頭浮腫や舌の浮腫の発現頻度が高いとされてます。
喉咽頭浮腫がみられたときには早期の積極的な気道確保 が重要であります。

アナフィラキシーショックの治療について。
循環虚脱や重度な気管支痙攣の場合には、心肺蘇生に 準じた治療が必要であります。
気道の確保、呼吸の管理、循 環の管理(救急蘇生の ABC)を行います。
呼吸があるならば 気道の確保を行います。
必要に応じて呼吸補助します。
一方、心肺停止であるならば
30:2(胸 骨圧迫:換気)のリズムで100 回/min 以上胸骨圧迫の心肺蘇生(CAB)を行います。
第一選択薬は高流量酸素とアドレナリン補液であります。
あくまでグルココルチコイドドと抗ヒスタミン薬は第二選択薬であります。
アドレナリンはα1作用による血管収縮、末梢血管抵抗 増加、粘膜浮腫減少、
α2作用によるノルアドレナリン放出抑制、
β1作用による心筋収縮力増加、心拍数増加、
β2作用による気管支拡張、脱顆粒抑制などの薬理作用により
アナフィラキシーの治療に適しています。
アナフィラキシーによる循環虚脱や気管支痙攣発による
死亡はアドレナリンの投与遅延や不十分な投与量に密接に関連しており、
可能な限り早めに投与すべきであります。
アナフィラキシーショック治療時にはアドレナリン投与の禁忌はありません。
アナフィラキシーショックでは末梢血管拡張と毛細管透過性亢進により、
循環血液の血管外漏出が起こります。
発症10分後までに循環血液量が50 %まで血管外に漏出し、
重篤な循環血液量低下性ショックの病態になります。
初期治療として積極的な輸液治療が必須であります。
アナフィラキ シー患者が坐位のときには虚脱心臓の状態に陥るために、
仰臥位で下肢挙上の体位が強く勧められております。
仰向けで足を上げた状態です。

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