«  2020年2月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29

« 悪性黒色腫について | メイン | 「摂食・嚥下障害とは③〜食べるを支える〜」 »

2020年1月30日

こんにちは。
歯科医師の今泉です。
コロナウイルスによる新型肺炎が世界的に流行の兆しを見せていますね。
予防策としては咳エチケット•手洗い・マスクなどを行う事がとても大事のようです。
今回は歯科とも関係の深い肺炎について説明したいと思います。
 


それは誤嚥性肺炎です。

物を飲み込む働きを嚥下機能、口から食道へ入るべきものが気管に入ってしまうことを、
誤嚥と言います。誤嚥性肺炎は、嚥下機能障害のため唾液や食べ物、
あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。

症状

高齢者では肺炎としての症状、すなわち発熱、咳、痰といった、
肺炎の典型的な症状に乏しく、何となく元気がない、食欲がない、傾眠などといった
症状で発症することが多いのが特徴です。食事摂取との関係や、
むせこみなどの症状がなく、睡眠中など知らないうちに気管や肺へ唾液が垂れこみ、
いつの間にか誤嚥を繰り返している不顕性誤嚥も、高齢者に特徴的です。

20200130 imaizumi 1.jpg

発症のメカニズム

高齢者や神経疾患などで寝たきりの患者では、
口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、
この場合、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖してしまいます。
また、高齢者や寝たきり患者では咳反射が弱くなり嚥下機能が低下します。
その結果、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、肺炎を発症します。
また、栄養状態が不良であることや免疫機能の低下なども発症に関与してきます。
他方、嘔吐などで食物と胃液を一度に多く誤嚥して発症する場合もあります。


治療
肺炎を起こした細菌に対して有効な抗菌薬による治療を行います。
全身状態、呼吸状態が不良な場合は入院による治療を行います。
一般的に、食事や飲水とともに誤嚥が発生しやすいため、
誤嚥性肺炎と診断された場合には、一旦飲食を禁止して治療を行います。
そのため体力や栄養状態の低下が生じやすくなります。
また再発を繰り返しやすく、繰り返す抗菌薬治療により、
抗菌薬に抵抗性の耐性菌が発生し、体力の低下、呼吸状態が悪化して、
予後不良となる場合も少なくありません。


肺炎の重症度判定
レントゲンや身体所見による重症度判定で以下の5項目のうち3項目以上を
満たした場合、肺炎は重症と判定されます。

1. レントゲンで肺炎の広がりが左右どちらかの肺の2/3以上
2. 体温が38.6℃以上
3. 脈拍数が1分間に130回以上
4. 呼吸数が1分間に30回以上
5. 脱水あり

 検査による重症度判定で以下の5項目のうち3項目以上を満たした時、
肺炎は重症と判定されます。
1. 白血球数が20000以上
2. 白血球数が4000未満
3. CRPが20mg/dl以上
4. PaO2(動脈血の中の酸素の量)が60Torr以下
5. SpO2(血中酸素飽和度)が90%以下
 これらの重症度判定で重症と判断された場合、
他の基礎疾患がある場合(肺癌・慢性の肺疾患・糖尿病など)、
酸素投与が必要な場合、食事が摂れないとき、高齢者で通院が難しい場合は、
入院して治療が行われます。
 
誤嚥性肺炎を起こしやすい高齢者の特徴
 
 ・飲み込みが悪くっている
 ・胃液が逆流しやすい
 ・薬の副作用 
 ・認知機能や咳反射の低下
 ・口腔内が不衛生
  などがあげられます。

口腔ケアの重要性
  
  肺炎の成立因子である口腔内の細菌のコントロールという意味では口腔ケアは、
誤嚥性肺炎の予防に最も重要と思われます。
口腔細菌数、特に咽頭細菌数を減少させることが必要とされています。
口腔細菌数を減少させるには、プラークコントロールが重要となります。
歯がある方やや義歯装着者の場合には、歯および義歯の清掃にも十分な配慮が必要です。
デンタルプラークは典型的なバイオフィルム(菌のバリア)であるため、
個人的に行うブラッシングのみでは完全に除去することが不可能です。
ましてや、要介護者においては専門家による口腔ケアが必要となります。
バイオフィルムは機械的な方法いわゆるPMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)を用いない限り、化学的な方法のみでの除去は不可能です。
この場合には、歯科医、歯科衛生士の果たすべき役割は大きいと言えます。

20200130 imaizumi 2.jpg

タニダ歯科医院では訪問診療でも口腔ケアを行っており、お悩みや分からない点などありましたらお尋ねください。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
https://www.tanidashika.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/4457

Categories

Powered by
本サイトにて表現されるものすべての著作権は、当クリニックが保有もしくは管理しております。本サイトに接続した方は、著作権法で定める非営利目的で使用する場合に限り、当クリニックの著作権表示を付すことを条件に、これを複製することができます。
タニダ歯科医院

医療法人社団
タニダ歯科医院

当院の勤務医が書いているブログです。笑顔になれる内容がいっぱいで、当院をもっと身近に感じることができます

院長ブログ

新スタッフブログ