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2020年7月16日

こんにちは、歯科医師の池田です。
毎日雨で気分が憂鬱になってきますね。


今回は、喫煙と口の健康についてお話ししていこうと思います。

「喫煙は身体に悪い」というのは、皆さん知っていると思いますが、
どう悪いのかを今回はお話ししていこうと思います。

タバコの煙の中には、約4000種類の化学物質が含まれ、
そのうちの約200種類が有害物質で、
発癌物質が約70種類といわれています。
さらに、タバコは喫煙者だけの問題ではなく、
タバコから吸い込んだ主流煙を喫煙者が吐き出す
呼出煙と副流煙からなる受動喫煙により
不特定多数の健康までにも悪影響を与える点、
さらに、「タバコを消した後にものこっているタバコ煙による汚染、
残留タバコ成分による健康被害、
三次喫煙による健康被害までも留意する必要があります。


タバコの煙が最初に通過する口腔は、
喫煙の悪影響が最初に貯留する器官になります。
すなわち口腔に貯留、
通過するタバコの煙による直接的影響と血液を介した間接的影響の双方が関わります。
タバコの煙の影響は、
歯肉や口腔粘膜の上皮の厚さやその直下の粘膜下組織に
分布する血管の分布度に依存します。
一般的に、歯肉は硬く角化し、口腔粘膜の上皮は、口腔底、
舌の下、口唇、歯槽粘膜(歯肉の下の部分)で薄く、
硬口蓋(上顎内側)や舌背で厚くなっています。
特に、口腔底粘膜は、物質透過性が高く、薬剤の迅速な吸収を期待して、
薬剤の舌下錠が使用されていることから、
タバコの煙の影響を受けやすいことになります。

タバコに含まれている化学物質であるニコチンの血管収縮作用により
歯肉上皮下の毛細血管網の血流量の減少、
ヘモグロビン量および酸素飽和度の低下を起こします。
そして、長期間の喫煙につれて、
逆に炎症を起こした歯肉出血の減少をきたしてきます。
歯周病喫煙患者において歯肉出血が少ないことは、
疾患の発症や進行の自覚を遅らせることになります。

喫煙は免疫機能に対して抑制的に作用します。
ニコチンは身体を守ってくれる好中球のどんしょくのうや化学走化性を低下させ、
マクロファージによる抗原提示機能も抑制します。
また、粘膜面での局所免疫に関与する免疫グロブリンや、
細菌やウイルス、薬物に対して生体反応を示す免疫グロブリンの低下をもたらします。
したがって、喫煙は歯周病の最大の危険因子です。

受動喫煙により、歯周病、
小児のう蝕や歯肉のメラニン色素沈着のリスクが高くなることもあります。

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また、小児や乳児は気管支喘息などの呼吸器疾患、
中耳疾患、胎児の発育異常、乳幼児突然死症候群、小児に発育、
発達と行動への影響、小児がん、
さらに注意欠陥多動性障害などの危険因子になります。


喫煙は口腔内の機能を低下させるだけでなく、肺機能も低下させます。
喫煙は成人の肺機能の早期の低下傾向や低下が加速されることにつながります。
ただし禁煙することによって、肺機能の低下は非喫煙者と同等、
つまり通常の加齢現象としての低下と同等にまで復活します。

つまりタバコの煙を吸って吐くという習慣を続けることによって、
タバコの煙が気道や肺胞ひいては免疫系の細胞など広範囲に影響を与え、
持続的に気道や肺胞の刺激、障害が続きます。
さらに時には感染が拡がって肺炎や気管支炎などの状態にまで悪化し、
炎症による組織の壊滅的な障害へと通じ、
またこうしたプロセスが繰り返されることによって、
最終的には肺の組織と機能の不可逆的壊滅状態へと至っていくことになります。


喫煙により口腔内だけではなく、全身にも影響がでます。
肺にタバコの煙がはいることだけではなく、
口腔からも化学物質を吸収することも原因になります。

喫煙をしているけど歯科にずっと受診していない方は、
歯周病が進行している可能性が高いので健診をお勧めします。
歯周病は痛みがないため、かなり重度になるまできづかないことが多いです。
またタバコの影響により歯肉出血もないため、より気付きにくくなっています。
歯周病により減った骨は、もう戻らないため早めの受診をすすめます。

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