2021/11/05
こんにちは。院長の谷田です。
11月23日は年内最後の祝日、
「勤労感謝の日」ですね。
文字からすると
「働く人に感謝する日」だと思われがちですが、
実はそれは少し違います。
この日は
勤労を尊び、
生産を祝い、
国民がたがいに感謝しあう日
つまり、
「『働くこと』そのものに感謝する日」なんですね。
今年最後の祝日を、
日頃がんばっているご家族や自分へのご褒美として
ゆっくり過ごしてみるのはいかがでしょうか。
さて、そんな「勤労」といえば、
近ごろは男女関係なく仕事をしている人が多く、
なかには、妊娠中でも働くお母さんもいらっしゃいます。
しかし、妊娠中の身体には様々な変化が起こるため、
今までのようにいかないこともたくさんあります。
そしてそれはお口の中でも同じ。
皆さんも、
「妊婦さんは、むし歯や歯周病になりやすい」
といった話を聞いたことはないでしょうか?
今回はそんな妊娠中に増える、
お口のトラブルについてご紹介します。
◆妊娠中はお口のトラブルの悪循環に注意!!
妊娠すると女性ホルモンが増加します。
実は、歯周病を引き起こす歯周病菌の中には
「女性ホルモンによって活発化」するものがあり、
歯周病のリスクが増大します。
すると、歯ぐきに腫れや出血がみられるようになり
さらに、お口の中がネバネバするなど
不快な状態になることが少なくありません。
また、ホルモンバランスが乱れると
「妊娠性エプーリス」という病気になり
歯ぐきに「できもの」ができることもあります。
これらはいずれも、
「痛み」や「出血」を伴うため、
歯みがきしづらくなります。
すると、
お口の細菌がどんどん増えることになり、
歯周病がさらに進行して、
もっと腫れや出血がひどくなる…。
こうした悪循環になってしまうのです。
もちろん、細菌が増えれば歯周病だけでなく
むし歯の危険性も高まります。
◆母体だけじゃない!
歯周病は赤ちゃんにも影響が…
さらに、歯周病はお口の中のトラブルに留まらず、
赤ちゃんにも影響を及ぼします。
歯周病はお口の中だけでなく、血管内に細菌が入り込んで
全身に影響を及ぼします。
実は、妊娠中に歯周病になると
「低体重児・早産のリスク」が高くなる
ということが明らかになっているのです。
日々の歯みがきは、歯周病予防の基本!
ですが、
妊娠中はつわりがひどいと
歯みがきが難しいこともあります。
そんな時は、
・歯みがき粉の味を変える
・洗口液を使う
それも難しければ、
うがいをするだけでもいいので、
お腹の赤ちゃんを守るためにも
お口を可能な限り清潔に保つように
心がけてみてください。
◆妊娠中でも治療はできる?
妊娠中の歯科治療というと、
赤ちゃんへの影響を気にして
治療をためらうお母さんもいらっしゃいます。
しかし、病気を放置していると
お母さんのストレスが増えたり、
低体重児・早産のリスクが高まったりして、
かえって悪影響を与えることも。
そのため、しっかり治療するほうが
赤ちゃんにとってもお母さんにとっても、
確実にメリットがあります。
安定期に入れば、
ほとんどの治療を受けていただくことができますし、
麻酔やレントゲンなども
胎児にほぼ影響はありません。
また、安心してお産に臨めるよう、
妊娠初期と安定期には
歯科検診を受けましょう。
心配事などのストレスは溜め込まないように、
気になることがあればいつでもご質問ください。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
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2021/11/04
こんにちは。往診担当の歯科医師の西田です。
この頃めっきり寒くなってきました。
秋の深まりを体感しながら、気がつくと、
炬燵やミカンが輝いて見える季節が到来していそうですね。
さて、今日のお題は‘’口腔ケア‘’です。
通常、訪問診療のご依頼を受けて、患者さまのご自宅や施設に伺い、
診察後に患者さま・ご家族さまに、治療計画についてお話しをさせていただきます。
その時に歯科医師が行う治療の他に、歯科衛生士が行う口腔ケアも、
おすすめをさせていただいております。口腔ケアってそんなに良いもの??
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
以下に、おすすめする理由をご説明します。
ご高齢の方の中には手の不自由な方、寝たきりの方も多く、
ご自分での歯磨きは困難を極めます。
お口の中に汚れが蓄積した状態は、歯や歯茎や粘膜を傷め、
新たな虫歯の発生や、歯が抜けて入れ歯が使えなくなる原因、
慢性的な歯茎の腫れや痛みの原因、口内炎の原因などになります。
口腔ケアでは、患者さま一人一人のお口の状況に合わせた歯ブラシや歯間ブラシ、
スポンジブラシ、時には機械なども使い、丁寧に汚れを取っていきます。
そして、ご高齢の方が特にかかりやすい誤嚥性肺炎は、
お口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に気管などに入ることでおこる肺炎です。
口腔ケアでは、その原因となる細菌や汚れを取り去って綺麗にします。
また、飲み込みに関係する筋肉をマッサージすることにより、
筋肉のリハビリを行い、飲み込みの機能の改善を図るため、
誤嚥性肺炎の予防にもつながります。
口腔ケアによって食べ物を噛んだり飲み込んだりすることができるようになると、
体力や体の抵抗力がつき、全身の健康状態が良くなります。
さらに、ご家族や親しい仲間とのお食事や会話は、
脳への血流アップにつながり、脳の働きを活発にします。
何かにチャレンジしようという意欲も出てくるので、
閉じこもりや認知症の予防にもなります。
口腔ケアは、お口の中を清潔にするだけではなく、お口の機能を維持・改善し、
全身的な感染症を防ぐ、歯科訪問診療の重要な分野なのです。
口腔ケアの主な効果、まとめますと、
・お口の中を清潔に保って細菌の増殖を防ぐ。
・体力や体の抵抗力をつける。
・唇や頬、舌の動きを良くする。
・会話などのコミュニケーションを良くする。
・唾液の分泌を促し、お口の中の乾燥を防ぐ。
・誤嚥性肺炎など全身的な感染症を防ぐ。
・味覚を保ち、食欲を増進させる。
・閉じこもりや認知症を防ぐ。
最近の研究では、お口の中の細菌と認知症の関係も明らかになってきています。
脳と血管の間には脳血管関門というバリアがあり、
有害な物質が脳に入ってくるのを防いでいます。
ある種の歯周病菌の感染で炎症が起きると、
認知症の発症に関わるアミロイドβという物質ができます。
この有害物質が血液中に入ると、
脳血管のバリアを通過して脳内に入り込み、蓄積されるのだそうです。
認知症の予防に口腔ケアは欠かせないですね。