顎関節症について

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

顎関節症について

こんにちは。歯科医師の法貴です。

今年も残すところ1週間となりました。

年末に疲れが溜まってくるとストレス等で顎が痛い事があるかもしれません。

今回は顎関節症についてです。

「口を開けるとカクカク音がする」

「あごの周りが重い、痛い」といった症状は、顎関節症かもしれません。

 

顎関節症は、その原因や症状によって主に4つのタイプに分類されています。

各タイプの詳細な病態と症状

I型:咀嚼筋痛障害(筋肉の異常)

病態:ストレス、食いしばり、歯ぎしりなどにより、

あごを動かす筋肉(咀嚼筋)が持続的に緊張し、血行不良や炎症を起こしている状態です。

特に、頬にある咬筋やこめかみにある側頭筋に硬いしこり(トリガーポイント)ができ、

これが痛みの原因となります。

 

症状

頬やこめかみ周辺の筋肉痛。

口を開けたり、食べ物を噛んだりする動作で痛みが強くなる。

筋肉の緊張により、口が開きにくくなる(開口障害)。

 

II型:顎関節痛障害(関節の炎症)

病態:顎関節を包む関節包や、関節を安定させる靭帯に過度な力が加わり、

炎症を起こしている状態です。関節円板障害(III型)に合併して起こることもあります。

 

症状:

耳の穴のすぐ前にある関節部に、鋭い痛みを感じる。

安静時よりも、あごを動かしたときや、関節部を押したときに強い痛みがある。

 

III型:顎関節円板障害(クッションのズレ)

病態:

顎関節の骨と骨の間にある軟骨のクッション(関節円板)が、

本来の位置から前方にずれてしまう病態です。

このタイプは、円板が元の位置に戻るかどうかでさらに細分化されます。

  1. IIIa 復位性円板障害:

口を開ける途中で、ずれた円板を関節頭が乗り越える際に「カクッ」という音(クリック音)が鳴り、

円板が元の位置に戻ります。閉じる際にも音が鳴ることがあります。

症状は主に関節雑音で、痛みは伴わないことも多いです。

  1. IIIb 非復位性円板障害:

円板がずれたまま元の位置に戻れず、関節頭の動きをブロックしている状態です。

これにより、口が指2本分(約30mm)も開かなくなる

「クローズドロック」という重度の開口障害を引き起こすこともあります。

 

IV型:変形性顎関節症(骨の摩耗)
病態:長期間にわたる関節への負担や、III型(円板障害)が進行した結果、

顎関節の骨自体が変形してしまう状態です。

骨の表面がすり減ったり(エロージョン)、骨の縁にトゲのような突起(骨棘)ができたりします。

症状:
口を開け閉めする際に「ゴリゴリ」「ジャリジャリ」といった摩擦音(クレピタス)が聞こえる。
関節の変形により、あごの動きが制限され、開口障害や偏位(あごが曲がって開く)が見られる。
鈍い痛みを伴うこともあります。

顎関節症の治療は、この病態分類に基づいて行われます。

例えば、I型であれば筋肉を緩める治療、III型であれば円板の位置を改善する治療が中心となります。

 

 

今年も一年大変お世話になりました。来年もタニダ歯科をどうぞよろしくお願いします。