西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

知覚過敏症

こんにちは、川村です。

暑い夏になり、冷たい物を飲んだり、アイスクリームなどを食べる機会が多くな

ってきます。

歯がしみる・・・、そんな方も。。。

そこで、知覚過敏について書きます。

 

0.知覚過敏症って何?

象牙質知覚過敏症(Hys)のことで、歯ブラシの毛先が触れたり、冷たい飲食物、

甘いもの、風にあたった時などに歯に感じる一過性の痛みです。

特に齲蝕(虫歯)や歯の神経(歯髄)の炎症などの病変がない場合にみられる症

状を言います。

1.歯の構造

歯というのは、表面をエナメル質という組織で覆われています。

しかし、エナメル質という組織は歯の全周を覆っているわけではありません。

エナメル質の下には象牙質という組織があります。

この象牙質ですが、エナメル質とは違いがあります。

有機質・無機質の割合、硬度など違いは多数ありますが、今回のことで言えば、

細管の存在です。

象牙質には、象牙細管(象牙質にある細い管)があります。

この象牙細管は歯髄(歯の神経)の所までつながっています。

つまり、この象牙細管に刺激が伝わってしまうと神経が感じてしまいしみてしま

うのです。

ちなみに、エナメル質には細管はありません。

通常、象牙質はエナメル質や歯肉に覆われているので、こうした痛みを感じるこ

とはありませんが、極端に冷たいものなどではエナメル質の上からでも温度が内

部の象牙質に伝わって、歯が痛みを感じることもあります。

そもそも、歯自体が冷刺激に敏感です。

しかし、様々な理由で象牙質が露出すると、刺激が神経に伝達されやすくなり、

知覚過敏が生じるようになります。

象牙質が内部の神経にまで刺激を伝えるのは、先程出てきた象牙細管です。

この小さな細管は加齢などにより、少しずつ塞がってくることもあります。

このような場合には知覚過敏は起きづらくなります。

したがって象牙質が露出している時には必ず知覚過敏が起きるということではあ

りません。

 

2.象牙質が露出する原因

①歯肉退縮

歯肉の位置は加齢とともに少しずつ下がってきます。

それに伴って歯根が露出し、象牙質がむき出しの状態になります。

このような象牙質表面では、歯ブラシが触れたり、温度変化などの刺激で痛みを

感じることがあります。

持続時間は長くても1分以内で、時間が経てば痛みは消失します。

歯の表面に歯石がたくさん付いているような場合、それを取り除いた時にも同様

の状態となり、歯石をとっている時にも器具が象牙質表面に触れたり、水をかけ

て処置をするので、知覚過敏と同様の痛みを感じることがあります。

 

②破折

歯が破折してしまい象牙質が露出することがあります。

破折時には、残っている歯に亀裂が入っていることもあります。

亀裂の状態にもよりますが、歯の神経の部分にまで細菌が侵入して炎症を起こす

こともあります。

 

③摩耗、酸蝕症による象牙質露出

摩耗、酸蝕によりエナメル質がなくなると象牙質が露出します。

すり減り具合により症状が出る場合があります。

 

 

3.治療

①知覚過敏用歯磨きの使用

歯の神経の周囲をカリウムイオン(K+)が多く取り巻いていると神経の細胞が興

奮しにくくなるということを利用し、硝酸カリウムという成分を配合した歯磨き

剤を継続使用していきます。

 

②知覚過敏抑制剤の塗布

露出した象牙質の内部の小さな空隙を、歯と同じような成分の結晶や、その他

様々な物質で封鎖することで、歯の神経への刺激の伝達が遮断されて伝わりにく

くなります。

 

③露出した象牙質の被覆

知覚過敏のある象牙質表面を樹脂やセメントで被覆します。

 

④抜髄

知覚過敏は一過性の痛みですが、痛みの持続時間が比較的長いような場合や、

その痛みが非常に激しい場合には、歯の神経を取ることもあります。

あくまでも、最終手段になります。

歯の神経を取ってしまうと歯自体の寿命、耐久性が低下してしまいます。

極力、歯の神経は残しましょう。

 

もちろん虫歯が原因で歯がしみることはあります。

気になる方は早めに診てもらいましょう。