舌ってすごい!

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

舌ってすごい!

こんにちは。歯科医師の今泉です。

歯医者といえば歯と歯肉をみてもらうイメージだと

思いますが、舌もみています。

実は舌にはたくさんの役割があります。

今回は舌の役割について説明します。

 

A味覚

舌の表面には味細胞の集まりである味蕾(みらい)と呼ばれる、

味覚を感じるセンサーがあります。

 

甘味・苦味・塩味・酸味などを感じることができます。

これらの味が複雑に混じり合い、人はおいしさ

楽しむことができます。

 

味蕾は頬の内側や唇にもありますが、大部分が舌にあります。

 

舌上面(舌背)の表面には、舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼ばれる

ざらざらした小さな突起が多数存在します。

実際に味を感知する器官である味蕾(みらい)は、

この舌乳頭の部分に集まっています。

 

舌乳頭には以下の4種類になります。

 

有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)

周囲が凹んだ溝に囲まれ、ちょうどお堀に囲まれた城郭のような

形の円台状の舌乳頭で、舌の付け根(舌根)付近だけに、

10個程度存在します。有郭乳頭の突起の側面には、

一個の突起あたり数百から千個という、多数の味蕾が存在しており、

溝の部分に溜まった液(唾液などの分泌液や食餌由来の液体)に

溶け込んだ味覚物質を感知します。溝にはエブネル腺という分泌腺が

存在しており、そこからの分泌液によって溝の中身は洗い流され、

味覚物質がいつまでも留まりつづけることがないようになっています。

 

葉状乳頭(ようじょうにゅうとう)

ひだ状の形態を持つ舌乳頭で、舌のふちの部分(舌縁)のうち、

付け根に近い部分にだけ存在します。葉状乳頭も突起の側面に

味蕾を持ちますが、その数は有郭乳頭より遥かに少なく、

一個の突起あたり十数個です。葉状乳頭のひだの底にも

エブネル腺が存在し、そこからの分泌液で洗い流されています。

 

糸状乳頭(しじょうにゅうとう)

細くて角質化した先端を持つ舌乳頭で、肉眼で舌を見たときに

白いポツポツとして見える突起です。舌上面の全体にわたって存在します。

糸状乳頭には味蕾は存在せず、基本的な味の感知には関係しません。

糸状乳頭は、舌の「ざらざら」の正体で、食べ物を舐めたとき、

ヤスリのようにこそぎ取る役割を担っています。

 

茸状乳頭(じょうじょうにゅうとう)

糸状乳頭に似ていますが、角質化しておらず、肉眼では

血管が透けて、先端が赤く見えます。糸状乳頭と同様に

舌上面の全体にわたって存在しますが、特に舌先側の表面に

集中しています。茸状乳頭の先端には通常、1〜数個の味蕾が

存在しますが、これが失われた、味蕾を持たないものもしばしば

見られます。

 

 

味蕾の数は乳幼児で約1万個、成人になるにつれて

約7500個まで減少すると言われています。

B咀嚼と嚥下

 

食べ物を咀嚼する時、舌は食べ物を歯と歯の間に移動させ、

歯で食ベ物を噛み砕く時には舌で食べ物を固定します。

そしてかみ砕かれた食べ物を集め、反対側の歯に食べ物を

移動させ、再度咀嚼させます。

 

食べ物が飲み込めるほど十分細かくなると、舌は食べ物を集めて

咽頭に送り込みます。咽頭から食道へ食べ物を送り込むために、

舌で押し込む筋力が必要になります。

 

咀嚼・嚥下をしやすくするために、食べ物と唾液を

混ぜ合わせるのも舌の役割です。

 

しかし舌の機能が低下すると、食べ物が上手に

食べれなくなってしまいます。これが咀嚼・嚥下機能障害です。

 

C歯並び

 

舌の存在はきれいな歯の並びにもかかわってきます。

舌が特定の歯を押してしまう癖や舌が左右どちらかに

偏ることが続くと歯並びが乱れてしまうことがあります。

 

D発音

 

私たちが発する言葉にも舌が深く関わっています。

言葉の発声は、肺から押し出される空気が声道を通るとき、

普段は開いている声帯が狭まることにより空気が振動し、

口の中の共鳴によって様々な音に変化させてつくられます。

この時、舌は柔軟に動き、異なった音を発する手助けをしています。

 

 

このように舌は、食事・会話・見た目などに密に関わっており

生活するうえでとても重要な器官です。

 

舌に問題を感じる場合は早めの受診をお勧めします。