「歯を守るための力のコントロール Ⅵ」

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の歯医者「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

「歯を守るための力のコントロール Ⅵ」

こんにちは、歯科医師の武田です。
「歯を守るための力のコントロール」について数回にわけて
お話しさせていただいております。
どうぞよろしくお願いします。

◆ エングラム:engram

咬頭嵌合位へ噛みこむ際のわずかな早期接触や偏心位における
咬頭干渉が存在すると、生体にはこれを避けるように閉口筋と同時に
開口筋も働かせて下顎を偏位させる顎運動パターンが構築される。
これは一般にエングラムと呼ばれ、「機能的咬合系の保護反射(逃避反射)
や条件反射により構築された顎運動パターンであり、わずかな早期接触
や咬頭干渉に対して成立する」と定義付けられている。

たとえば、上顎左側犬歯に早期接触が存在した場合、
このまま放置すると、その後の経過は2つに大別される。
1つ目として下顎の偏位は生じることなく、その原因歯の上顎左側犬歯
の病的な動揺や咬合痛、唇側歯肉の炎症、破折などが発生する。
2つ目としては、原因歯の上顎左側犬歯に著明な症状の発現はなく、
患者はこの早期接触部位を避けるように従来の咬頭嵌合位直前に
通常わずかに下顎を後方へ偏位させて咬合するようになり、
右側顆頭は後上方へ押し込まれるように偏位することになる。
その際、効果的に下顎を後方へ偏位させる役割を果たせるのは
主に顎二腹筋後腹であり、同時に圧痛の発現をみる場合が多い。

エングラムが構築されて下顎の偏位が生じた場合は、
まずエングラムに関連する筋の圧痛として徴候が発現する。
この徴候は現存する咬頭嵌合位が顆頭安定位と不調和である可能性を示唆し、
バイオフィードバックやスプリント療法を応用したディプログラミング
の必要性を診断するうえで有効な指標となる。

◆ 噛みしめが顎口腔系に及ぼす影響と力の適正配分

強い噛みしめにより顆頭は上方へ350±210㎛偏位する。
また、通常健全有歯顎歯列では、咬頭嵌合位で噛みしめた際、上顎6前歯以外
の歯には機能圧はほぼ歯軸方向へ伝達され、ほぼ歯根膜全体に力が分散される。
その際、臼歯部では矢状のスピーの彎曲や側方のウィルソンの彎曲、
そしてモンソンの球面などによって示される咬合平面の彎曲は、
歯冠形態と歯根形態、各臼歯の歯軸配列が調和して構成され、
絶妙な調和を生み出している。すなわち咬合平面の彎曲は、
噛みしめ時の的確な下顎位の保持や顎関節の保護と同時に、
各臼歯における支持組織全体へ機能圧も適正にそれぞれ配分し、
局所へのメカニカルストレスの集中を回避して、
顎口腔系の保全に役立っている。

一方、噛みしめ時に正常被蓋の前歯部では、上顎6前歯に対して
唇側へ押し広げる力がかかり、歯軸は唇側へ傾斜する。
この動きによる前歯部歯槽ソケットの唇側歯頚側への力の集中を
回避するために、上顎6前歯のもつ被圧縮性、唇側歯槽突起部における
骨のたわみ、正中口蓋縫合の緩みとその調節性が共に働くことにより、
上顎6前歯の保全が図られている。
臼歯部による適正な咬合支持が存在する条件では、噛みしめ時に前歯部は、
臼歯部と同様に対合歯と咬合接触が認められるにもかかわらず、
レジストレーションストリップスが引き抜きやすいのも、
同様にこれらの働きによるもので、力学的な上顎6前歯の保護に役立っている。


◆ 力学現象の解析

下顎臼歯の側方荷重解析では、垂直荷重と比較し、側方運動時は、
歯では歯頚部に大きな応力集中を
歯槽骨部では根分岐部に強い応力集中が認められる。

例えば、根分岐部の病変治療に際しては
何故に現状に至ったのかを究明する原因療法と
再発防止のための発症メカニズムの診断が必要で
細菌への対応と、力のコントロールは残存組織保全に必須となり
この応力集中を考慮した咬合診断は不可欠となります。

歯の健康、美しさを保つには、
定期的なクリーニングがとても大切です
ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。
ご来院お待ちしております。

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