デンチャー・プラークについて

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

デンチャー・プラークについて

 

こんにちは。歯科医師の西田です。

桜は終わってしまいましたが、

春 本番、色々な花が順番に咲いていく季節となりました。

芝桜、チューリップ、藤、ツツジ・・・。ですが、

今回のテーマは華々しい春の花とは無縁の、地味な内容になります。

 皆さまは、デンチャー・プラークという言葉を聞いたことはおありでしょうか?

定期的に歯医者に通院されている皆さまは、

プラークという言葉はご存知だと思います。

始めて衛生士さんの歯磨き指導をうけられた時、

歯の表面に付いた白いネバネバは細菌の塊だと伝えられ、

衝撃を受けられた方もいらっしゃると思います。

デンチャーは、歯科用語で入れ歯のことを指します。

そう。デンチャー・プラークとは、入れ歯に付いた細菌の塊のことを言うのです。

私たちは、訪問先のお宅や施設で、皆さまの歯と入れ歯を、

必ず磨いて清潔にして帰ります。デンチャー・プラークも、

歯のプラーク同様、健康を脅かす曲者だからです。

ここで、入れ歯の種類と材質についてお話します。

多くの場合、入れ歯の材料にはプラスチックが使われています。

 

プラスチック製の入れ歯は吸水性があり、汚れや細菌が付着しやすく、

装着中は粘膜と入れ歯との隙間に細菌が繁殖しやすいと言われています。

入れ歯は噛むと微妙に動き、柔らかい粘膜は刺激を受けます。

もしも入れ歯が不潔になると、デンチャー・プラーク中のカンジダと

呼ばれるカビの一種によって、入れ歯に刺激された粘膜に、

口内炎ができやすくなります。

カンジダによる口内炎は痛いため、食欲不振となり、体力が落ちてしまいます。

デンチャー・プラークの影響は、義歯性口内炎にとどまりません。

同一人物の歯のプラークとデンチャー・プラークの細菌の組成は、

似通っているため、デンチャー・プラークは、

残存しているご自身の歯の虫歯や歯周病の原因になりかねないとも言われています。

また、近年は、デンチャー・プラークが誤嚥性肺炎の原因菌や

MRSAの供給源になりうるとの報告もされており、

全身疾患を起こすリスク要因としても注目されています。

 では、デンチャー・プラークにどのように対処すればよいのでしょうか。

ブラシによる機械的清掃と義歯洗浄剤による化学的清掃の併用が有効です。

毎食後、入れ歯を外して清掃し、1日1度は義歯洗浄剤で殺菌洗浄しましょう。

ティッシュコンディショナーなどの仮の裏打ち材、

軟質の裏打ち材などを貼っている入れ歯は、

ブラシで強く擦ると剥がれてしまうため、注意が必要です。

  入れ歯も美味しく食事を摂るためのお箸やお茶碗などの食器と同じように考えて、

使用後は必ず洗って清潔にし、健康な毎日を過ごせるようにしたいですね。