インプラント治療

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

インプラント治療

こんにちは、歯科医師の池田です。

 

歯が何かの理由で無くなってしまった場合の治療方法の1つとして、

インプラントについて紹介しようと思います。

 

インプラントとは、人工の材料や

部品を身体にいれることの総称です。

一般的には人工歯根、正式には口腔インプラントあるいは

歯科インプラント、単にインプラントといいます。

歯科では、歯を失った顎の骨に身体に馴染みやすい材料である

生体材料で作られた歯根の一部あるいは全部を埋め込み、

それを土台にセラミックなどで作った人工歯を取り付けたものです。
インプラント体と周りの骨とは隙間がなく、くっついた状態です。

一方、天然歯の歯根の周りには

クッションの役割を担う歯根膜という組織があります。
そのため、咬むと歯はわずかに沈み込みます。

また、この歯根膜の中には咬んだ時にかかる圧力を鋭敏に感知して、

咬む力をコントロールするためのセンサー(受容体)もあります。
インプラントにはこのようなクッションめセンサーもありません。
骨の弾力によるほんのわずかな沈み込みしか生じません。
咬む力は顎の骨の周りの骨膜、咬むための筋肉、

顎の関節などにあるセンサーによってコントロールされますが、

歯根膜にあるセンサーに比べ感度が劣るため、

咬み合わせには注意する必要があります。

また、インプラントの周りの粘膜は天然歯と異なっています。
歯の場合は歯肉ですが、歯肉はエナメル質と付着上皮と

呼ばれる部分で、その下の結合組織セメント質と結合し、

細菌などが容易に侵入できないようになっています。
インプラントにはそのような構造はなく、

細菌は容易にインプラントと粘膜の間に侵入します。
そのため、歯ブラシによる清掃が重要となります。
インプラントを長く持たせるためには

日常の手入れと定期検診(メインテナンス)が大切です。

インプラントは誰にでも適用するわけではありません。
まず未成年(20歳以下)である成長発育中の子供には

基本的にはインプラント治療はしません。
現在のインプラントは骨と結合するための顎の骨の

発育に伴って骨の中に埋没してしまうからです。
一般に女性は18歳、男性は20歳くらになると

骨の成長が止まるのでそれ以降に治療を始めるのが良いです。
インプラント治療は歯がなくなる40歳後半から60歳代が

中心となりますが、高齢者でも抜歯などの手術を

受けられる健康状態であれば可能です。
心疾患などで症状が重い人や安定していない人は難しくなります。
糖尿病の方は手術後の傷の治りが悪くなり、感染の危険性が増します。
また骨を作る細胞の機能や数が低下して

骨とインプラント体の結合ができなくなる恐れがあり、

治療後にはインプラント周囲炎を起こしやすくなります。
血糖値がコントロールされていない人では

コントロールされるまで治療を延期する必要があります。
また、50歳以降の女性に多い骨粗鬆症は、

骨がやわらかいより硬い方が臨床成績がよいため、

リスク因子となりますが、インプラント体の埋入方法や

骨と結合しやすいとされているインプラント体の

使用などにより対処できます。

しかし、予防薬あるいは治療薬として

ビスホスフォネート製剤を使用している場合は、

手術後に顎の骨の壊死に至ることがあるので注意が必要です。

投薬の種類や期間などによっては治療可能ですので、

主治医に相談することが重要です。
金属アレルギーのある人もインプラント治療が難しいです。
インプラント治療にはいろいろな金属が使われます。

インプラント体にはチタンが使われ、

チタンは金属アレルギーを起こしにくい金属ですが、

全くないわけではありません。
特に他の金属に対してアレルギーのある人は

チタンに対しても起こす可能性が高いためパッチテストや

血液による検査を受けておいた方が良いと思われます。
インプラント治療ができない条件ではありませんが、

喫煙は悪影響がみられます。
喫煙により粘膜の血液の流れが悪くなって、傷の治りや

骨を作る細胞の増殖や分化に影響し骨の治癒が遅れたりします。
喫煙者と非喫煙者では失敗率が喫煙者の方が高いと報告されています。
また、喫煙は手術の結果に影響を与えるだけでなく、

治療終了後の経過にも影響を及ぼすので、禁煙を

メンテナンス期間に入っても続ける必要があります。

インプラント治療は様々な条件がありますが、

治療後のメンテナンスにより長くインプラントを

使っていくことができるのかが決まります。
メンテナンスを行わず、インプラント体が取れてしまった場合、

またオペを行うことは可能ですが成功率や保存が難しくなっていきます。
インプラント治療を行う際は、メンテナスも含め考えてくださいね。