口腔粘膜保護材

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

口腔粘膜保護材

こんにちは。訪問担当の岩本です。

今回は口腔粘膜炎とその薬について

お伝えしたいと思います。

 

口の中に起きた炎症は

一般的には「口内炎」と呼ばれています。

小さいものがたった一つ出来ただけでも

憂鬱になるほどの痛みが出たりします。

 

がんを患っている方が

抗がん剤治療や放射線治療をうけた際には

副作用としてもっと重篤な

炎症が起きることがあります。

がん治療が口腔粘膜に直接影響して

起こる炎症を

「口腔粘膜炎」と呼びます。

 

抗がん剤はがん細胞を壊す一方で

正常細胞にも悪影響を及ぼします。

口腔粘膜は特に影響を受けやすいため、

がん薬物療法を受ける人の40~70%が

口腔粘膜炎を発症すると言われています。

 

炎症は唇の内側や頬の粘膜、舌の縁など

柔らかく動く部分に発症します。

症状のピークは抗がん剤投与後

10~12日後であり、

投与期間が終わると1か月ほどかけて

ゆっくりと治癒していきます。

 

 

 

口腔粘膜炎の発症を予防する方法は

まだ確立されていないので

対症療法でケアを行うことになります。

 

口腔内を清潔に保ち、保湿を行うことが

まず基本ではあるのですが、

 

歯を磨こうにも

水で口をゆすぐだけでも非常に痛く、

痛みのために食事すらままならない、

 

と日常生活にもかなりの支障が出るため

疼痛のコントロールはとても重要です。

 

 

日本では、2018年より粘膜保護の薬剤として

「エピシル」が保険適用されました。

 

 

 

こちらは医師の処方箋が必要です。

また、普通の口内炎で処方することはできません。

 

 

その他にも、2021年から2022年にかけて

以下の2種類が発売開始されました。

これらはネットや電話注文などで

個人購入が可能です。

 

 

「ジェルクレア口腔用液」(テルモ)

 

 

 

 

個包装のジェルを水に溶かして口をゆすぐか、

直接粘膜に塗るタイプのものです。

口内炎の出来ている時に

自分でも使ってみましたが、一度の使用で

ズキズキしていた痛みがすぐおさまりました。

口の中が粘つくような不快感もありません。

 

 

 

「バトラーマウスベール」(サンスター)

 

 

 

容器がスプレー状になっており、

直接粘膜に噴射して使用します。

こちらはまだ使用したことはありませんが

サンスターの方に実物を見せていただいたところ

とろっとしたジェル状に近い液体でした。

 

いずれも粘膜の表面に保護膜を作り、

外からの刺激や感染を防いでくれるようです。

 

 

近年では通勤通学、普段通りの生活をしながら

がん闘病をされる方が増加しています。

日常生活の質を落とさないために

これらの薬剤が開発されたのは

本当にありがたいことだと思います。