西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

生え代わり

こんにちは

歯科医師の池田です。

 

 

歯は気づいたら生えてきますが、いつ頃から出来始めるのかご存知ですか?

実は生まれる前から歯は作られ始めています。

 

胎生7週から10週頃になると、口の表面の上皮細胞が数を増して内部に入り込み、

乳歯の芽となる歯胚(しはい)が形成されます。

また、胎生3ヶ月半頃になると永久歯の歯胚の形成も始まります。

これらの歯胚は数年の期間をかけて歯槽骨の中で発育し、

やがて歯として口の中に生えてきます。

 

最初の乳歯は、生後6ヶ月から8ヶ月にかけて下の中央から生えてきます。

この歯は乳中切歯と呼ばれ、少し遅れてその隣の乳側切歯や、

相対する上の乳中切歯が生えてきます。

1歳半くらいになると1本離れたところに奥歯の第一乳臼歯が、

また2歳までには乳側切歯と第一乳臼歯の間に乳犬歯が生え、

最後に1番後ろの乳歯である第二乳臼歯ぐ2歳半から3歳頃にかけて生えてきます。

 

歯が生える時期には多少の個人差があり、

上記に記載した目安から数ヶ月遅れることもあります。
逆に早い場合もあります。

出生時あるいは生後1ヶ月以内に歯が萌出することがあります。

このような歯を先天性歯と呼んでいます。

先天性歯の大部分は下顎の乳中切歯部位に出ますが、

まれに乳犬歯にみられることもあります。

 

先天性歯の障害として、授乳のときに母親の乳頭を傷つけて乳腺炎を起こすことがあります。

 

また、先天性歯周囲に歯肉炎が生じたり、

乳児の舌下面や舌小帯に潰瘍ができ哺乳障害を起こします。

先天性歯が生えてもこのような症状がみられなければ良いのですが、

出てくる場合には歯科の受診をおすすめします。

 

 

顔や顎さらには全身の成長に対応するために、

乳歯から永久歯への生え代わりが起こります。

赤ちゃんは1歳頃になると母乳や人工乳だけでは栄養の摂取量が不足し、

もっと栄養価の高い固形食品の効率的な摂取に対応するため、食物を咀嚼し、

細かく粉砕するための歯が必要になります。

 

しかし、硬い永久歯ができるためには5年以上の長い時間を費やすため、

まず小さめでエナメル質や象牙質の厚みが永久歯の半分程度と薄く、

成長変化に対してすり減ることができる適度な硬さを持った乳歯が、

生後1〜2年の間に生えます。

その乳歯を使って成長期前半の栄養摂取が進められます。

 

そして、6歳前後から12歳頃にかけて、乳歯から丈夫な永久歯への生え代わりが進み、

1番後ろの第二乳臼歯のさらに後ろに第一大臼歯と第二大臼歯が生えてきて、

大人の顎の大きさと筋肉の強さに適した永久歯の歯並びと噛み合わせが完成します

 

 

6歳前後になると最初の永久歯が生えてきます。

以前は下の第ニ乳臼歯の後ろにある第一大臼歯が、

最初に生える永久歯となるのが普通だったのですが、

最近は下の乳中切歯が永久歯に生え変わる方が早い場合も多いようです。

永久中切歯が生えて6ヶ月から1年くらい過ぎるとその横の側切歯が生え代わり、

さらに数ヶ月遅れて上の側切歯が生え代わります。

 

9歳から12歳くらいにかけては、側方歯群と呼ばれる乳犬歯、第一乳臼歯、

第ニ乳臼歯が順次生え代わり、さらに、これらの歯の1番後ろに第2大臼歯が生えて、

永久歯の歯並びが完成します。

人によっては20歳頃になると、

さらに後ろに親知らず(第三大臼歯)が生える場合もあります。

 

親知らずは退化傾向が強く、生える時期も極端に遅く、

さらに最も奥に生えてくるなど、萌出に伴う障害を受けやすく、

高頻度に萌出異常を起こします。

先天的に欠如する頻度も高く、萌出してこなくても異常とはいえません。

また埋伏することも多くみられます。

下顎の親知らずではたとえ萌出しても傾斜したり、

水平位に半分埋伏したりすることはよく知られています。

親知らずの傾斜や水平位の半埋伏は、

第二大臼歯の後ろの面を不潔にし、

放置すると深部に虫歯をつくります。

また、親知らずの周りは不潔になりやすく、しばしば炎症をおこします。

このため、このような状態の親知らずは通常抜歯の対象となります。

 

 

生え代わりなどに不安があるようなら気軽に聞いてくださいね