知覚過敏について

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

知覚過敏について

こんにちは歯科医師の法貴です。

暑かった夏も終わりに近づいてきて

夜になると少し涼しさを感じるようになりました。

気温の変化で体調を崩さないようにしてください。

 今回は知覚過敏についてです。

知覚過敏は、「象牙質知覚過敏」と称されるとおり、

象牙質の露出が発生していることが前提となっています。

その多くが歯冠歯頸部と露出棍面に見られ、

また上顎犬歯と下顎前歯部でもっと頻度が高く、小臼歯にも多く見られます。

歯ブラシによる擦過痛、一過性の冷温水痛、甘味痛などが発言することはあるが、

自発痛はないのが特徴です。最近では、スポーツドリンクや黒酢など

pHの低い健康飲料などの過度の摂取や摂食障害などが原因の胃酸の逆流、

口腔乾燥なども原因となり、症状が重篤となることがあります。

 露出した象牙質への刺激による知覚過敏は、動水力学説によれば、

象牙質という物理的バリアを介した状態であっても、象牙質を経由して

刺激が歯髄まで伝達されることから、歯髄に生物学的反応が展開されます。

たとえば、象牙質表面が冷やされることによって生じる象牙質の痛みは、

露出象牙質の表面で象牙細管内溶液の移動が生じます。

これが刺激となって、象牙質・歯髄境付近に分布する感覚神経線維に

活動電位が生じるとされています。

また、ホワイトニング、嗜好品(甘いもの、すっぱいもの)などの

化学的外来性刺激物質は、象牙細管内溶液中を浸透圧の影響で拡散、

移動し、刺激が歯髄に到達すると考えられています。

 露出した象牙質への刺激による知覚過敏への対処方法に関してです。

症状の緩和の処置方針はとしては、歯質の実質欠損がない場合は

象牙細管内溶液の移動阻止を確実に行い、歯髄への刺激物の侵入を阻止し、

歯髄細胞を興奮させないことにより過敏化した歯髄神経の鎮静化を図ることが重要です。

まず、象牙細管の透過性を抑制することを考えます。

材料の選択順序としては歯質や歯周組織に侵襲の少ないものから選択します。

 象牙細管開口部の石灰物沈着の促進(光照射の必要のない知覚過敏抑制剤)通常は

フッ化物、水酸化カルシウム、カリウム塩、シュウ酸塩、

グルタルアルデヒドラ接着性ポリマーなどを含有した薬剤を塗布し、

開口した象牙細管の閉鎖を期待し、知覚過敏を抑制します。

象牙質接着システムのようか前処理の必要がないので、歯質に対して侵襲が少ないが、

繰り返し塗布を行わないと硬化が発言しにくいことが多いです。

 象牙細管開口部の積極的な閉鎖(光照射により硬化する知覚過敏抑制剤)象牙質接着システムの

ボンディング材やグラスアイオノマーセメントを用いて、象牙質面を被覆する方法がとられています。

光照射により硬化するため、象牙細管内溶液の移動の防止が容易である半面、

歯周ポケット内で硬化すると歯周疾患を憎悪する可能性があります。

 また、実質欠損がある場合は、前述の処置で症状の緩和をした後に、

コンポジットレジンなどの接着性修復で機械的封鎖を行なう必要があります。

 何かわからないことがあればいつでも質問して下さい。