笑いのある生活で免疫力アップ

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

笑いのある生活で免疫力アップ

こんにちは、訪問専任歯科医師の西川です。

寒さが本格的になり、コロナやインフルエンザも流行っていますね。こんな時は普段より免疫力アップしたいですよね。

今回は免疫力についてお話ししたいと思います。お口の中の様々な炎症を早く治すためにも、悪化させないためにも大切な免疫力についてです。

 

取り入れよう! 免疫アップ習慣

笑いのある生活で免疫力アップ

 

笑えば笑うほど免疫力が高まる

セロトニンが分泌されてストレス軽減 NK細胞などの活性化 自律神経の バランス

笑うと気分がよくなりますが、これは幸せホルモンと呼ばれるセ ロトニンなどの脳内ホルモンが分泌されるからです。免疫の大敵 であるストレスも軽減して、免疫力アップにもつながります。 また、免疫細胞のひとつであるナチュラルキラー細胞(NK細胞) の働きも活発になります。NK細胞は、感染した細胞やがん細胞を 見つけ次第、攻撃する免疫の要です。 さらに、免疫が正常に働くためには、自律神経がバランスよく働 いていることも重要。笑うと交感神経が優位になり、その後急激 に副交感神経が優位になることで、自律神経の働きが整います。 大いに笑って免疫力をアップしましょう。

 

笑いを生活に取り入れる

大笑いだけでなく、クスッと笑う程度や作り笑いでも免疫力を高める効果があります。

人と笑顔で話す機会をもつ

家族や友人などと楽しくおしゃべりをしていると、自然に 笑顔になる。笑顔であいさつするだけで もよい。

鏡に向かって大きな声で笑う

「楽しいから笑うのではなく、 笑うから楽しい※」といわれ る。笑う機会がないときは、鏡 に向かって「あ・は・は・は」と 笑う。 ※アメリカの哲学者・心理学者のウィリアム・ジェームズの言葉。

笑う機会をたくさんもつ

コントや漫才コメディー映画を観るなど、笑う機会をたくさん持つ。笑顔になる動物の映像などでもよい。

笑う気にならないときは作り笑い

口角を上げて作り笑いをするだけでも、脳は笑っていると錯覚する。

笑う気になれないときは、作り笑いをする。

吉本新喜劇の鑑賞でがん患者の免疫力が向上

1991年、吉本興業の「なんばグランド花月」で、がん患者を含む19人(20~62歳)に漫才、漫談、吉本新喜劇(計3時間)を鑑賞してもらい、その前後で血液採取を行い、血中のNK細胞の活性度や免疫システムのバランス力(CD4/8比)の変化を調べた。リンパ球にはCDというナンバーで働きによって番号が決まっている。CD4は車のアクセル、CD8は車のブレーキの役目。免疫システムのバランス力というのはCD4とCD8の比で、これが低すぎるとがんに対抗する抵抗力が弱く、高すぎると自分自身の身体を破壊する病気(リウマチ、膠原病など)になりやすいということである。調査の結果、NK細胞の活性度は参加者の7割以上で上昇が認められ、バランス力は基準値よりも低すぎる人は高く、高すぎる人は基準値の方向へ低くなるという傾向が示された(図2)。

図2:NK細胞の活性度は直前値が基準値内の人と基準値以下の人がそれぞれ5人、最初から高かった方が8人いた(図2)。測定できなかった方が1人いたためデータ総数は18人である。最初から低い人、基準値内の人いずれも上昇した。最初から高い8人のうち大笑いをした後、さらに上昇したのが4人、下降した人が4人という結果であった。

人の体内では毎日、約5,000個のがん細胞が発生するといわれている。喩(たと)えるなら、工場でつくられた製品の不合格品、それががん細胞と考えてよい。その不良品を日々処分しているのが50億個あるといわれるNK細胞である。わずか5分間笑うことでNK細胞は活性化するが、注射による活性化には3日も要するそうである。しかし、免疫の働きは年齢とともに低下する。

20歳でその働きを100とすると、

40歳ではその半分、

60歳では1/4に低下する。

老化とがん化は同じ道筋とも言える。それ故、NK細胞を活性化すれば元気で長生きし、がんにもなりにくくなる。反対に、うつ状態になるとNK細胞の活性は低下する。※1

 

 

笑いがある生活で血糖値が改善する

糖尿病ではネガティブなストレス(不安、悲しみ、恐怖、怒り)によって血糖値が増加する。それではポジティブなストレス、すなわち快く思う、楽しい、嬉しい気持ちは血糖を下げるのではないかと筑波大学の村上和雄名誉教授は考えた。2003年1月、2日間にわたってユニークな実験を行ったので、紹介する。

実験参加者は2型糖尿病でインスリン治療を受けていない19人の患者(男性16人、女性3人:平均年齢63.4歳)、平均BMI23.5で少し太り気味、HbA1c平均7.2%で合併症のない症例を選んだ。1日目は参加者に500キロカロリーの寿司を食べてもらい、その後「糖尿病のメカニズム」という単調な講義を40分間聞いてもらった。2日目は吉本興業の「B&B」の漫才を40分間聞いてもらった。それぞれについて、講義と漫才を聞く前後で血糖値を測定した。

測定の結果、単調な講義の場合には食後2時間の血糖値は平均123mg上昇したことから、面白みのない講義は身体に悪いので聞かない方がよいことがわかった。一方、漫才を聞いたときには77mgの増加を示し、これは専門家も驚く予想外の結果となった。次に、患者の個別的変化と併せて見ると、腹を抱えて大笑いした患者では講義後と漫才後の数値で約80mgの差があり、ちょっと笑った人でも約36mgの差が認められた。その結果は米国の専門誌に掲載され、ロイター通信が世界中にその実験結果を配信した

これまで、糖尿病患者には食事制限や運動とつらいことばかりを言わなければならなかった。しかし、これからは「もっと笑いのある生活をしなさい。そうすると糖尿病もこれほどよくなるよ」と言えるようになった。※2

 

落語を聞くとリウマチの症状が改善

1995年3月、30年以上のリウマチ治療のキャリアを持つ、日本医科大学リウマチ科の吉野槙一教授は病院の一室に寄席の舞台をつくり、落語家の林家木久蔵(現・林家木久扇)さんを招き、慢性関節リウマチ患者を対象にある実験を行った。慢性関節リウマチは気分のよいときは痛みが軽く、気分の悪いときには痛みが強く出るという特徴がある。そして、リウマチ患者は「病人の中で一番マジメ」「最も笑わないのがリウマチ」ともいわれている。

吉野教授は、患者らに落語を聞いてもらい、笑った後に痛みがどうなるか、血液データがどうなるか調べる実験を計画した。介入群には女性患者26人を選出。平均年齢は57.7歳、病歴は6~36年にわたる。そして、全員が手足の関節が変形して重症度は中ないし高度と認定される症例で、鎮痛薬やステロイド剤などを常用していた。効果を比較するためコントロール(統制)群も設けた。平均年齢51.1歳の健康な女性31人を選出。両群ともに、1時間寄席で落語を聞いてもらった。落語を聞く前後に血液を採取し、炎症の程度を示す物質で免疫にも関係する生理活性物質「インターロイキン6」(以下、IL-6)やストレスホルモンのコルチゾールの変化を調べた。

その結果、落語を聞いた後では介入群の26人中22人にIL-6の顕著な減少が認められた。中には、正常の10倍もあった値が正常値にまで改善した例も確認された。また、リウマチが悪化すると上昇するガンマ・インターフェロンが両群で減少した。通常、大量のステロイドを使わない限りこのような結果は生じないのに、落語を1時間聞いて大笑いしただけで全員の痛みが軽くなり、ある人はそれから3週間も鎮痛剤がいらなかったという例もあった。

吉野教授は、「1時間でこれほど効果があって副作用のない薬はない。医師は薬だけでなく精神面でのサポートも必要であることを痛感した」と予想を上まわる効果に驚きを禁じ得なかった。「病やまいは気から」を裏付け、「精神神経免疫学」にあるとおり、まさに心と免疫系が体内では密接につながっていることが判明した。※3

 

 

参考文献

※1 伊丹仁朗 ほか:笑いと免疫能. 心身医学. 34, 565-571,1994.

※2 Hayashi K et al. :Laughter lowered the increase in postprandial blood glucose. Diabetes Care. 26 :1651-1652, 2003.

※3 Yoshino S et al. :Effects of Mirthful laughter on Neuroendocrine and Immune Systems in Patients with Rheumatoid Arthritis. JRheumatol. 23, 793-794, 1996.