西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

高齢社会

こんにちは。訪問歯科医師の村山です。

これまで高血圧症や糖尿病、高齢者の薬物療法など、高齢者における身体特徴や診療の留意点を挙げてきました。
こうしたブログの為に私は学生時代のノートを見ることがあります。
もう何十年も前の授業内容ですが当時の言葉が気になり、皆様にも読んで頂きたいと思います。

今後、急速な高齢社会の到来が確実となっている。
高齢者は各々の持っている疾患だけでなく、
老化という現代の医学ではどうしようもない大きな問題点を抱えている。
病気だけに注目して治療しても、かえって患者は寝たきりになったり、
精神状態がおかしくなったりすることをよく経験する。
患者を病気からだけでなく全体からみて、その人に利益のある医療を行うことが大切である。
歯科医療からみると、従来の歯科診療は元気で歩いてくる外来患者を治療の対象としていた。
しかし、すでに一部の歯科医が行っているように、今後は病院のなかで待っているだけでなく、
病院に来ることができない脳卒中後遺症や骨粗鬆症による骨折がある患者、
高齢のため寝たきりの患者などの治療のため院外へ積極的に出ていくことが必要となるであろう。
社会的問題としては、老年者の医療では医学的治療よりもむしろ介護が中心となる。
経済的問題から厚生労働省の指導で在宅医療が中心となる可能性が高いが、
最近の超高齢化社会では介護をする家族自身が高齢者となってしまうなど問題点が多い。
また医療費の増加が問題となって久しいが、これは主に高齢者の医療費の急速な増加によるものである。
繰り返し述べているように、高齢者では多数の疾患を合わせもっており、それに対応した医療が必要である。
そのため、ともすれば濃厚な医療となりやすいが、各患者に応じた適正な医療が望まれる。
歯科診療も患者の全身状態、食生活などを考慮して、各患者に適した治療と指導が行われるべきであろう。

今、読むと当然そうだと感じられる内容なのですが、
私が学生の頃はまだ訪問診療を行う歯科医院は少なかったように思います。
私自身も訪問診療の重要性は当時それほど意識して考えたことはありませんでした。
そんななか上記内容は現代社会に当てはまり、
言いかえると何十年も前から日本の医療はこうなると分かっていたことになります。
「通院できないので受診を諦める。」そんな必要は今ではないのです。
毎日、気になることなく過ごせるように在宅医療やリハビリがあります。
上手にサービスを利用し日々を大切に過ごしましょう。