侮ってはいけない病気・帯状疱疹

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

侮ってはいけない病気・帯状疱疹

こんにちは、歯科医師の上原です。

梅雨明けが待ち遠しい時期ですね。

日によっては肌寒い日もありますので体調管理にはくれぐれもお気をつけください。

 

さて今回は帯状疱疹についてお話ししたいと思います。

帯状疱疹は水痘(水ぼうそう)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こる病気です。

初期症状は、体の片側の皮膚領域に痛みやピリピリ感・かゆみが生じます。

続けて、この皮膚領域に、帯状に周囲が赤くなった小さな水疱がかたまって発生します。

一般的に、水疱ができるのは、感染した神経線維が支配する皮膚領域に限られ、

ほとんどの場合、体幹の左右どちらかの側にだけできます。

患部は通常、軽く触れるなど、どんな刺激にも敏感に反応し、激しく痛むことがあります。

帯状疱疹が眼につながる神経に及んだ場合、眼に感染が起こる可能性があり、

耳につながる神経が侵されるとラムゼイ-ハント症候群と呼ばれる外耳道の水疱や痛み、

顔面の部分麻痺、難聴、耳鳴り、めまいを引き起こします。

また、帯状疱疹を発症した人のおよそ10%で帯状疱疹後神経痛が発生し、

これは高齢者に多く見られます。帯状疱疹の発疹が治った後も痛みが続きます。

まれではありますが、帯状疱疹の症状がお口の中に出現することもあります。

口腔領域での帯状疱疹は、三叉神経が走行している領域(三叉神経第Ⅱ枝・第Ⅲ枝)に罹患した時に出現します。

片側の口腔粘膜に水疱や口内炎が複数出現したり、複数の歯や顎に虫歯のような痛みを感じます。

また高齢者や基礎疾患をお持ちの方で重度の歯周病をお持ちの方が帯状疱疹に罹患し、

重篤化した場合に歯が自然に抜け落ちたり、顎の骨が壊死したという報告もあります。

帯状疱疹の治療には、飲み薬の抗ウイルス薬が使われます。

重度の状態の方には、抗ウイルス薬の静脈内投与、点滴での投与が推奨されます。

併せて痛みの緩和のために鎮痛薬が必要になることがあります。

帯状疱疹・水痘ウイルスは、体の細胞の中で不活性(休眠、潜伏)状態でとどまるため、感染は生涯続きます。

一度罹ったからもうならない訳ではなく、ときとしてウイルスが再活性化して、病気の症状が現れます。

最近は50歳以上の方の帯状疱疹の罹患が増えています。

2025年度から、65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が予防接種法に基づく定期接種の対象になりました。

また自治体によっては50歳以上の方を対象に費用を助成する自治体もあります。

(任意接種。お住いの地域により異なりますので、お住いの自治体のHPなどでご確認ください)

帯状疱疹に限らず、病気を重篤化させないためには、早期発見、早期治療が最も大事です。

口腔内に限らず、体の調子がいつもと違うと感じた時は早めに医療施設にかかるようにしてください。