親知らずの抜歯について

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

親知らずの抜歯について

こんにちは。歯科医師の毛利です。

今年の4月から勤務しております。

以前は市中病院の口腔外科にて勤務しておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 

日に日に暑さが増していますね。こまめな水分補給で熱中症には十分ご注意ください。

 

 

今回は「親知らず(智歯)の抜歯」についてお話しします。

 

親知らずは10歳頃から顎の骨の中で形を作り始め、1820歳頃に生えてくることが多い歯です。

第三大臼歯とも呼ばれますが、そもそも親知らずが存在しない「先天性欠如」の方も多く、

上下左右4本すべて揃っている方は日本人の約36%といわれています。

 

生えてくる時期が遅いため、スペースが足りずに斜めに生えたり歯ぐきに埋まったりすることがあります。

一部だけ見えているのを「半埋伏」、完全に歯ぐきの中にある状態を「完全埋伏」と呼びます。

 

(半埋伏状態)

 

半埋伏の親知らずは清掃が難しく、汚れがたまりやすいため、長時間汚れが溜まることで腫れや膿が出る

「智歯周囲炎」を起こすことがあります。

 

2030代に多く見られますが、高齢の方にも発症する場合があります。悪化すると顔が腫れたり、

口が開きにくくなったり、炎症が首や胸に広がると命に関わることもあります。

また、親知らずだけでなくその手前の歯(第二大臼歯)まで虫歯や歯周病になることがあります。

 

歯科医院での洗浄や抗生物質の服用で症状が治まる場合もありますが、

原因である親知らずがそのままの場合は再度痛みや腫れが生じる可能性が高いです。

 

腫れ、痛み、手前の歯のトラブルが予想される場合は、長い目で見ると抜歯しておくことをお勧めします。

抜歯を検討する場合は手前の歯が無事なうちが望ましいです。

 

また、若いうち(20代)の抜歯の方が骨に柔軟性があるため抜きやすく、

痛みや腫れが生じにくいと言われています。

 

当院では全身疾患の有無や服用中のお薬についてなど確認した後、レントゲン・CT撮影を行い、

副鼻腔や下顎神経と親知らずとの位置関係を把握し、当院で抜けるのか、

もしくは大学病院口腔外科へ紹介し抜いてもらう必要があるかを歯科医師が判断します。


当院で抜く場合、後日ご予約していただきしっかりとお時間を確保し、

抗生剤を服用して炎症を抑えてから抜歯という流れになります。

親知らずの状態によっては当院に在籍している口腔外科の専門医に抜歯を依頼することもあります。

 

歯根と神経が重なっている場合、23%の頻度で知覚鈍麻が起きる可能性があると言われています。

知覚麻痺・知覚鈍麻は多くの場合は自然に治癒しますが、神経のダメージが回復するには時間がかかるため、

数ヶ月〜1年程度の時間がかかる場合があります。

 

親知らずがまっすぐ生えており清掃が可能な場合は抜く必要はありません。

将来入れ歯を使用することになった際に、バネをかける歯として親知らずを利用することが有効な場合もあります。

他の歯を抜かないといけなくなった場合、条件がそろえば移植に使える可能性もありますので、

歯科医師に相談してください。

 

 (親知らずが正常に生えている状態)