TCH(上下歯列接触癖)について

タニダ歯科医院ブログ

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TCH(上下歯列接触癖)について

こんにちは。歯科医師の毛利です。

 

朝晩が涼しくなり、過ごしやすい季節になってきましたね。気温の変化で体調を崩さないよう、

羽織るものを用意してお身体を冷やさないようにご注意ください。

 

今回は「TCH(上下歯列接触癖)」についてお話しします。

 

■ TCHとは?

TCHとは「Tooth Contacting Habit」の略で、日本語では「上下歯列接触癖」といいます。

本来、リラックスしている時は上下の歯の間に23ミリほどのすき間(安静空隙)があり、

歯同士は接触していません。実際、上下の歯が触れ合うのは、食事や会話の時などを合わせても1日わずか20分程度とされています。

しかし、TCHのある方は無意識に長時間、上下の歯を接触させてしまう傾向があり、

これによってさまざまな問題が起こる可能性があります。

 

 

■ TCHによって起こる問題

TCHは以下のような不調の原因になることがあります。

・歯への負担:歯が欠けたり、詰め物が外れやすくなったりする。

・感覚異常:歯を支える歯根膜が圧迫されて貧血状態になり、噛み合わせの違和感や咬合痛を引き起こす。

・顎関節への影響:弱い力でも長時間の接触で筋肉が疲労し、顎関節症(口が開きにくい、音が鳴る、顎の筋肉の痛みなど)を招く

 

TCHがあるからといって必ずしも症状が出るわけではありませんが、

長期的には不快症状が現れる可能性が高くなるため、早期の段階で気付き改善しておくことが重要です。

 

■ TCHのチェック方法

以下の方法で、ご自身にTCHがあるかどうかを簡単に確認できます。

姿勢を正して正面を向き、目を閉じる。

唇を軽く閉じる。

上下の歯が触れないように軽く離す。

この時に違和感を覚えるようであれば、TCHの傾向があるかもしれません。

 

■ TCHの原因

TCHの主な原因には、以下のような日常的な要因があります。

・パソコンやスマホを長時間使用し、前かがみの姿勢になることで、自然と歯が接触しやすくなる。

・日々の軽い緊張やストレスが持続し、無意識に歯を噛みしめてしまう。

 

■ TCHの改善方法

TCHは無意識の癖なので、意識してすぐにやめるのは難しいですが、次のような対策が有効です。

・意識づけ:

パソコンやテレビの近くに「歯を離す」と書いたふせんを貼り、

それを見るたびに歯を離す習慣をつける。

・リラックス習慣:

ストレス発散の方法を見つけ、心身をリラックスさせる。

・基本姿勢を意識する:

「唇を閉じて、上下の歯は離す、頬の筋肉の力を抜く」これを1日数回、意識的に練習してみる。

これらが「歯が触れないのが正しい」という新しい癖を作る第一歩になります。

 

■ まとめ

TCHは多くの方が無意識に行っている癖ですが、それに気づいていないケースがほとんどです。

「歯は食事や会話以外のときは触れないのが正常」という意識を持つことが、改善の第一歩になります。

もし、すでに顎や歯に違和感を感じている場合は、早めにご相談ください。マウスピースを使った治療や、

生活習慣のアドバイスなど、症状に応じたサポートを行っています。

この記事を読んで「今、歯がくっついてるかも?」と感じた方は、

ぜひ今日から「歯を離す習慣」を始めてみてください。