2025/12/18
こんにちは。訪問担当の岩本です。
訪問歯科では、高齢の方や通院が難しい方に訪問先にて歯科治療を行いますが、
抜歯や外科的処置(出血を伴う=観血的処置)の必要が生じた際、
ケースによっては病院歯科での通院治療をおすすめすることがあります。

これは安全性を最優先した結果なのですが、今回は、その主な理由についてお伝えいたします。
まず大きな理由は、観血的処置には緊急対応ができる設備と人員が必要だからです。
抜歯などの外科処置では、まれに大量出血や血圧の急変、気道のトラブルなどが起こることがあります。
病院歯科には血圧・心電図モニター、酸素、吸引機、点滴設備など、万が一の際にすぐ対応できる環境が整っています。
また、歯科医師だけでなく看護師や医師が連携しやすく、緊急時の対応力が高い点も重要です。
次に、訪問診療の対象者には持病を抱えている方が多いことが挙げられます。
心臓病、脳血管疾患、認知症、糖尿病、抗凝固薬(血液さらさらの薬)の服用など、
リスクが高い患者さんが多いため、観血処置には細やかな全身管理が欠かせません。
病院歯科では医科との情報共有がスムーズで、必要に応じて主治医と相談しながら安全に処置を進めることができます。
さらに、訪問先の環境では外科処置に必要な衛生管理が難しいという面もあります。
抜歯などの観血処置では、器具の滅菌や十分な照明、治療スペースの確保などが重要ですが、住宅や施設では限界があります。
また、術後の管理や経過観察も病院のほうが詳細に行えます。
最後に、法的・制度的な基準も影響します。
訪問歯科では基本的に“安全に実施可能な範囲の処置を行う”とされており、
大きなリスクを伴う処置は外来や病院で行うよう示されています。
このように、観血的処置を病院歯科に依頼するのは、「患者さんの体にとって最も安全な選択」をするためです。
訪問歯科と病院歯科が連携し、その方にとって適切な場所で治療を行うことが、結果として最善の医療につながると考えています。
成長の年
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