2022年4月:タニダ歯科医院ブログ

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

「安全に美味しく③〜とろみについて〜」

こんにちは。歯科医師の村重です。

今年はこの時期になっても雨が多く、気温の変動も激しいため

皆様体調を崩されないよう、お気をつけ下さい。

さて、今回のテーマは前回に引き続き摂食・嚥下となります。

前回まで二回にわたって食形態についての内容でしたが、

今回は飲み物に付与する「とろみ」についてです。

 

水のようにさらさらとした液体は、速く動いてしまうので

誤って気管に入ることがあります。

とろみをつけることでゆっくりとした動きになり、

液体が気管に入るのを防げます。

そして、摂食・嚥下リハビリテーション学会では

嚥下障害者のためのとろみ付き液体を「薄いとろみ」

「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階に分けて

表示していいます。

以下に、学会が公表しているとろみの基準を引用します。

 

  1. 薄いとろみ

薄いとろみとは、中間のとろみほどのとろみの程度がなくても

誤嚥しない、より軽度の症例を対象としています。

口に入れると口腔内に広がり、飲み込む際に大きな力を要しません。

コップを傾けると落ちるのが少し遅いと感じますが、

コップからの移し替えは容易であり、細いストローでも十分に吸えます。

中間のとろみよりもとろみの程度が軽いため、患者さんの受け入れは良いです。

 

  1. 中間のとろみ

中間のとろみとは、明らかにとろみがあることを感じるものの、

「drink」するという表現が適切なとろみの程度です。

口腔内での動態はゆっくりですぐには広がらず、

舌の上でまとめやすいです。

スプーンで混ぜると少し表面に混ぜ跡が残り、

スプーンですくってもあまりこぼれません。

コップから飲むこともできるが、細いストローで吸うには

力がいるため、ストローで飲む場合には太いものを

用意する必要があります。

 

  1. 濃いとろみ

濃いとろみとは、重度の嚥下障害の症例を対象とした

とろみの程度です。中間のとろみで誤嚥のリスクがある症例でも、

安全に飲める可能性があります。明らかにとろみがついており、

まとまりが良く、送り込むのに力が必要です。

スプーンで「eat」するという表現が適切で、

ストローの使用は適していません。

コップを傾けてもすぐに縁までは落ちてこず、フォークの歯でも少しはすくえます。

 

 

摂食・嚥下障害をもった患者さんでも、その患者さんの状態に合わせた

食形態やとろみを選択することによって、リスクを最小限に抑えた

食事を提供することができます。

「食べる」「飲む」というのは何にも代え難い人間の大きな喜びの一つなので、

多くの患者さんがその喜びを持ち続けられることを願っています。

お家でできる!口腔がんチェック

デンチャー・プラークについて

 

こんにちは。歯科医師の西田です。

桜は終わってしまいましたが、

春 本番、色々な花が順番に咲いていく季節となりました。

芝桜、チューリップ、藤、ツツジ・・・。ですが、

今回のテーマは華々しい春の花とは無縁の、地味な内容になります。

 皆さまは、デンチャー・プラークという言葉を聞いたことはおありでしょうか?

定期的に歯医者に通院されている皆さまは、

プラークという言葉はご存知だと思います。

始めて衛生士さんの歯磨き指導をうけられた時、

歯の表面に付いた白いネバネバは細菌の塊だと伝えられ、

衝撃を受けられた方もいらっしゃると思います。

デンチャーは、歯科用語で入れ歯のことを指します。

そう。デンチャー・プラークとは、入れ歯に付いた細菌の塊のことを言うのです。

私たちは、訪問先のお宅や施設で、皆さまの歯と入れ歯を、

必ず磨いて清潔にして帰ります。デンチャー・プラークも、

歯のプラーク同様、健康を脅かす曲者だからです。

ここで、入れ歯の種類と材質についてお話します。

多くの場合、入れ歯の材料にはプラスチックが使われています。

 

プラスチック製の入れ歯は吸水性があり、汚れや細菌が付着しやすく、

装着中は粘膜と入れ歯との隙間に細菌が繁殖しやすいと言われています。

入れ歯は噛むと微妙に動き、柔らかい粘膜は刺激を受けます。

もしも入れ歯が不潔になると、デンチャー・プラーク中のカンジダと

呼ばれるカビの一種によって、入れ歯に刺激された粘膜に、

口内炎ができやすくなります。

カンジダによる口内炎は痛いため、食欲不振となり、体力が落ちてしまいます。

デンチャー・プラークの影響は、義歯性口内炎にとどまりません。

同一人物の歯のプラークとデンチャー・プラークの細菌の組成は、

似通っているため、デンチャー・プラークは、

残存しているご自身の歯の虫歯や歯周病の原因になりかねないとも言われています。

また、近年は、デンチャー・プラークが誤嚥性肺炎の原因菌や

MRSAの供給源になりうるとの報告もされており、

全身疾患を起こすリスク要因としても注目されています。

 では、デンチャー・プラークにどのように対処すればよいのでしょうか。

ブラシによる機械的清掃と義歯洗浄剤による化学的清掃の併用が有効です。

毎食後、入れ歯を外して清掃し、1日1度は義歯洗浄剤で殺菌洗浄しましょう。

ティッシュコンディショナーなどの仮の裏打ち材、

軟質の裏打ち材などを貼っている入れ歯は、

ブラシで強く擦ると剥がれてしまうため、注意が必要です。

  入れ歯も美味しく食事を摂るためのお箸やお茶碗などの食器と同じように考えて、

使用後は必ず洗って清潔にし、健康な毎日を過ごせるようにしたいですね。

出産後の歯科受診について

こんにちは!歯科医師の法貴です。

4月に入り新生活をスタートさせた人も多いと思います。

まだまだコロナも落ち着かない状態なので

体調管理に気をつけながら今年度も頑張っていきましょう。

さて今回は出産後の口腔内、歯科受診についてです。

出産後は新たに始まった育児に時間を追われ、

心身ともに疲労も増してくると思います。

妊娠中は自分自身のための歯磨きが習慣化できていても、

出産後に継続できなくなることは珍しくはありません。

赤ちゃんが寝ている時や、家族が育児を担ってくれている時に、

不十分になっている歯磨きを、丁寧にするように心がけてください。

使用する歯ブラシなどのグッズは特に

変更する必要はありませんが、歯肉に炎症症状などが

残存している場合には「やわらかめ」タイプの使用をしてください。

どうしても育児中心のせいかつになるので、

もし時間がなければ含嗽も一つの手です。

赤ちゃんへのう蝕原生細菌の伝播を予防するためにも、

口腔内に多量のプラークを長時間貯留させないことが

伝播のリスクを下げるうえでも必要です。

出産後6〜8週間で身体はほぼ妊娠前の状態に戻るため、

通常の歯科治療は可能です。しかし、授乳中の産婦では、

エックス線写真撮影、歯科局所麻酔、薬剤投与による

母乳への影響を心配する方が少なくありません。

エックス線写真撮影の際には必ず防護用エプロンを着用し、

胸部から腹部にかけて遮蔽するため、一般患者と同様に

問題はありません。また、照射方向は歯や顎の骨であるため、

授乳中であっても関連しないです。

歯科で使用する麻酔薬は、局所で作用し分解されるため、

授乳中であってもとくに問題はありません。

母乳を介して乳児が暴露される薬物は、

乳児に対する治療量の10%にも満たない量である場合が

多いと言われています。さんかげつを過ぎた赤ちゃんは

代謝機能がしっかりとしてくるので、薬剤の成分が

ごくわずかに母乳へ移行したとしても、

歯科で処方する鎮痛剤や抗菌剤に関しては

まず心配ないと考えられています。

どうしても授乳への影響を心配される方には、

歯科治療前に授乳してもらったり、

搾乳して冷凍保存していただく方法もあります。

 

 

気になることがあればいつでも

タニダ歯科医院まで相談してください。

オーラルフレイル

こんにちは。訪問担当の岩本です。
今回は、フレイルについてお伝えします。

 
「フレイル」という言葉は、 日本老年医学会が2014年に提唱したもので、
「Frailty(フレイルティ)」が語源となっています。
これは「虚弱」「老衰」「脆弱」などの意味を持ち、主に身体の状態を指しています。

 「フレイル」とは、更に精神的、社会的な意味合いも加わった言葉であり、

生活機能の観点から見て「健康」と「要介護」の間にいる状態を指す呼称です。

 
身体的フレイルのチェック項目には、以下のようなものがあります。

 ・体重減少:半年で2㎏以上の減少
・疲労感:ここ2週間わけもなく疲れたような感じがする
・活動量低下:週に1回も運動をしていない
・歩行速度低下:横断歩道で青信号の間に渡れない
・握力低下:男性は28kg、 女性は18㎏以下

 これらのうち、3項目あてはまると「フレイル」状態とされます。

 

さて、このような全身機能の低下に伴い、
口腔の機能も低下します。

 こちらは「オーラルフレイル」と呼ばれています。

口腔機能の低下は栄養摂取量の低下に直結するため、
全身のフレイルをさらに悪化させる悪循環となります。

 

 

 

オーラルフレイルの場合は、

・歯や義歯の状態
・唾液の分泌量や、衛生状態はどうか
・咀嚼筋の強さはどうか
・舌は動かせるか
・嚥下の機能は保たれているか

 などで評価を行います。

 
若いころは定期的に歯科でメンテナンスを受けていたような人でも、
心身の機能低下により通院が出来なくなり、長く放置状態となることがあります。

特に入退院や施設入所などで移動を繰り返している間に、
義歯を紛失して噛めなくなっていたり、
体調不良によってセルフケアが疎かになり、
歯周疾患が急激に悪化していることがよくあります。

 

また、口の中は脚や腕と違い、外からは見えにくい部分であるため、

同居家族であっても、不調に気づかないことがあります。
また、長く不調であるとそれに慣れてしまって、
ご本人も敢えて訴えなくなっていることもあります。

 

 

厚生労働省によるとフレイルとは、

『加齢とともに心身の活力が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、
生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、
一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像』

 と定義されており、介入の有無が重要ポイントと考えられています。

 
外出が難しい体調となり、

しばらく歯科への通院が途絶えているような場合は、
訪問診療という方法があります。

歯科訪問診療は、外来通院での治療と同じとは限りません。

ご本人の体調を考え、無理のない範囲で

ご希望に沿う方向性を検討していきます。