「安全に美味しく〜食形態について〜」

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

「安全に美味しく〜食形態について〜」

こんにちは。歯科医師の村重です。
今年は10月に入っても暑い日が続くと思ったら急にグッと
気温が落ちたりと、寒暖差の激しい秋の日が続きますが、
皆様是非とも体調にはお気をつけて過ごしていただければと
思います。
さて、今日の内容ですが当院のブログでも度々登場する
摂食・嚥下について、その中でも「食形態」というものに
フォーカスして2回に分けてお話ししようと思います。
高齢者施設や障がい者施設、病院などでは利用者や高齢者の
一人一人の状態に合わせて、食事の形態を変えています。
食事は安全で美味しく食べられることが基本です。
そのため体の機能の低下や状態に伴い、食事の形態によっても
食べやすさが変わってきます。
例えば歯が抜け落ちたり、義歯によって食べ物が噛みにくい方、
唾液の分泌量の減少や脳卒中などで脳神経障害が起こった方は
飲み込みにくくなり、むせ込みやすい方もいます。
食事による誤嚥や窒息状態を防ぐためにも、食形態は大切です。
さらに食べにくい状態や食事に対して不安感を抱いてしまうと、
徐々に食事量が減ってきてしまい、体に必要な栄養素が補いきれなく
なってしまいます。
今年摂食・嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類が新しくなりましたが、
少し専門的になるので、一般的に理解しやすい分類を紹介します。

①常食
常食とは、健康な人が普段日常生活で食べているような食事のことです。
主食はご飯で、主菜や副菜は普通の形状のままです。
うどんなどの麺やパンも食べられます。
揚げ物をはじめ、繊維質のある食材も使用できます。
摂食、嚥下、消化吸収が正常な方用の食事です。

②軟飯(菜)食
軟飯(菜)食の主食は、柔らかいご飯やお粥です。
うどんは麺を常食よりも柔らかくし、5~6cmにカットします。
また、揚げ物など油が多いメニューを控え、柔らかく煮る、
蒸すなど油を控えた消化の良い食事です。
使用する食材も繊維質であるごぼうやたけのこや固い食材は控えます。
胃腸が弱い方、咀嚼(そしゃく)機能が低下した方向けの食事です。

③きざみ食
きざみ食は、食べ物を約5mm~1cmほどに刻んで食べやすくし、
咀嚼(そしゃく)機能が低下した方が食べやすいようにした食事です。
次回はこの続きとしてミキサー食以降のお話をさせていただこうと思います。

上の写真は2019年の摂食・嚥下リハビリテーション学会に
参加したときのものです。
介護食のコーナーにはたくさんの企業のブースがあり、
吉野家など、私達の生活に馴染みのある名前もいくつか見受けられました。
介護食が安全なだけでなく、味でも常食に近づくことができれば喜ばしいですね。