味を感じる 

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

味を感じる 

時が経つのが早いような気がします。
もう、11月中旬。
今年もあと1か月強となりました。
朝晩の寒暖差もあり、体調を
整えるのが難しくなってきました。
歯科医師の川村です。
最近の楽しみは、食べること・・・。
食べるけど動かない・・・、
いけませんね。気をつけます。

人間には、五感というものを
持っています。
五感とは、動物やヒトが外界を
感知するための多種類の感覚機能のうち、
古来の分類による5種類、すなわち
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を指します。
この五感という分類の仕方は、もともとは
古代ギリシャのアリストテレスによる
分類に端を発しています。
実際のヒトの感覚は、5つ以上ありますが、
かなり難しくなりますので、一般的
にはこの分類が使われているように思います。

今回はその中にある、味覚に関して
書こうと思います。

§1 味覚ってどんなものがあるの?

ヒトの味覚には、
甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の
「五大基本味」があります。
その中でうま味に関しては、
日本人が発見したと言われています。
昆布の煮汁からグルタミン酸を発見して
「うま味」と名付け、特許登録されました。
世界的にも「UMAMI」として知られています。

§2 味覚どこで感じるの?

味覚という大役は、舌の表面の味蕾が
その役の大部分を担っています。
味蕾の数は、乳児期には約1万個。
頬の内側や唇にも味蕾が存在しています。
それに対して、成人になると
7,500個ほどに減少してしまうと言われています。
赤ちゃんは大人よりも微妙な味の違いが
感じやすい、ということになります。
ほんの少しの異物も体の中に入れないよう、
赤ちゃんに備わった力なのかもしれません。

(※驚異的な数の味蕾を持っている生き物がいます。
それは、ナマズ。
ナマズは、ウロコがなく、全身が約17万個もの
味蕾で覆われていています。
濁った水の中でエサを感知するために
発達したと考えられています)

味蕾という組織は、舌の中にある舌乳頭と
呼ばれる所に存在します。
口を大きく開けて舌を見てみます。
舌の表面、舌背があります。
舌には溝があり、細かい点があります。
この点は茸状乳頭、糸状乳頭です。
更に大口を開けて舌の奥をみますと、
ドーム型の膨らみがみられます。
有郭乳頭で7から12個ぐらい並んでいます。
舌側縁の奥には一見ポリープのような
凸凹があります。これが葉状乳頭です。
舌の中には、以上4つの乳頭が存在します。
ただ、その中で1つ、糸状乳頭には
味蕾が存在しません。

§3 味覚ってどんな働きをしているの?

①食べ物の味を感じ、食欲を刺激する。
②食べ物の味を弁別し、危険なものを
食べないようにする。
③唾液を分泌させる。
④消化液の分泌を促し、消化を促進する。
⑤生体に必要な成分を含んだ食べ物を
選択して摂取することを助ける。

§4 味覚が感じにくくなることって
あるの?

舌の前2/3:顔面神経(鼓索神経)
舌の後1/3:舌咽神経
軟口蓋:大錐体神経
という神経で支配されています。
つまり、これらの神経自身、あるいは
これらの神経の中枢になんらかの異常が
生じると味覚異常が生じ、味覚低下が
認められることとなります。
また、ほとんどの味覚異常は末梢性で、
味の伝達を行う味蕾の減少・萎縮、
唾液分泌の低下、さらには唾液中の
非生理的物質が排泄され、それが異常な
味物質として働くことにより生じます。
味覚異常の原因にはいくつかあります。
乳頭の萎縮・消失……生理的(加齢的)、
貧血などによる
唾液分泌の低下……加齢、シェーグレン症候群
などによる唾液中の非生理物質の排泄
カンジダ症
医原性の味覚低下……がん治療(放射線、抗がん剤)に
より、唾液腺機能が障害され分泌低下、
舌乳頭が萎縮することによる

亜鉛の不足……食物中の亜鉛と薬剤がキレートをつくり、
亜鉛の吸収が障害され、味蕾細胞の若返りが
障害されることによる
降圧剤、トランキライザー、抗生物質、
抗アレルギー剤等による薬剤の作用
歯周病
特発性、心因性
体感異常症(セネストパチー)
などがあり、様々な要因で起こります。
それぞれの原因に合わせて治療をする必要が
ありますので、気になることは一度相談して
みてください。
必要に応じて、専門医に紹介が必要な場合もあります