西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

酸蝕症

こんにちは、歯科医師の池田です。

 

今回は「酸蝕症」をご紹介しようと思います。

 

虫歯や歯周病に続く第三の歯の疾患として

「酸蝕症」が最近注目を集めています。

 

虫歯は、食べ物や飲み物に含まれる糖を

虫歯の原因菌が分解することで酸が発生し、

それによって歯が溶ける病気です。

これに対して「酸蝕症」は、酸性の強い食べ物を

摂り続けることや胃酸によって歯が溶けてしまうものです。

つまり、「酸蝕症」は虫歯菌などの原因になる

細菌がいなくても生じるため、丁寧に歯を磨いても

歯が溶けていくという特徴があります。

 

「酸蝕症」の歯の特徴は、

①知覚過敏を起こして冷たいものがしみやすい

②歯全体が丸みを帯びる

③歯の表面のエナメル質が濁って見えたり、内部の象牙質が透けて見えたりする

④前歯の表面がスベスベしてツヤがある

⑤前歯の先端部分が透けており、ヒビが入ったり、欠けたり、ザラついたりする

⑥酸蝕により奥歯のすり減りが加速し、深い溝やへこみがみられる

などがあります。

 

「酸蝕症」の原因は、体内から口の中に酸が出てくる

内因性のもの、酸性度の高い飲食物を口にするなどの

ものの2つに分けられます。
内因性の原因としては、胃食道逆流症や摂食障害

(過食症、拒食嘔吐)、

アルコール依存性などがあります。
また、外因性の原因としては、酸性度の高い飲食物や医薬品、

サプリメントなどの過剰摂取が考えられます。

「酸蝕症」を起こしやすい物は
①みかんやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘系の果物や

果汁からつくられたジュース、梅干し、サラダドレッシング
②ビタミンCなどを含む酸性のビタミン剤やサプリメント
③アスピリンなどの酸性薬剤
④炭酸飲料、黒酢、栄養ドリンク、ワイン、スポーツ飲料
⑤塩酸や硫酸、硝酸など酸性のガスが発生する工場で働く方々やワインの試飲をされているワインティスターの方々などにもみられます。

 

「酸蝕症」を防ぐためには、
①酸性の飲食物を口にした後は水で口をゆすぐ
②酸性飲食物をだらだら食べたり飲んだりしない
③寝る前には酸性の飲食物を控える

(就寝中は唾液の分泌が少なくなり、口のなかのpHが

中性に戻りにくくなります)
といった対策が必要です。

最近は残存歯の増加があるため、長年の酷使によって

年齢を重ねるほど傷み、酸蝕の影響をうけやすくなっています。
なかでも口が乾きやすいという方は、歯を守る唾液の力が

十分に働かなくなり、「酸蝕症」を発症する可能性が

高くなると考えられます。

「酸蝕症」によって溶けた歯は元には戻りません。
冷たいものなどでしみやすくなったり、

虫歯になりやすくなることもあります。
歯磨き粉の薬用成分などで歯を強くすることもできるため、

気になる方はぜひ相談してくださいね。