タニダ歯科医院ブログ

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西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

冷たい物に過敏

こんにちは、川村です。
1月は行く、2月は逃げる、3月は去る、と言われますが、早いもので、もうすぐ
3月。いかがお過ごしでしょうか。

今回も、知覚過敏症について書いていきたいと思います。

●知覚過敏症って何?
象牙質知覚過敏症(Hypersensitive Dentin (Hys))のことで、歯ブラシの毛先が
触れたり、冷たい飲食物、甘いもの、風にあたった時などに歯に感じる一過性の
痛みで、特に齲蝕(虫歯)や歯の神経(歯髄)の炎症などの病変がない場合にみ
られる症状を言います。

●歯の構造
歯というのは、表面をエナメル質という組織で覆われています。
しかし、エナメル質という組織は歯の全周を覆っているわけではありません。
エナメル質の下には象牙質という組織があります。
この象牙質ですが、エナメル質とは違いがあります。
有機質・無機質の割合、硬度など違いは多数ありますが、今回のことで言えば、
細管の存在です。
象牙質には、象牙細管(象牙質にある細い管)と呼ばれる構造物あります。
電子顕微鏡でしか見えない小さな物です。
この象牙細管は歯髄(歯の神経)の所までつながっています。
つまり、この象牙細管に刺激が伝わってしまうと神経が感じてしまいしみてしま
うのです。
ちなみに、エナメル質には細管はありません。
通常、象牙質はエナメル質に覆われているので、こうした痛みを感じることはあ
りませんが、極端に冷たいものなどではエナメル質の上からでも温度が内部の象
牙質に伝わって、歯が痛みを感じることもあります。
しかし、様々な理由で象牙質が露出すると、刺激が神経に伝達されやすくなり、
知覚過敏が生じるようになります。
象牙質が内部の神経にまで刺激を伝えるのは、象牙質の中にある無数の小さな管
状の構造物があることによります。
この小さな空隙は加齢などにより、少しずつ塞がってくることもあります。
このような場合には知覚過敏は起きません。
したがって象牙質が露出している時には必ず知覚過敏が起きるということではあ
りません。
歯肉が退縮して歯が長く見えてしまった高齢の方全員が、しみる症状がでている
かというと・・・。

●象牙質が露出する原因
1.歯肉退縮
歯肉の位置は加齢とともに少しずつ下がってきます。
それに伴って歯根が露出し、象牙質がむき出しの状態になります。
このような象牙質表面では、歯ブラシが触れたり、温度変化などの刺激で痛みを
感じることがあります。
持続時間は長くても1分以内で、時間が経てば痛みは消失します。
歯の表面に歯石がたくさん付いているような場合、それを取り除いた時にも同様
の状態となり、歯石をとっている時にも器具が象牙質表面に触れたり、水をかけ
て処置をするので、知覚過敏と同様の痛みを感じることがあります。

2.破折
歯が破折してしまい象牙質が露出することがあります。
破折時には、残っている歯に亀裂が入っていることもあります。
亀裂の状態にもよりますが、歯の神経の部分にまで細菌が侵入して炎症を起こす
こともあります。

3.摩耗、酸蝕症による象牙質露出
摩耗、酸蝕によりエナメル質がなくなると象牙質が露出します。
すり減り具合により症状が出る場合があります。

●治療
1.知覚過敏用歯磨きの使用
歯の神経の周囲をカリウムイオン(K+)が多く取り巻いていると神経の細胞が興
奮しにくくなるということを利用し、硝酸カリウムという成分を配合した歯磨き
剤を継続使用していきます。

2.知覚過敏抑制剤の塗布
露出した象牙質の内部の小さな空隙を、歯と同じような成分の結晶や、その他
様々な物質で封鎖することで、歯の神経への刺激の伝達が遮断されて伝わりにく
くなります。

3.露出した象牙質の被覆
知覚過敏のある象牙質表面を樹脂やセメントで被覆します。

4.抜髄
知覚過敏は一過性の痛みですが、痛みの持続時間が比較的長いような場合や、
その痛みが非常に激しい場合には、歯の神経を取ることもあります。

基本的には虫歯ではないので、削って治すことはありません。
表面をコーティングする方法が一般的です。
しかし、あくまでもコーティングなので、歯磨きなどの原因で剥がれることがあ
ります。
必要に応じ重ね塗りが必要な場合もあります。
もちろん虫歯が原因で歯がしみることはあります。
気になる方は早めに診てもらいましょう。

無痛麻酔の取り組み

こんにちは。院長の谷田です 。
 
節分が終わり、少しずつ春の訪れを感じる季節になってきましたね。
三寒四温というとおり、まだ寒さが残る日もありますが、
みなさまお変わりありませんでしょうか。
 
今回お話するのは、麻酔注射についてです。
 

 
当院では出来るだけ無痛的に麻酔を打つように心がけています。
ポイントは3つあります。
 
1. 出来るだけ低速で打つ。
    電動麻酔器で人間の手の感覚では再現できないような
    低速で打つことが出来ます。
2. 人肌に近い麻酔液を使用する。
3. 直径の細い麻酔針を使う。
 
上記の3つのポイントと、あとは麻酔を打つ箇所も鍵になります。
当院では上記のポイントを考慮に入れながら無痛的麻酔をしております。
 
今後も質の高い治療を提供するだけでなく、患者さまに
少しでも寄り添った治療をご提供できるよう努めてまいります。

 

 

タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE

「 歯を守るための力のコントロール Ⅶ 」

歯を守るための力のコントロール Ⅶ

 

こんにちは、歯科医師の武田です。

「歯を守るための力のコントロール」

について数回にわけて

お話しさせていただいております。

どうぞよろしくお願いします。

 

◆ Functional dividing plane:

ファンクショナルディバイディングプレーン (FDP)

 

ウィーン大学のR.Slavicek教授の仮説でオトガイ棘を通る

咬合平面の垂線を基準に歯列の役割を分割する考え方で、

ここより前方はディスクルージョンによって臼歯を側方力から

保護するガイダンスエリア。後方は顎位の保持により

前歯を咬合力から保護するサポートエリアに分かれます。

 

◆ 咬合接触点の設定

 

有歯顎の咬頭嵌合位における咬合接触関係には、

機能咬頭頂を対合歯が3つの咬合接触点で抱え込んで

保持する3点接触(トリポディズム)が基本であり、

安定した咬合と下顎位の保持が得られます。

3点接触には、咬頭対辺縁隆線の関係cusp to ridgeと

咬頭対窩の関係cusp to fossaがあります。

 

 

・Cusp to ridge

上顎では近心の、下顎では遠心の辺縁隆線それぞれ4か所

全てに、相対する同名歯の機能咬頭が嵌合する咬合接触関係で、

永久歯列の交換過程で、萌出時期の遅延や萌出位置の転位

歯軸の傾斜がある程度生じても、正常に歯列が完成するうえで

有利ですが、1歯対2歯の咬合接触関係であるために、

歯軸方向への機能圧の伝達においては不利で、歯に側方圧が

かかりやすく、隣接面コンタクト部の豊隆が強いために、

オクルーザル・エンブレジャーが大きくなり、隣接面カリエス

及び食片圧入が生じやすく、歯周組織保全の点では不利です。

 

・Cusp to fossa

下顎8つ、上顎6つの全ての機能咬頭が相対する同名歯の窩に

嵌合する咬合接触関係で、天然歯列ではほとんどみられませんが

1歯対1歯の咬合関係のため、歯軸方向への機能圧伝達に有利であり

歯間部への食片圧入も生じにくく、オクルーザル・エンブレジャー

を小さくすることにより、さらに食片圧入が抑制され、

歯周組織保全の点で有利な歯列構成が可能となります。

 

◆ ブレーシングイコライザーとクロージャーストッパー

 

そこで、この咬合再構成にあたってより有利なcusp to fossaに

おける3点接触構成の要点ですが、臨床で咬頭嵌合位をcusp to fossa

に構成する際に大切なのは、まずブレーシングイコライザーを的確に

付与することです。これ以上後方へ下顎を押し込まないようにする、

歯列が後ろに行くのを抑制する場所をブレーシングイコライザーと呼びます。

イコライザーをつけることで顎が後ろへシフトしづらくさせています。

歯列が後方へシフトすると顎関節も移動してしまい後部の神経や血管を

圧迫してしまい、あごの開閉口時に痛んだり、筋痛が出たりするので

イコライザーで顎関節が保護するとともに、嵌合位の前後的位置付け

明確にします。

 

そして顎が前に行こうとする動きをストップさせる部分を

クロージャーストッパーと言います。これがないフラットな形態だと

下の顎は前に出やすくなり、前歯への負担が大きくなります。

前歯の被せ物などが前歯への突き上げが強くなることで、

はずれやすくなる場合もあります。

 

これらによって上下の歯列が前後的な誤差を生まないよう構成でき

対合する機能咬頭を3点で抱え込み、三次元的に安定した咬頭嵌合位

が構築できます。

 

咬合接触点の設定位置は、上下とも可及的に中央裂溝へ近接させて設定し、

3点の上下的位置は、いずれも同じ高さにすることも大切です。

これにより、適正な歯軸方向への力の伝達と、適正なディスクルージョン量

の設定が可能となり、咬頭干渉の生じにくい安定した歯列構築ができます。

 

 

歯の健康、美しさを保つには、

定期的なクリーニングがとても大切です

ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。

ご来院お待ちしております。

「安全に美味しく②〜食形態について〜」

こんにちは。歯科医師の村重です。

今回は、前回に引き続いて

食形態についての内容となります。

前回は常食からきざみ食と言われる

形態までについてご紹介させて

もらいました。

きざみ食と言われる形態の先には

所謂ミキサー食、ペースト食と言われる

形態があります。

これは摂食・嚥下リハビリテーション学会の

2-1、2-2にあたり、次のような特徴があります。

 

(栄養指導Naviより)

[2-1]
形態:
均質でなめらかで、

べたつかず、まとまりやすいもの
スプーンですくって食べることが

可能なもの

特色:
口腔内の簡単な操作で食塊状となるもの

(咽頭では残留、誤嚥を

しにくいように配慮したもの)

主食の例:
粒がなく、付着性の低い

ペースト状のおもゆや粥

必要な咀嚼能力:
下顎と舌の運動による

食塊形成能力および食塊保持能力

[2-2]
形態:
べたつかず、まとまりやすいもので

不均質なものも含む

スプーンですくって

食べることが可能なもの

特色:
口腔内の簡単な操作で食塊状となるもの

(咽頭では残留、誤嚥を

しにくいように配慮したもの)

主食の例:
やや不均質(粒がある)でもやわらかく、

離水もなく付着性も低い粥類

必要な咀嚼能力:
下顎と舌の運動による

食塊形成能力および食塊保持能力

続いてゼリー食、ムース食、

とろみ水と言われるものです。
これは、学会分類で0j、0t、1jにあたり

以下のような特徴があります。

[0j]
形態:
均質で、付着性・凝集性・

かたさに配慮したゼリー
離水が少なく、スライス状に

すくうことが可能なもの

特色:
重度の症例に対する評価・訓練用
少量をすくってそのまま丸呑み可能
残留した場合にも吸引が容易
たんぱく質含有量が少ない
主食の例:

必要な咀嚼能力:
若干の送り込み能力

[0t]
形態:
均質で、付着性・凝集性・

かたさに配慮したとろみ水

(原則的には、中間のとろみあるいは

濃いとろみのどちらかが適している)

特色:
重度の症例に対する評価・訓練用
少量ずつ飲むことを想定
ゼリー丸呑みで誤嚥したり

ゼリーが口中で溶けてしまう場合に適応
たんぱく質含有量が少ない
主食の例

必要な咀嚼能力
若干の送り込み能力

[1j]
形態:
均質で、付着性・凝集性・かたさ・

離水に配慮したゼリー・プリン・

ムース状のもの

特色:
口腔外で既に適切な食塊状となっている

(少量をすくってそのまま丸呑み可能)
送り込む際に多少意識して

口蓋に舌を押しつける必要がある
0j に比し表面のざらつきあり

主食の例おもゆゼリー、

ミキサー粥のゼリーなど

必要な咀嚼能力
若干の食塊保持と送り込み能力

摂食嚥下障害のある人にとって、

その病態や程度に応じた食形態による食事を

提供することが、可能な限り安全に口から

栄養摂取をすることにつながります。
次回は、水分に付与する

トロミについてご紹介したいと思います。

訪問歯科診療での医科との連携について

こんにちは。歯科医師の西田です。

あっという間に1月が過ぎ、

2月になってしまいました。

節分、バレンタインデーと

イベントが続きますね。

春の訪れが待ち遠しいです。

さて、今日は、医科の先生との

やり取りについてお話して

いこうと思います。

訪問先の患者さまは、

ご病気持ちの方が非常に多いため、

私たちは日常的に患者さまの

医科の主治医の先生方(主に内科)と

やり取りしています。

ご高齢の患者さまは、持病も様々で、

服用されているお薬も多種多様です。

日々の歯科診療で、

入れ歯の作成に支障をきたす歯、

しつこい痛みや腫れの原因に

なっている歯などに遭遇した場合、

内科主治医の先生に

皆さまの体調をお聞きして、

治療計画を練るのが一番です。

内科の先生に対診が必要となる

場合は、以下のとおりです。

・抜歯などの外科治療を

行う可能性がある場合

・内視鏡を用いた嚥下診療に

すすむ可能性のある場合

・その他歯科医師が

必要と考えた場合。

 

歯科で行う可能性のある

治療内容をお知らせした上で、

お聞きする内容は、

・患者さまの現在の健康状態

・最新の血液検査結果

・処方されているお薬

・血液がサラサラになるお薬を

飲まれている場合は休薬が

必要かどうか

・その他、処置に際して

注意する点がないか

などなど。

(このような書面を使います↓)

内科の先生への対診が

必要と感じた場合、

まず、ご本人または

ご家族さまや施設さまに、

対診の了解を取ります。

患者さまの個人情報を

聞き出すため、必ず

この手順は踏みますので、

ご安心ください。

多くの場合、内科の先生とは

書面でのやり取りを行います。

急を要する時は、

書面に先行してFAXを送ったり、

電話でお問い合わせをすることも

あります。そうして、

内科の先生のご意見をお聞きして、

患者さま側に情報をお伝えし、

治療を進めていきます。

 

以前はあまり馴染みのなかった

医科歯科の連携、

前半のお話のように、

歯科治療に先だって

内科の先生にお伺いを立てる

的なものが多かったです。

しかし、近年では、

口腔ケアにより誤嚥性肺炎の

リスクが下がることが示されたり、

お口の中の菌と糖尿病や

虚血性疾患との関係が

取り沙汰されたり、

癌の手術前の歯科治療や

口腔ケアが 癌の手術の傷口の

感染や抗がん剤・放射線治療で

起こる口腔内のトラブルを予防し

症状を軽減する可能性が

示唆されたり、連携の重要性が

高まりつつあります。

今後は、一人の患者さまを

取り巻く医科と歯科の連携は、

もっと密に濃くなっていくのかも

しれません。