2022年10月:タニダ歯科医院ブログ

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

歯を守るための力のコントロール Ⅹ

こんにちは、歯科医師の武田です。

「歯を守るための力のコントロール」について数回にわけて

お話しさせていただいております。

どうぞよろしくお願いします。

 

◆ メカニカルロード

 

咬合構成を的確に行ううえでの構成基準は、

残存組織保全の見地から適正な力のコントールを図り、

力学的負荷(メカニカルロード)を顎口腔系の局所に

集中させることなく均等に配分することが大切です。

つまり、左右の顎関節と筋群、更にガイドする歯列に

メカニカルロードの集中する部位を生じさせない

構成が望ましいのです。

 

  • 側方ガイドの方向

 

偏心位ガイドの方向で大きな問題になるのは

前歯部ガイドではなく側方ガイドです。

側方ガイドの方向が顎関節の機能と調和していないと、

ブラキシズムや硬い食品の長時間咀嚼により、作業側の

顎関節がダメージを受け、外側靭帯や関節円板、顆頭や

下顎窩、関節結節にまで障害をもたらします。

 

この側方ガイドの方向は、生理的な側方運動経路と

調和させ、後方へのブレーシングイコライザー

(lateral protrusive tooth guidance M型ガイド)を

必ず付与し、前方へのブレーシングイコライザー

(lateral retrusive tooth guidance D型ガイド)も可能な

範囲で付与することが望ましく、これにより作業側顎関節

へのメカニカルストレスを最小限に抑制することができます

 

M型ガイドは、上顎犬歯舌面の近心にある前方へ向いた面と

下顎犬歯の遠心に向いた面で誘導する側方ガイドであり

下顎を後方へ押し込むことはありません。

 

しかし、下顎を後方へ押し込むことはないが、作業側顆頭を

前方へ引き出し、咬頭干渉が生じる可能性があります。

 

 

D型ガイドは、この逆で下顎を後方へ押し込む形になるので

顎関節に障害を起こしやすいガイドです。

 

 

M型+D型ガイドは、側方ガイドの経路が3種のなかで

最も安定していて、下顎を後方へ押し込むことなく安全です。

 

 

 

  • グループファンクション

 

近年、顎口腔系の特性が様々な角度から究明されており

顎口腔系の機能と調和させてグループファンクションを

構成することが、極めて困難であることが明らかになりました。

 

作業側顆頭の最大噛みしめ時の移動量は、軽く噛み合わせて

側方運動を行った時の作業側顆頭の移動量(平均0.7mm)の

2倍~3倍程度に増大します。そのため、軽く噛み合わせて

側方運動を行った際に作業側で犬歯から第2大臼歯までが均等に

ガイドしているグループファンクションでは、睡眠時の

パラファンクションとしてのグラインディング時には、顎関節に

近接する後方歯ほど著しく大きくゆさぶられ、最後方臼歯の

粉砕咬頭である上下顎第2大臼歯の頬側咬頭の双方に力学的負荷

が大きく加わる。このうち下顎の頬側咬頭は機能咬頭であるため

加わった負荷が支持組織の比較的広い範囲に分散し、歯冠の破折

や咬合性外傷による歯周組織の破壊にまで至らないことが多い。

一方、上顎の頬側咬頭は非機能咬頭であるため、加わった負荷が

頬側部分に集中し、歯冠の破折や歯周組織の破壊を招きやすい。

このようにグループファンクションは決して理想的な側方ガイド

の様相ではなく、残存組織保全の観点から少なくとも大臼歯部では

ディスクルージョンとし、犬歯誘導に近づけることが得策です。

 

 

  • 側方運動における犬歯誘導の有利性

 

ⅰ 後方へのブレーシングイコライザー

(lateral protrusive tooth guidance M型咬合)の構成に

適した歯冠形態を備えており、顎機能と調和した

側方ガイドの方向を的確に設定できる。

ⅱ 歯冠が長く、側方ガイドに適している

ⅲ 歯根が長く、力の分散に有利である

ⅳ 歯根が太く、力の分散に有利である

ⅴ 歯根膜感覚受容器メカノレセプターに富み、優れた

センサーとして高い顎位コントロール能を備えている

ⅵ 周囲骨が緻密で、高い支持能力を備えている

ⅶ 垂直被蓋が4mm程度で大きく側方ガイドに適している

ⅷ 側方運動時に必要な直線的誘導接触を

最も与えやすい舌面形態を備えており、

臼歯群の適正なディスクルージョン量の設定にも有効

ⅸ 正中に近く左右の顎関節にほぼ均等に機能圧を配分できる

ため、側方で噛みしめた際の下顎骨のたわみを

可及的に抑制できる

Ⅹ 顎関節と閉口筋に対する側方ガイド部の位置関係が

Ⅲ級テコであるため、同じ力で噛みしめながら側豪運動を

行ったとしても、犬歯誘導では第1大臼歯でガイドさせた

場合と比較して1/5以下の力でガイドでき力学的に極めて有利

 

 

 

歯の健康、美しさを保つには、

定期的なクリーニングがとても大切です

ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。

ご来院お待ちしております。

親知らずについて

こんにちは、川村です。

 

親知らずに関してです。

 

学問的には、第三大臼歯(智歯)と呼ばれています。

前歯から数えると8番目にある歯になります。

一番最後に、一番奥に生えてくる永久歯です。

一番最後に生えてくるために顎骨の中で生えてくる

スペースが不足しがちで、正常に生えてくるのが

難しくなります。

 

このことが原因で腫れたり痛みが出てきたりします。

私は、学生の頃に先輩に2本抜いてもらいました。

(残り2本残っています)

 

<智歯の疾患として・・・>

①智歯周囲炎

奥歯の辺りが腫れて痛い場合、智歯周囲炎の

可能性があります。

齲蝕(虫歯)ではなく、智歯周囲組織の炎症です。

智歯は、歯列の最後方で半埋伏(中途半端に

生えている状態)になることが多いです。

この状態では、歯の一部が口腔内に出ていても

他の部分は粘膜で覆われています。

そのために粘膜と歯との間に深い歯周ポケットが

形成されて、その中で細菌が増殖して

炎症が起こることがあります。

また、盛り上がった粘膜を咬んでしまい、

傷が出来て起こることもあります。

下顎に起こることが多いとされています。

 

②萌出するときの痛み

智歯が萌出するときに、周囲の歯茎や隣の

第二大臼歯を押してしまうために生じることがあります。

智歯が萌出するスペースがあれば断続的な痛みが

続いた後、歯茎が膨らんできて萌出してきます。

萌出スペースが不足すると押す力が強くなり

痛くなることがあります。

 

③齲蝕

智歯は一番奥にあるため歯ブラシが届きにくいため、

デンタルプラークの除去が困難で不潔になりやすく、

齲蝕になりやすい傾向があります。

他の歯と同様に齲蝕の痛みが出てきます。

 

<治療方法>

智歯周囲炎の場合、急性炎症時は安静と

局所洗浄、抗菌薬の投与、鎮痛剤の投与を行います。

加えて、膿瘍(膿がたまった状態)が出来ていれば、

切開して排膿(膿を出す)を行うこともあります。

 

ただし、炎症が軽快しても智歯がある限り

再発を繰り返すことがあるために、

抜歯をすることが多いです。

症状があるときに抜歯をすると、麻酔が

効きづらかったりするので、症状が

軽快してから抜歯を行うことが多いです。

 

 

<抜歯の後に・・・>

抜歯後に起こりやすいのは、腫れと痛みです。

特に下顎の智歯抜歯後には腫れることが多く、

骨を削ったりすると腫れが出やすいです。

腫れが外に広がると頬が膨らんで見えて、

上方へ向かうと顎の関節周囲に近づくために

口が開けづらくなることがあります。

 

腫れに関しては、抜歯後2~3日がピークで

大体は1週間程度で収まることが多いです。

 

抜歯後に多いトラブルとしては、

ドライソケットと呼ばれる症状があります。

抜いた箇所がズキズキと痛み出すことがあります。

通常は、抜いたところの穴の部分は、

血餅(血の塊)で満たされます。

その血餅がとれた状態がドライソケットです。

下顎に起こりやすいですが、予測は困難です。

この場合は、傷口に軟膏のガーゼを詰めて蓋をし、

頻回のガーゼ交換、消毒をしながら傷口の回復を待ちます。

 

抜歯は小手術です。

症状、飲んでいる薬、体調など条件に依れば、

抜歯が出来ない場合もあります。

インプラントにおける骨の硬さの重要性

こんにちは。院長の谷田です。

 

インプラントの手術の時に、事前に確認するデータの項目は多々ありますがその中で特に重要な項目は骨の硬さです。

通常のレントゲンでは骨の硬さを分析するのは情報不足なので、CT撮影が必要です。

 

 

 

 

現代インプラントではCT無しにオペをすることはまず考えられません。

当院では被ばく線量が少ない歯科用のCTを備え付けています。

撮影したCTをインプラント解析ソフトであらゆる角度から分析します。

確認する項目は骨量・かみ合わせ・神経の走行等多々あります。

その中でも骨の硬さは非常に重要です。

 

 

 

 

 

骨はタイプ的に柔らかい骨から硬い骨まで5つに分類されます。

2枚の画像はCTを分析用ソフトで解析したものです。

カラーで表示したものが骨の硬さを表したものです。

赤色系が硬い骨で、青色系が柔らかい骨を表しています。

骨の硬さによってオペの手順も変えていきます。

ここは経験が必要なところかもしれません。

このように当院のインプラント手術ではオペをする前に全ての情報を想定にいれたオペをすることによって成功率を99.8%までに高めています。

 

 

 

 

【医院からのお知らせ】

訪問ステーションのリニューアル工事が修了しました。

第二駐車場も利用出来るようになりましたので是非ご利用下さい。
 

 

 

タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
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「安全に美味しく⑤〜摂食・嚥下障害に対する精密検査〜」

こんにちは、歯科医師の村重です。
ようやく街も色付きはじめて、
秋を感じられるようになりましたね。
最近は一年のうち過ごしやすい時期が短いので、
この季節を精一杯楽しみたいと思います。
さて前回は摂食・嚥下障害のスクリーニング検査
(簡易検査)についてご説明しましたが、
今回は精密検査にあたるVE(嚥下内視鏡検査)及び
VF(嚥下造影検査)をご紹介します。

①VE(嚥下内視鏡検査)
この検査は、鼻咽腔ファイバーという内視鏡をのど(咽頭)に
入れ、食物の飲み込み(嚥下)の様子を観察する検査で、
唾液や喀痰の貯留の有無、食物を飲み込んだ後の咽頭内への
食物の残留の有無や気管への流入(誤嚥:ごえん)などを
評価することができます。また、嚥下に影響を与える
ことのある声帯の動きも評価することができます。

実際の手順としては、鼻の穴(鼻腔)から細い内視鏡を入れ
、のど(咽頭)の様子を観察します。その後、内視鏡を入れたまま、
見やすいように食紅などで着色したとろみつきの水、
とろみのない水、ゼリー、または実際のお食事の一部などを
飲み込んでいただきます。

VF(嚥下造影検査)と異なり、造影剤を用いたりレントゲン室に
出向いたりする必要はありません。
実際のお食事を食べて飲み込む際ののど(咽頭)の様子を
じかに観察できるのがこの検査の大きな利点です。
その一方で実際に嚥下反射が起こる瞬間は、内視鏡の先に
粘膜が触れるため、画面が真っ白になり
見ることができないという欠点があります。

②VF(嚥下造影検査)
この検査は、X線を用いて食物の飲み込みの様子を観察するもので、
嚥下時の食塊の通過の状態、喉頭、咽頭への貯留の有無、
誤嚥(ごえん)の有無を確認することができます。
嚥下障害がどの部位の障害で起こっているのか、
誤嚥(気管への流入)の有無、またどのような食べ物であれば
安全に食べることができるか、どのような姿勢で食べれば
安全に食べることができるかを評価することができます。

実際の手順としては、X線による透視下で、造影剤を混ぜた、
コーヒー、とろみの付いたコーヒー、ゼリー、
または実際のお食事の一部を飲み込んでいただきます。

X線による被曝や、レントゲン室での検査のため、
実際に患者さんに出向いていただく必要があるのが欠点ですが、
VE(嚥下内視鏡検査)では見ることのできない、
嚥下反射の起きる瞬間についても評価できるという利点があります。

次回は、これらの検査の結果に基づく対応についてご紹介します。

口内炎について

こんにちは。歯科医師の西田です。

朝晩だいぶ過ごしやすい気候となってきました。
食欲の秋の到来です。
今年の夏は異例の早さの梅雨明けから始まった猛暑の夏でした。
お疲れの溜まっている方も多いでしょう。
そんな時期によくお口の粘膜に発生する痛~い口内炎について、
今日はお話ししていこうと思います。

口内炎とは、
文字通り「口の中の粘膜に起こる炎症」のこと。
口内炎は、頬の内側や舌、唇など
口の中ならどこでもできる可能性があります。
イランの研究では、
最も多いアフタ性の口内炎の有病率は25.2%と報告されています。
また、スウェーデンの報告でも有病率は17.7%と報告されており、
4~5人に1人は口内炎にかかっていると推測されます。
では、口内炎の原因は何でしょうか?
原因不明のことも多いですが、
お口の中を噛んでしまった、入れ歯や虫歯などがある、やけど、
食べ物や薬などへの過敏症、栄養の偏った食事、
唾液の減少、ストレスや生活リズムの乱れ、
クローン病・ベーチェット病などの疾患などが、原因になりえます。

口内炎の治療について。
いわゆる「口内炎」の原因によっても大きく異なりますが、
代表的な薬や治し方は以下の通りです。

①塗り薬で治す方法。
口内炎は「口の中の炎症」なので、炎症を抑える治療が基本になります。
ステロイドの塗り薬を使うことが一般的ですが、
口の中で膜を張るような塗り薬や、貼るタイプで
なめとられないようにする薬などが使用されます。

②うがい薬で治す方法。
口内炎で使われるのは炎症を抑える成分を含むうがい薬です。

③飲み薬
鉄欠乏性貧血やビタミン・亜鉛不足により口内炎が繰り返す場合は、
内服薬でコントロールする場合があります。
また、口腔内ヘルペスの場合は抗ウイルス薬が必要になることも。

④歯科治療。
口内炎の原因によっては、
歯の矯正や入れ歯の素材の入れ替えなど、
歯の治療が必要になるケースがあります。
また、治りにくい場合などは口内炎に似た別の病気である可能性もあります。
扁平苔鮮・類天疱瘡・白板症・癌が疑われる場合などは、
口腔外科への受診が必要となります。
では、毎日の生活で何に気を付けたら良いのでしょうか?
食事のバランスに注意し
(刺激物を控える、粘膜の再生を促すビタミンB群や葉酸を含む食べ物を摂る、鉄や亜鉛などのミネラルを摂る)、
お口の中を清潔に保つ、生活リズムを整えてストレスを軽減するなど、
健康的な生活を意識して送ることが大切なようです。