2023/07/06
こんにちは。歯科医師の村重です。夏も本番という感じで、
日ごとに暑さが増していますね。子供の頃は夏の方が日が長く、
遊べる時間が多かったので好きでしたが、今はダメですね(笑)。
暑さに負けずに頑張っていこうと思います。
さて、みなさんは”口内炎が治らない”、
“水ぶくれが口の中に何度もできる”といった経験をしたことはありませんか?
それはもしかすると「粘液嚢胞」という疾患かもしれません。
口の中には「大唾液腺」と「小唾液腺」と呼ばれる唾液の生成機関があります。
大唾液腺は耳下や顎下・舌下、
小唾液腺は口腔粘膜やのどの粘膜などに存在しています。
小唾液腺からは細い管が無数に出ており、
管を通じて唾液が口内に分泌され、口の中の粘膜を湿らせています。
この唾液腺から出ている管が傷つくと、詰まったりもれたりして、
唾液が正常に分泌されずに粘膜の下に溜まってしまうことあります。
これが「粘液嚢胞」と言われています。
その原因としては、誤って唇や頬の内側などを噛んでしまったり、
ぶつけてしまったり、外傷性の場合が多いです。
歯並びが悪い人や口内炎の患者さんは、粘液嚢胞にかかりやすい傾向があるとされています。
また、唾石がある場合にも、粘液嚢胞が発生しやすくなると考えられています。
そうして出来た傷が治るときに、
唾液を出す管が詰まってしまうことによって粘液嚢胞が生じます。
下唇を噛む癖なども粘膜を傷つける原因となるの好発部位は下唇ですが、
唾液腺がある所はどの部位にもできます。
粘液嚢胞は潰れて治ってしまう事もありますが、
繰り返していくうちに繊維化して硬くなり、丸い形になってだんだん大きくなってしまいます。
治療法としては、前述のように自然に治ることもあるため、
粘液嚢胞を生じたばかりであれば 暫く経過をみるのも良いのですが、
自然治癒しない場合には治療が必要になります。
切開などで内容物を出しただけでは 一時的に小さくなっても再発するため、
嚢胞だけでなく原因になった小唾液腺も摘出します。
術後は、多少腫れます。予後は、取り残しをすると再発することがありますが、
悪性化することはありません。また再発を予防する為に、
悪い習癖(咬唇癖、吸唇癖)などがあればその改善や、
のう胞部に接触する歯や、かぶせ物の鋭い角があれば除去して再発防止することも大切です。
状態によっては提携市中病院等に紹介させてもらうこともありますが、
気になる症状がある方は一度診察にお越しください。
2023/06/29
こんにちは。歯科医師の西田です。
梅雨入りしてしばらく経ちますが、
大雨の日と猛暑日が交代で訪れているような感覚です。
皆さま、お変わりはありませんか?
さて、今日のテーマは、子供の訪問歯科診療、です。
訪問歯科といえば、
患者様の大多数は高齢者ですが、
幼い子供さんも少数ながら需要はあるようです。
皆さまは、医療的ケア児という言葉を聞かれたことはありますか?
医療的ケア児とは、
身体障害や知的障害の有無に関わらず、
生きるために医療的なケアを必要とする子供さんのことをいいます。
近年の新生児医療の発達により、
都市部を中心に新生児集中治療室(NICU)が増設された結果、
超未熟児や先天的な疾病をもつ子供さんなど、
以前なら出産直後に亡くなっていたケースであっても
助かることが多くなってきました。
このような子供さんたちは、
NICU等に長期入院した後、自宅に帰られてからは、
ご家族様らによる医療的ケアを24時間体制で受けられています。
医療的ケアとは、
気管に溜まった痰を吸引する「痰吸引」や、
チューブを使って鼻やお腹の皮膚を通じて胃や腸に直接栄養を送る
「経管栄養」などを指します。
厚生労働省によると、
2005年の在宅医療ケア児の推計は約1万人と発表されていました。
しかし2019年には約2万人と2倍に増加しています。
1万人の人口のうち、医療的ケア児は1.5人と推測されています。
さらに、2021年6月、
医療ケア児とその家族の負担を軽減することを目的とした法律
「医療的ケア児支援法」が成立し、
同年9月18日に施行されました。
これにより、医療的ケア児の支援が自治体の努力義務であったのが、
自治体の責務となったのです。
これまで、医療的ケア児の子供さんは、
虫歯の多発、重度歯周病を発症してからの歯科受診が多く、
専門の医療機関での診療体制が不可欠でした。
制度の拡充により、地域のかかりつけ歯科医として、
できるだけ早期にそのような子供さんやご家族様と繋がり、
お口の健康管理を行い、
良好な成長発達に寄与していけたらと、考えております。
2023/06/22
こんにちは、歯科医師の秋田です。
梅雨入りしてからだんだん気温も上がり夏模様になってまいりました。
茹だるような暑さと共に疲れも溜まってまいりますのでお体に気をつけてお過ごしください。
さて、そんな疲れが溜まった時に歯茎が
腫れぼったくなったり痛みを感じることはありませんか?
原因は様々ありますが、今回は智歯周囲炎についてお話させていただきます。
まず、智歯とは親知らずの事です。
なぜ親知らずと呼ばれているかと言うのは諸説ありますので気になる方は調べてみてください。
智歯周囲炎とは、智歯が埋まったままで生えてこない場合や、
生えてきたとしても傾いていたり、
歯の一部が見えていてもそれ以上十分に生えててこない場合があります。
智歯はいちばん奥に位置するために歯磨きがしにくく不潔な状態となるため、
むし歯や周囲の炎症を引き起こしやすくなり、
智歯周囲の歯ぐきの痛みや腫れ、出血や膿が出る事が主な症状で、
症状がすすむと腫れは頬や首のあたりまで広がったり、
口が開きにくくなることもあります。
対処法としては、炎症のおきている歯ぐき周囲の洗浄や抗菌薬の投与をしますが、
ほとんどの場合再び汚れが溜まると痛みが再発します。原因治療としては、
抜歯をして原因を除去することが必要となります。
診療をしていると様子を見られる方が多いように見受けられますが、以下
・智歯が上下共に正常に生えてかみ合わせがあり機能している。
・現在既に智歯をブリッジの土台として利用している。
・奥歯(第一、二大臼歯)を抜歯する必要があり智歯を移植歯として利用できる。
の場合は積極的に抜歯しませんが、
その他の場合においては抜歯を検討されてはいかがでしょうか?
最後に余談にはなりますが、我々歯科医師はPell-GregoryやWinter分類
というものを用いて難易度を決定していると記載されているサイトもありますので
参考までに調べてみても良いかもしれません。
しかし、あくまでも私の考えですが、
上記2つの分類はその智歯がどこにあるのかなどを言葉で表現するために用いてるような
イメージを持っております。実際のところは患者様の年齢、
既往歴(持病や手術歴)、服薬状況、歯根形態、
等多岐にわたる情報を個別に精査し手術しております。
その上で抜歯適応かどうか、
専門の医療機関への紹介が必要かどうかなどについても個別に判断しますので、
気になられた方はお気軽にご相談ください。