2025/10/23
こんにちは。歯科医師の秋田です。
10月前半は暑かったですが、ここ最近急に冷え込むようになりました。
季節の変わり目は歯だけでなく全身に不調をきたす可能性がありますので
気をつけてお過ごしください。
寒くなってくると強張りが出てくるのが人の常で、
口腔関連で増加するのは顎関節症ではないでしょうか。
今回は顎関節症についてお話しします。
顎関節症は大きく4つに分類されます。

学術的でよくわからないですよね。
今回は簡単に代表的な症状、治療法について説明していきます。
まずⅠに該当される方は口を開けるのがしんどい、痛みを伴う方が該当します。
治療法としては積極的な介入はしませんが、
気になる方は痛み止めの処方で安静を図ります。
Ⅰの方は最も多いとされており、
近年では肩こりや頭痛との関連性も指摘されております。
また食いしばりによるものとの鑑別も必要で、
重症である場合は咀嚼筋腱腱膜過形成症と言う疾患に移行する可能性があり、
手術の適応となる場合もあります。
Ⅱに該当される方はⅠのような痛みを感じる他に顎の付け根(耳のやや前方)にも
痛みを伴う方になります。臨床的にはⅠやⅡへの治療法は相違ありませんが、
このⅡに分類される場合には柔らかいマウスピースを作製して顎関節の安静を図る事もあります。
Ⅲのa.bが自覚症状としてはわかりやすいと思います。
口を開けたら顎がカクカクと音がする方はaに分類されます。そんな時期もあったが、
最近は口が開く代わりにクシャッとあるいはメリメリと音がする様な気がする方はbに分類されます。
治療法は保存的(切らない治療)にする場合はⅠ.Ⅱ同様、痛み止めの処方、柔らかいマウスピースの作製をします。
硬いマウスピースを作製して噛み合わせを誘導する事で顎関節を安静に保つ事もあります。
臨床的にはここまで進行してしまうと可動化訓練も併用する必要があります。
具体的には当院で説明しますが、顎を一度前に誘導してから開口する。
それだけの訓練ですが、リラックス時にしていただくと有効です。
しかし、それでも改善しない場合はパンピングマニプレーションや関節腔洗浄療法、
関節鏡視下手術と言った外科療法が適応となる事もありますがその場合は近くの口腔外科に紹介する事になります。
Ⅳについては自覚症状はⅢbに類似していますし、診断をつけるためにもCT、MRI
を併用し診断をつけるため、当院で発覚する例は少ないです。
Ⅲbに準じた治療を進め改善がみられないため口腔外科に紹介して初めて診断がつく事が多いです。
以上のように一概に顎関節症と言えども多岐に渡る症状、
治療法がございますので気になる方はご相談頂けたらと幸いです。
2025/10/20
こんにちは。院長の谷田です。
10月13日はスポーツの日でしたね。
過ごしやすい気候の秋はスポーツを楽しむ方も多いかもしれません。
スポーツで力を発揮する上でも、しっかり噛みしめることができる健康な歯が重要です。
うまく噛めない、歯に痛みがあるといった場合にはどうぞお早めにご来院ください。
当院では、噛む力をしっかり取り戻す治療のひとつとして、インプラント治療にも力を入れています。
すべての手術はインプラント担当の歯科衛生士、経験豊富な院長、ベテランの担当医による「チーム医療」で実施。

また、CTデータに基づいたシミュレーションとガイドを活用しています。複数の目で慎重にチェックしながら、安全で精密な治療を提供いたします。
こうした体制により、当院のインプラント成功率は99.5%超えです。
噛める喜びを取り戻したい方は、ぜひ一度ご相談ください。”
【医院からのお知らせ】
昼休み無しで、1日を通して診療しています。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2025/10/16
入れ歯について⑥
こんにちは。訪問歯科医師阿部です。食欲の秋、皆様お食事を楽しんでいらっしゃいますでしょうか?
入れ歯をお使いの高齢者の方々にとって、入れ歯を安定させることはしっかり食べるためにとても重要です。
入れ歯の安定が悪く、痛い、外れてしまう、噛みにくい…そのようなときに、CMでおなじみの入れ歯安定剤を使ったことがある方も多いと思います。
今回は、そんな入れ歯安定剤について説明したいと思います。
●入れ歯安定剤とは
入れ歯安定剤とは、入れ歯があごに合わなくなって、口の中でガタガタする時に、
入れ歯を安定させたり、歯茎のいたみや不快感を一時的に軽減したりするための補助製品です。
あくまでも補助製品ですので、入れ歯が合わない、安定しないときは、まずは歯科できちんと入れ歯を修理.調整して、
お口に合った状態に改善してもらうことが大切です。
●入れ歯安定剤の種類
入れ歯安定剤には、主に、クリームタイプ、粉末タイプ、テープタイプ、クッションタイプの4種類があります。
① クリームタイプチューブから絞り出して入れ歯に塗ります。クリーム状で柔らかく伸ばしやすい材料です。粘着力が大きく長持ちするので人気です。
粘着力が強いので、使用後の口の中に残ったクリームの除去に、時間がかかります。
② 粉末タイプ入れ歯の裏面に均一にふりかけて使います。口の中の水分が粉末に混ざることで粘着力が出ます。
薄く塗布することができるので、入れ歯と歯茎の適合にほとんど影響を与えず、使用時に違和感が少ない材料です。
粘着力はやや劣るものの、使用後取り除くのが比較的簡単です。
③ テープタイプ水に湿らせて義歯内面に貼って使用します。つけ外しが簡単で、携帯に便利です。
④ クッションタイプゴム状のクッションで、義歯床と粘膜の隙間を埋めて固定します。
他の3つの材料と比べて汚れにくい一方で、吸着力が強く外しにくい面もあります。

●入れ歯安定剤の使いかた
①入れ歯と口腔内をきれいにする …安定剤がしっかり付着するために必要です。
②適量を使用する …分厚くなってかみあわせがわるくなることも。薄く均一に塗布することが大切です。

③入れ歯の装着 …入れ歯を装着したら、しっかり咬む、手で押さえるなどしてしっかり圧をかけ密着させることが重要です。
④定期的に取り替える …使用後は入れ歯を洗浄し、残った安定剤は取り除きましょう。
基本的に、入れ歯安定剤は応急処置として一時的に使用するものです。
入れ歯に不具合が生じたものの、すぐに歯科受診できない場合や、歯科医師に使用を勧められた場合に限り、活用するようにしてください。
安定剤を長く使い続けると、かみ合わせが悪くなったりあごの骨が痩せたりすることもあります。
使用はあくまでも一時的にとどめ、早めに歯科で入れ歯の修理、調整を受けましょう。

2025/10/09
こんにちは。歯科医師の毛利です。
朝晩が涼しくなり、過ごしやすい季節になってきましたね。気温の変化で体調を崩さないよう、
羽織るものを用意してお身体を冷やさないようにご注意ください。
今回は「TCH(上下歯列接触癖)」についてお話しします。
■ TCHとは?
TCHとは「Tooth Contacting Habit」の略で、日本語では「上下歯列接触癖」といいます。
本来、リラックスしている時は上下の歯の間に2〜3ミリほどのすき間(安静空隙)があり、
歯同士は接触していません。実際、上下の歯が触れ合うのは、食事や会話の時などを合わせても1日わずか20分程度とされています。
しかし、TCHのある方は無意識に長時間、上下の歯を接触させてしまう傾向があり、
これによってさまざまな問題が起こる可能性があります。

■ TCHによって起こる問題
TCHは以下のような不調の原因になることがあります。
・歯への負担:歯が欠けたり、詰め物が外れやすくなったりする。
・感覚異常:歯を支える歯根膜が圧迫されて貧血状態になり、噛み合わせの違和感や咬合痛を引き起こす。
・顎関節への影響:弱い力でも長時間の接触で筋肉が疲労し、顎関節症(口が開きにくい、音が鳴る、顎の筋肉の痛みなど)を招く
TCHがあるからといって必ずしも症状が出るわけではありませんが、
長期的には不快症状が現れる可能性が高くなるため、早期の段階で気付き改善しておくことが重要です。
■ TCHのチェック方法
以下の方法で、ご自身にTCHがあるかどうかを簡単に確認できます。
①姿勢を正して正面を向き、目を閉じる。
②唇を軽く閉じる。
③上下の歯が触れないように軽く離す。
この時に違和感を覚えるようであれば、TCHの傾向があるかもしれません。
■ TCHの原因
TCHの主な原因には、以下のような日常的な要因があります。
・パソコンやスマホを長時間使用し、前かがみの姿勢になることで、自然と歯が接触しやすくなる。
・日々の軽い緊張やストレスが持続し、無意識に歯を噛みしめてしまう。
■ TCHの改善方法
TCHは無意識の癖なので、意識してすぐにやめるのは難しいですが、次のような対策が有効です。
・意識づけ:
パソコンやテレビの近くに「歯を離す」と書いたふせんを貼り、
それを見るたびに歯を離す習慣をつける。
・リラックス習慣:
ストレス発散の方法を見つけ、心身をリラックスさせる。
・基本姿勢を意識する:
「唇を閉じて、上下の歯は離す、頬の筋肉の力を抜く」これを1日数回、意識的に練習してみる。
これらが「歯が触れないのが正しい」という新しい癖を作る第一歩になります。
■ まとめ
TCHは多くの方が無意識に行っている癖ですが、それに気づいていないケースがほとんどです。
「歯は食事や会話以外のときは触れないのが正常」という意識を持つことが、改善の第一歩になります。
もし、すでに顎や歯に違和感を感じている場合は、早めにご相談ください。マウスピースを使った治療や、
生活習慣のアドバイスなど、症状に応じたサポートを行っています。
この記事を読んで「今、歯がくっついてるかも…?」と感じた方は、
ぜひ今日から「歯を離す習慣」を始めてみてください。