2022/07/14
こんにちは。歯科医師の西田です。
今日は高血圧と歯科治療についてお話していこうと思います。
皆さんは歯科医院で治療を受ける前に、
「問診表」を記入したことがあると思います。
どこの医院の問診表にも
「今までにかかった病気はありますか?」
「現在服用されているお薬はありますか?」
という質問が登場しますよね。
なぜそんなことを聞くのか。
それは、体調や服用しているお薬が
歯科治療の進め方と大きく関係するからです。
それは高血圧でも同じです。
では、高血圧とはどんな病気でしょうか?
血圧とは、
心臓から全身に送り出された血液が
血管の壁を押すときの圧力のことで、
心臓が縮んだり広がったりすることで発生します。
上の血圧は
心臓が縮んで血液を送り出した時の収縮期血圧で、
下の血圧は
心臓が広がった時の拡張期血圧のことを言います。
上の血圧が140mmHg以上、
又は下の血圧が90mmHg以上、
あるいはこれら両方を満たす場合に
高血圧と診断されます。
高血圧の方は、
歯科治療の進め方に注意が必要です。
問題となる要因は、
麻酔と抜歯という処置内容、
それと治療時の緊張感です。
麻酔について。
麻酔薬には、
血管収縮剤という成分が含まれており、
これが原因で血圧が上昇する可能性があります。
歯科用局所麻酔も打った直後は
血圧が一時的に上昇します。
高血圧の方でも、
薬でコントロールされておれば心配ないことがほとんどですが、
麻酔後の観察は欠かせません。
抜歯について。
上の血圧が160mmHgを超えると、
抜歯後に血が止まりにくいことがあります。
そのため、治療前には
安静時の血圧や服用薬を必ず確認し、
処置の前後と処置中の血圧を測定させていただく場合があります。
歯科治療の緊張感について。
歯科治療は精神的、肉体的にストレスのかかるものです。
普段の血圧が正常範囲内であっても、
病院などで医療関係者に囲まれると緊張してしまい、
内因性カテコラミンと呼ばれる物質が
副腎皮質から合成・分泌され、血圧の上昇、発汗、動悸などが起こります。
術中の声かけをしっかりさせていただくのは、
患者さま方の緊張をほぐす目的もあります。
今や国民病として
多くの方が罹患されている高血圧。
外来・訪問を問わず、
歯科の現場でもよく遭遇する病気であります。
皆さまが安心して治療を受けて頂けるように、
当日のお体の調子のチェックと
それに合わせた処置を進めていきます。
2022/07/07
こんにちは。歯科医師の法貴です。
今年は梅雨も短く、急に暑くなってきたので体調管理には気をつけて下さい。
また、コロナの罹患者数もまた増加傾向になってきているので
気を引き締めて日常生活を送ってください。
歯科医院には様々な基礎疾患を有する患者さんが日常的に来院されます。
その中でも糖尿病を有する患者さんは近年増加の一途をたどっています。
今回は糖尿病と歯周病についてです。
糖尿病と歯周病は、ともに一度かかってしまうと体の重要な機能が失われ、
元に戻らないという大きな特徴があります。
両疾患ともその進行は音もなく忍び寄り、
重症化するまで目立った症状が出現しないことが多いです。
もっとも大きな類似点は食を中心とする生活習慣に影響を受ける病気である事です。
発症年齢が40歳前後から増加傾向にあることや、
家族歴がみられることなどの共通な特徴もあり、
糖尿病患者の多くは歯周病にも罹っていることが多いです。
糖尿病患者の歯科治療においては、口腔内に停滞するプラークをなくすことで
歯周組織破壊のお膳立てを無くすこと、
きめ細やかなケアによる全身的、局所的な環境改善が重要です。
歯周病は糖尿病の第6の合併症といわれるが他の合併症とは異なる性質を有しています。
糖尿病の3大合併症は細小血管症の神経障害、網膜症、腎症であり、
大血管障害は冠動脈疾患、脳血管障害ですが、歯周病は臨床的にはどちらかというと
細小血管障害に近いものと考えられます。
三大合併症は糖尿病に独自に見られる合併症ですが、
歯周病は糖尿病の存在とは関係なく発症するため、
現在では合併症というよりも糖尿病併存症と考えられています。
重度の糖尿病であっても歯周組織はきわめて健康といったこともあります。
2型糖尿病患者では非糖尿病の罹患期間が5年を超えると、
アタッチメントロスが大きくなり、歯周病が悪化する傾向があるなど、
糖尿病は歯周病に対する危険因子であることがわかっています。
一方で、歯周病が糖尿病に及ぼす影響についても、
歯周治療により慢性炎症が改善すると、インスリン抵抗性の軽減により
血糖値が改善するという報告が数多くあります。
歯周病と糖尿病には様々な関係があります。
定期的なメンテナンスで歯周病の進行抑制及び口腔内の細菌を減らすようにしてください。
気になることがあればいつでもタニダ歯科医院まで相談してください。
2022/07/06
こんにちは。院長の谷田です。
7月といえば、夏野菜が旬を迎える時期ですね。
夏野菜のなかでも、
きゅうりは汗をかきやすい夏にぴったり。
約95%を水分が占めているので、
食べれば水分補給もできる食材です。
そんなきゅうりの魅力は、
ポリポリとした歯ごたえ!
この歯ごたえを感じるためには、
お口の「ある組織」が深く関わっています。
◆歯ごたえを感じているのはどこ?
歯ごたえを感じているのは歯ではありません。
では、どこで歯ごたえを感じているのでしょうか?
歯ぐき?歯の神経?あごの骨?
実は…
このなかのどれでもありません。
歯ごたえは「歯根膜(しこんまく)」という
歯とあごの骨をつなぐ組織で感じ取っています。
◆0.3mmにある大切な役割
歯根膜の厚さは、なんと
たったの0.3mmほどしかありません。
とても薄い歯根膜ですが、
実は大切な役割があります。
それが「クッション」と「センサー」の役割です。
食べものを噛むとき、
歯にはとても強い力がかかっています。
歯根膜はその力をクッションのように
吸収・分散し、歯や骨を保護してくれています。
かたいものをガリッと噛んでしまっても
歯や周りの骨が無事なのは、歯根膜があってこそ!
また、歯根膜はセンサーの役割も担っており、
噛んだ時の「かたさ」や「感触」といった
微妙な刺激は、歯根膜が脳に伝えています。
そのおかげで、私たちは歯ごたえを感じられるのです。
他にも、食品のかたさに応じて
噛む力を調節することにも歯根膜は役立っています。
きゅうりのポリポリとした食感や
天ぷらのサクッとした食感を楽しめるのも
歯根膜があるおかげなのです。
◆歯根膜は一度失うと戻らない!
歯根膜は歯が抜けると
一緒にとれてしまいます。
たとえ、入れ歯やインプラントで
抜けた歯を補ったとしても、
歯根膜が元に戻ることはありません。
つまり、一度でも歯根膜を失ってしまうと、
ごはんを食べたときの食感も
一緒に失われてしまうのです。
そんな歯根膜を失わないために、
まずは自分自身の歯を守る必要があります。
「むし歯」や「歯周病」にならないために、
定期的に歯科医院でプロのクリーニングを受けて
きれいなお口を維持しましょう!
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2022/06/30
こんにちは。訪問担当の岩本です。
今回は、認知症の方に行う
口腔ケアについてお伝えします。
認知症患者さんは、疾患の進行に伴って
他者との意思疎通が難しくなってきますが、
決して何も感じなくなっているのではありません。
周囲のことが十分理解できなくなるため不安が増し、
ささいなことにも敏感になっています。
このため、ケアを行う側はまず
相手に安心感を与える努力が必要です。
口腔ケアの前には、必ず声掛けをします。
話を聞き取って理解する能力も低下していますので、
なるべく短く、簡単な構文で、普通の会話よりもゆっくりと話します。
このとき言葉だけではなく、言葉の抑揚や表情、しぐさも交えて
よりわかりやすい表現を心がけます。
また、ケアは決まった時間に習慣化して行うようにします。
認知機能が衰えてくると臨機応変な判断が難しくなるため、
色々なタイミングで突然ケアが始まることは精神的混乱の原因となります。
歯磨きを行う時は
歯ブラシをいきなり口の中に入れることは避けましょう。
口から離れた、肩や腕などからさりげなく手のひらで触れていき、
そこから頬、顎、唇というように
だんだんと口に近いところを触るようにします。
このように行うことで、身体に触れられることへの
抵抗感を少なくすることが出来ます。
患者さんによっては、唾液分泌が落ちていて乾燥し唇が荒れ
口を開けるだけで痛むこともありますので、
そういった場合は
あらかじめリップクリームを
塗ってあげるなどの配慮も必要です。
口腔ケアを受けること自体を
拒否されることもよくありますが、
拒否に対して叱ったり、命令することは
患者さんをさらに興奮させるため逆効果となります。
このような場合は
拒否の理由について考えてみます。
「歯くらい自分で磨ける」というプライドの問題
「風呂上りでとても疲れている」など体調やタイミングの問題
というように、ご本人の納得を得られる工夫が可能な理由であれば
なるべく自尊心を尊重するやり取りを心がけたり、
ケアのタイミングを見計らう、などの対策をとるようにします。
重度の認知症で、意思疎通が難しいため
介護抵抗が強く攻撃的な方に
口腔ケアを行う場合は、
お互いがケガをしないように注意しなければなりません。
ケアを行う側は嚙まれないよう、
不用意に上下の歯の間に指を入れないようにします。
はじめから「何が何でも全部キレイにしなくては!」
と無理をする必要はありません。
上下の歯を食いしばっていても、唇の端を少し開いて
スポンジブラシを頬の内側に入れることは比較的簡単です。
最初のうちはそうやって歯の外側と頬粘膜の内面についた
汚れを落とすことから始めます。
慣れてくると、ふとしたタイミングで口が開くこともありますので、
その時に素早く内側を磨くようにします。
この時も歯の内側に入れるのは器具だけにとどめ、
指は入れないようにしましょう。
通常の歯磨きでは、最後に水で口をゆすぎますが、
認知症が進むとその洗口すら出来なくなってきます。
含んだ水をそのまま飲み込んでしまったり、
その際に誤嚥してしまうこともあります。
そのような方の場合は口腔用ウェットティッシュ等で
汚れを拭き取って終了します。
認知症の方は口の中に異常があって痛むときでも
上手く伝えられないことがあります。
介護者が口腔ケアをお手伝いすることは
異常の早期発見にもつながります。