タニダ歯科医院について

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

「安全に美味しく⑤〜摂食・嚥下障害に対する精密検査〜」

こんにちは、歯科医師の村重です。
ようやく街も色付きはじめて、
秋を感じられるようになりましたね。
最近は一年のうち過ごしやすい時期が短いので、
この季節を精一杯楽しみたいと思います。
さて前回は摂食・嚥下障害のスクリーニング検査
(簡易検査)についてご説明しましたが、
今回は精密検査にあたるVE(嚥下内視鏡検査)及び
VF(嚥下造影検査)をご紹介します。

①VE(嚥下内視鏡検査)
この検査は、鼻咽腔ファイバーという内視鏡をのど(咽頭)に
入れ、食物の飲み込み(嚥下)の様子を観察する検査で、
唾液や喀痰の貯留の有無、食物を飲み込んだ後の咽頭内への
食物の残留の有無や気管への流入(誤嚥:ごえん)などを
評価することができます。また、嚥下に影響を与える
ことのある声帯の動きも評価することができます。

実際の手順としては、鼻の穴(鼻腔)から細い内視鏡を入れ
、のど(咽頭)の様子を観察します。その後、内視鏡を入れたまま、
見やすいように食紅などで着色したとろみつきの水、
とろみのない水、ゼリー、または実際のお食事の一部などを
飲み込んでいただきます。

VF(嚥下造影検査)と異なり、造影剤を用いたりレントゲン室に
出向いたりする必要はありません。
実際のお食事を食べて飲み込む際ののど(咽頭)の様子を
じかに観察できるのがこの検査の大きな利点です。
その一方で実際に嚥下反射が起こる瞬間は、内視鏡の先に
粘膜が触れるため、画面が真っ白になり
見ることができないという欠点があります。

②VF(嚥下造影検査)
この検査は、X線を用いて食物の飲み込みの様子を観察するもので、
嚥下時の食塊の通過の状態、喉頭、咽頭への貯留の有無、
誤嚥(ごえん)の有無を確認することができます。
嚥下障害がどの部位の障害で起こっているのか、
誤嚥(気管への流入)の有無、またどのような食べ物であれば
安全に食べることができるか、どのような姿勢で食べれば
安全に食べることができるかを評価することができます。

実際の手順としては、X線による透視下で、造影剤を混ぜた、
コーヒー、とろみの付いたコーヒー、ゼリー、
または実際のお食事の一部を飲み込んでいただきます。

X線による被曝や、レントゲン室での検査のため、
実際に患者さんに出向いていただく必要があるのが欠点ですが、
VE(嚥下内視鏡検査)では見ることのできない、
嚥下反射の起きる瞬間についても評価できるという利点があります。

次回は、これらの検査の結果に基づく対応についてご紹介します。

口内炎について

こんにちは。歯科医師の西田です。

朝晩だいぶ過ごしやすい気候となってきました。
食欲の秋の到来です。
今年の夏は異例の早さの梅雨明けから始まった猛暑の夏でした。
お疲れの溜まっている方も多いでしょう。
そんな時期によくお口の粘膜に発生する痛~い口内炎について、
今日はお話ししていこうと思います。

口内炎とは、
文字通り「口の中の粘膜に起こる炎症」のこと。
口内炎は、頬の内側や舌、唇など
口の中ならどこでもできる可能性があります。
イランの研究では、
最も多いアフタ性の口内炎の有病率は25.2%と報告されています。
また、スウェーデンの報告でも有病率は17.7%と報告されており、
4~5人に1人は口内炎にかかっていると推測されます。
では、口内炎の原因は何でしょうか?
原因不明のことも多いですが、
お口の中を噛んでしまった、入れ歯や虫歯などがある、やけど、
食べ物や薬などへの過敏症、栄養の偏った食事、
唾液の減少、ストレスや生活リズムの乱れ、
クローン病・ベーチェット病などの疾患などが、原因になりえます。

口内炎の治療について。
いわゆる「口内炎」の原因によっても大きく異なりますが、
代表的な薬や治し方は以下の通りです。

①塗り薬で治す方法。
口内炎は「口の中の炎症」なので、炎症を抑える治療が基本になります。
ステロイドの塗り薬を使うことが一般的ですが、
口の中で膜を張るような塗り薬や、貼るタイプで
なめとられないようにする薬などが使用されます。

②うがい薬で治す方法。
口内炎で使われるのは炎症を抑える成分を含むうがい薬です。

③飲み薬
鉄欠乏性貧血やビタミン・亜鉛不足により口内炎が繰り返す場合は、
内服薬でコントロールする場合があります。
また、口腔内ヘルペスの場合は抗ウイルス薬が必要になることも。

④歯科治療。
口内炎の原因によっては、
歯の矯正や入れ歯の素材の入れ替えなど、
歯の治療が必要になるケースがあります。
また、治りにくい場合などは口内炎に似た別の病気である可能性もあります。
扁平苔鮮・類天疱瘡・白板症・癌が疑われる場合などは、
口腔外科への受診が必要となります。
では、毎日の生活で何に気を付けたら良いのでしょうか?
食事のバランスに注意し
(刺激物を控える、粘膜の再生を促すビタミンB群や葉酸を含む食べ物を摂る、鉄や亜鉛などのミネラルを摂る)、
お口の中を清潔に保つ、生活リズムを整えてストレスを軽減するなど、
健康的な生活を意識して送ることが大切なようです。

痛みを知らせるだけではない?神経の役割とは!

 

こんにちは。院長の谷田です。
秋が深まる10月は栗がよく採れる季節。

 

食べものとして親しまれる栗は、
染物の材料としても活躍します。
なかでもイガの部分を使うと、
落ち着いた風合いの茶色が楽しめるそうです。

 

 

ところで、イガのような尖ったものを触ると、
チクチクとした刺激を感じますよね?
このような感覚があるのは、
皮膚に神経が通っているためです。

 

実は、私たちの『歯』にも神経が通っており、
「むし歯が痛む」のは、
この『神経』が関係しているのです。

 

 

 

 

◆むし歯が神経まで達すると…

 

むし歯ができた際、
ズキズキとしたひどい痛みを感じるのは、
むし歯菌が「歯髄(しずい)」と呼ばれる
歯の内側の神経組織を攻撃しているためです。

 

歯髄まで達するほど大きいむし歯ができてしまうと、
細菌によって神経が侵されてしまうため、
「歯髄をすべてとり除く処置」をしなくてはなりません。

 

 

 

 

 

◆できれば「神経」はとりたくない…

 

神経をとると、当然ながら
痛みを感じることがなくなります。

 

そのため、
一度「歯髄をとる治療」を経験すると、
次にむし歯になったときに、小さなむし歯でも
「痛いからすぐに神経をとってほしい!」
と考えてしまう方もいらっしゃいます。

 

しかし、それは大きな間違いです!

 

なぜなら歯髄には、
「歯に栄養を運ぶ」という、
とても大切な役割があるためです。

 

歯髄をとってしまうと
本来なら運ばれるはずの栄養が失われるため、
歯は枯れ木のようにもろくなります。

 

そうなってしまえば、
欠けたり、ひび割れたりするなど、
確実に寿命が短くなってしまうのです。

 

 

 

そう、丈夫で健康な歯でいられるのは、
歯髄(神経)があるおかげなのです。

 

 

 

 

◆歯髄(神経)が無くても「むし歯にはなる」!

 

歯髄(神経)が無くなると痛みを感じなくなりますが、
「むし歯にならない」わけではありません!

 

 

逆に言えば、歯髄をとってしまうと
むし歯が進行しても、すぐ気づくことができず、
気づいた頃には、もう歯がボロボロに…
ということも珍しくないのです。

 

 

 

 

◆歯の寿命を延ばすために大切なこと

 

健康で丈夫な歯を残し、
一生豊かな食生活を送る
ためには、
やはり『神経を残すこと』は欠かせません。

 

 

もちろん、どうしても我慢できないほど痛むときや、
重度のむし歯にはやむを得ず神経をとることを
ご提案させていただくこともあります。

 

しかし、
「神経をとればすべて解決!」

 

…というわけではありません。

 

 

むしろ神経をとった歯は、
むし歯の発見が遅れないように
定期検診で注意深く
チェックする必要
があります。

 

 

また、
「神経の残っている歯」がむし歯になっても、
定期検診に通っていれば早期発見ができるため、
神経をとらずに済む可能性が高まります。

 

 

 

 

お口には『むし歯』だけではなく、
『歯周病』をはじめとした
自覚のない病気が他にも潜んでいます。

 

 

定期検診は、そうした
「隠れた病気」を見つけ出す
とても重要な機会です。

 

皆さまの歯を守るため、
ぜひ習慣づけていただければ幸いです!

 

 

 

タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE

見逃し厳禁!隠れ歯周病

口の終活

こんにちは。

訪問担当歯科医師の岩本です。

 

皆様は「8020運動」を

ご存じでしょうか。

1989年(平成元年)から

当時の厚生省と日本歯科医師会によって推進された、

 

「80歳になっても20本以上

自分の歯を保とう」

という運動です。

 

これには

「生涯自分の歯で食べる楽しみを

味わえるように」

との願いが込められており、

現在では5割を超える達成率だそうです。

 

訪問診療を続けていると、

確かに昔と比べて

歯がたくさん残っている方が

増えていると感じます。

80代になっても

硬いものが噛める方も

いらっしゃいます。

 

ですがその一方で、超高齢化が進み、

人生の最晩年においては

歯が残っていることにより

却って大変になっているケースも多いのです。

 

上の画像で、歯に纏わりついている

白い部分は歯垢(プラーク)と呼ばれるものです。

 

虫歯や歯周病の元となる歯垢は

歯の周りに住み着いた細菌が

作り出しています。

歯(住み着く場所)が無ければ

歯垢は作られません。

 

心身の衰えにより

口腔清掃もままならず、

また唾液などの自浄作用も衰えた

高齢者のお口の中に

歯が多く残っていれば

それだけ細菌の数が多くなり、

虫歯や歯周病、さらには

誤嚥性肺炎を引き起こすリスクも

高くなります。

 

また、一部分だけに単独で

歯が残っているようなケースでは

その歯が歯肉や唇に食い込み、

ひどい傷が出来ることもあります。

 

このような状態が

なるべく起こらないように、

ご本人が比較的お元気なうちから

あらかじめ衛生管理しやすい

環境に持っていくことはいわば

口の「終活」とも言えます。

 

日本歯科大学教授の菊谷武先生は

口の終活を考え始める目安として、

以下のような項目を挙げています。

 

・75歳以上である

・「フレイル」と診断された

・診療中の「むせ」が頻繁になった

・口腔内が不潔になってきた

・根面う蝕が頻発した

・認知症と診断された

・神経筋疾患(パーキンソン病など)と診断された

 

これらの項目のいくつかは、

ご家族や介護者の方でも

気づくことが出来ます。

 

終活の具体的な処置としては、

 

・機能させられない義歯は使わないようにする

(義歯の誤飲予防、衛生状態改善のため)

・粘膜を傷つけている歯を削って丸める、または抜歯する

・ぐらついて抜けそうな歯を抜歯する

(脱落歯誤嚥の予防)

 

などを行います。

 

注水しながら機械で歯を削る、

麻酔して抜歯する等は

その時のご本人の体調により

難しい場合もあります。

だからこそ、早い時期から

将来を予測して対策をとることが

重要です。