2024/09/03
こんにちは。院長の谷田です。
今年は9月16日が敬老の日ですね。
お年寄りを敬い、
長寿を願う日ということで、
ご高齢のご家族へお祝いをする方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
年を重ねても若々しく
元気に過ごしたいものですが、
実は、加齢による衰えと
お口の状態には深い関わりがあるのです。
そこで今回は、
心身の衰えにつながりうるお口の機能低下、
オーラルフレイルについてお話ししていきます。
◆そのお口の変化
実はオーラルフレイルかも?
食事をしていて、以前よりも
「むせやすくなった」
「食べこぼしが増えた」
と感じたことはないでしょうか。
オーラルフレイルとは、
このような日常で感じる
”お口のささいな衰え”のことで、
「健康な状態」と
「お口の機能が低下した状態」の
ちょうど中間に当たります。
この段階で適切な対応を行えば、
元の健康な状態に戻れるのが
オーラルフレイルの大きな特徴です。
一方で、日常生活において、
このようなささいな衰えは
「年をとれば仕方のないこと」
と軽視しがちで、
そのまま放置してしまう方も
少なくありません。
◆放置厳禁!
オーラルフレイルが要介護の原因に!?
オーラルフレイルを放置すると、
その先にはさまざまなリスクが
待ち受けています。
たとえば、「噛みにくい」という状態が続くと、
人はおのずとやわらかい食品を
好んで食べるようになります。
その結果、噛む筋肉がますます弱くなり、
やがて噛めなくなるという
お口の機能低下に至ってしまいます。
このように、はじめは
「噛みにくい」「飲み込みにくい」
だったものが、次第に
「噛めない」「飲み込めない」
という機能低下に至ってしまうのが、
オーラルフレイルの怖いところです。
さらに、オーラルフレイルは
お口の問題だけにとどまらず、
全身の衰え(身体的フレイル)にも影響します。
ある調査では、オーラルフレイルの人は
そうでない人と比べて、
要介護になるリスクが約2.4倍、
4年以内に亡くなるリスクが約2倍になると
報告されています。
オーラルフレイルが原因で
要介護に至ってしまうと、
元の健康な状態に戻すのは難しくなります。
したがって、ほんの少しの衰えも
「年のせい」と軽く見ず、
早め早めに対処していくことが肝心です。
◆ささいな変化に気づくことから!
早期対応が大切です
食べこぼしや、むせやすくなるほか、
お口の渇きや
普段の会話で言葉をはっきり発音できないなど、
これらに身に覚えがある場合は、
オーラルフレイルが疑われます。
大切なのは、
オーラルフレイルを自覚したら
早期の機能改善に取り組むことです。
いつまでもおいしく食事を楽しみ、
健康的な生活を送るためにも、
早めに歯科医院で相談し、
適切な指導を受けましょう!
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2024/08/29
こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
訪問診療に携わり、高齢者や障がい者の方々と接する機会が一般診療よりも多くなりました。
何らかの基礎疾患を持っておられる方がほとんどで、治療の際には負担が少なく済むようにと
大変な緊張感が伴います。
そんななか「ちょっと血圧が高いくらいで他は健康です。血液サラサラのお薬も飲んでないです。」と
おっしゃる方がいます。高血圧について深く考えたことはありますか。
厚生労働省の情報提供(e-ヘルスネット)によると20歳以上の国民のおよそ2人に1人は高血圧であり、
喫煙と並んで日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因としています。
表は日本高血圧学会の高血圧診断基準です。
診察室血圧と家庭血圧とがありますが、これらは測定場所によって分けられており、
前者は病院の診察室で測定した血圧、後者は家庭用の血圧計や24時間携帯型自動血圧計で測定した血圧のことです。
高血圧には原因不明の本態性高血圧と二次性高血圧があり患者の約90%は本態性高血圧とされています。
症状としては頭痛、めまい、肩凝り等があるも、統計的にはこれらの症状の頻度は高血圧の程度と
ほとんど関係がなく自覚症状にも特徴的なものはないようです。
したがって検診等で早期に発見し、治療・管理しなければ高血圧の進展とともに
やがて心臓、脳、眼、腎臓および血管等に合併症がみられ症状が出現するのはこの時期であり、
これらの合併症がしばしば致命的となります。
血圧を上昇させる因子として、食塩過剰摂取、喫煙習慣、寒冷、肥満、アルコールの過飲、
持続する精神的ストレス(緊張、不安、恐怖、怒りなど)、運動不足、高インスリン血症などが挙げられます。
さらに血圧値は季節、温度、時刻、精神緊張、運動、食事、排泄、入浴など多くの日常生活の中でも
容易に変動します。
したがって、個人の血圧値は一度の測定で断定をせず、いろいろな状況で数回測定してから判断するべきでしょう。
特に近年、24時間血圧を追続的に測定した結果から、1日のうち血圧値の変動幅が大きいほど前述した
臓器障害を発症する頻度が高くなるともいわれています。
このように少しの環境変化で変動する血圧。
歯科治療中に血圧は多少とも上昇しますが、特に高血圧の患者では元々の血圧が高いだけでなく
痛み、恐怖に対する反応も強い為、治療中はかなり血圧値の上昇を示すことが多く、老齢者高血圧患者では、
圧反射による血圧の調整機能が低下している為、血圧は簡単に上昇のみならず下降することもあるのです。
「ちょっと血圧が高いだけ…。」
これは大切な情報なのですよ。
2024/08/22
こんにちは。歯科医師の森岡です。
今回は子供の虫歯の発生メカニズムと
その予防方法についてお話しします。
まず最初に、3歳までに子供を虫歯菌から
守ることができれば、
その子は生涯虫歯にならない可能性があります。
虫歯は再発が多く、一度虫歯になってしまうと
治療を繰り返さなければならなくなり、
歯の寿命が短くなることがあります。
これには十分な注意が必要です。
今回のブログで、虫歯からお子さんを守るために、
子供の虫歯について知っていただけたら幸いです。
虫歯予防において歯磨きは非常に重要ですが、
それ以前にできることがあります。
まずは虫歯の成り立ちについて説明します。
虫歯は、歯、糖質(虫歯菌のエサ)、虫歯菌、時間
の4つの要因が重なることで発生すると言われています。
つまり、これらのうち1つでも欠ければ虫歯はできません。
たとえば、歯に糖質が付着していても、
虫歯菌がなければ虫歯は進行しませんし、
虫歯菌がいても、糖質がないと虫歯は発生しません。
また、糖質が短時間付着しただけでは虫歯にはなりません。
先述の4つの要因のうち、
どれか1つを防ぐことで虫歯を予防できるのです。
次に、虫歯菌はどこからやってくるのでしょうか。
これは周囲の大人や虫歯菌を保有している兄姉から移ります。
感染経路としては、食器の共有や頬擦り、
キスなどの愛情表現が考えられます。
虫歯菌は硬い組織に定着しやすいです。
お子さんの口の中に虫歯菌が入ってきても、
歯がなければ定着することはありません。
乳臼歯(乳歯の奥歯)が生え始めるのは2歳前後から3歳くらいで、
この時期に虫歯菌が定着しやすくなります。
この時期の虫歯菌の定着が重要で、
「虫歯の感染の窓」と呼ばれる時期です。
この時期に虫歯菌が定着しなければ、
一生虫歯になりにくい口内環境が整うと考えられています。
大切なのは、最初の虫歯を防ぐことです。
そのためには、家族の虫歯菌を減らす
(家庭での歯磨きの徹底や歯科でのクリーニング)、
食器の共有を控えるなどの対策が有効です。
一度虫歯になってしまうと、虫歯の負のスパイラルに入ってしまい、
結果的に歯を失う原因になることが多くなります。
虫歯予防の最も重要なポイントは、
最初の虫歯を作らないことです。まずはこれを意識してください。
ただし、3歳以降に虫歯ができてしまった場合でも、
あきらめないでください。3歳以降は、
永久歯が生え揃うまでにダラダラ食べなどの習慣を改善し、
歯のクリーニングやフッ素塗布などで虫歯予防の環境を整えましょう。
この環境作りが、永久歯での虫歯ゼロにつながることは間違いありません。