2025/05/02
こんにちは。院長の谷田です。
5月5日はこどもの日ですね。
この時期に飾る五月人形には、
病気などの災いから守ってくれるように、
といった願いも込められています。
しかし、幼いうちは病気にかかりやすく、
特に目に見えないウイルスによる感染症は
十分な注意が必要です。
中でもお口の中に違和感や痛みを覚えた場合、
その原因はウイルスの感染であることが
多くあります。
とりわけ幼児期にかかりやすいものも多く、
感染すると、慣れない症状に
戸惑うことも考えられます。
そうならないためにも、
今回は代表的な症状と、治療法をご紹介します。
◆ヘルペス性口内炎
単純ヘルペスウイルスに
初めて感染したときに発症する病気です。
6歳以下の子どもに多く、
感染してから4~5日で発症し、
発熱や全身のだるさがあらわれます。
お口の中の症状では
「口内炎が複数できる」「歯ぐきが赤く腫れる」
「粘膜や舌に水ぶくれができて痛い」
などが代表的です。
治療は安静が基本で、
抗ウイルス薬の飲み薬や
塗り薬が処方されます。
ただ、痛みで食事が取れないほど重症な場合は、
入院のうえ、点滴などで栄養を補いつつ、
治療が必要になることもあります。
◆帯状疱疹(たいじょうほうしん)
子どもの頃にかかった
「水ぼうそう」のウイルスが、
体調不良や免疫力の低下をきっかけに
再び活動し始めることで起こる病気です。
体の左右のどちらかに
痛みやかゆみをともなう
発疹があらわれるほか、
チクチクと針で刺されたような
痛みが生じることがあります。
お口の中では、
左右どちらかに赤みや水ぶくれが
帯状にあらわれるのが特徴です。
治療には抗ウイルス薬や
痛み止めのほか、
口内を清潔に保つために
うがい薬やトローチなどを用いることもあります。
◆ヘルパンギーナ
コクサッキーウイルスA群による感染症で、
1~4歳の子どもに多く、
夏に流行しやすいのが特徴です。
症状としては発熱のほか、
喉の奥に赤みや水ぶくれができ、
つぶれると小さな潰瘍になります。
喉の痛みが強くなると、
食事や哺乳が難しくなることも
少なくありません。
ただし、1週間程度で自然に治ることが多いため、
基本は水分や栄養の補給を欠かさず、
必要に応じて痛み止めなどを使用します。
◆手足口病
コクサッキーウイルスや
エンテロウイルスによる感染症で、
1~5歳の子どもに多くみられます。
感染から数日後に、手足や口に
小さな水ぶくれができるのが特徴です。
また、発熱を伴うこともありますが、
長期的に高熱が続くことは
通常はありません。
ヘルパンギーナと同様に、
お口の中やその周りに水ぶくれができると、
痛みで食事や哺乳が難しくなることもありますが、
多くの場合は自然に治ります。
また、症状が強い場合は、
痛みや発熱をやわらげる治療を行います。
◆気になる症状は
早めに歯科医院でチェックを
お口の中に症状がでるウイルス疾患は、
初期の段階で口内炎やむし歯の痛みと
区別がつきにくいことも少なくありません。
そのため、対処を間違えると
かえって重症化するおそれもあります。
お口に関する症状で判断に迷うことがあれば、
まずはお早めに当院へご相談ください。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2025/05/01
こんにちは。歯科医師の村重です。
前回のブログでは皆さんが普段聞きなれない「摂食・嚥下」という概念について紹介させていただきました。
今回はその続きとして、原因やそれにより引き起こされる誤嚥といった内容を掘り下げていこうと思います。
さて、摂食・嚥下に障害が起こることで安全に口から食事を行うことが困難になり、
前回紹介したような症状がサインとしてあらわれてきますが、それらはどういった要因で起こるのでしょうか。
食べ物が口腔内から咽頭、食道、胃へと運ばれるまでには多くの器官が関わっていますが、
摂食・嚥下障害はこれらの器官が何らかの理由で上手く働かないことが原因で起こります。
それらを大きく分けると以下の2つに分類できます。
●器質的原因
嚥下に関わる口腔内から胃までの気管に食べ物の通過を妨げる構造上の問題があり、
うまく嚥下ができなくなるケースです。中でも多いのは、口内炎や喉頭がんによる腫瘍、
炎症などです。唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)などの先天的な奇形が原因となることもあります。
●機能的原因
器官の構造そのものには問題がなく、それらを動かす筋肉や神経に問題があって嚥下機能が衰えるケースです。
運動麻痺や認知機能障害を引き起こす「脳血管疾患(=脳卒中)」、
または「パーキンソン病」に代表される神経と筋肉の伝達異常が生じる「神経筋疾患」が原因の可能性があります。
以上の2つに加えて高齢者においては、加齢に伴い、摂食・嚥下面の様々な機能低下を生じてきます。
例えば、歯の数が減少すると食塊形成には不利となります。嚥下反射(飲み込みの反射)はゆっくり始まるようになります。
咳の反射が低下して、あまりむせなくなります。小さな脳梗塞は加齢とともに増加し、嚥下機能に影響を及ぼします。
また、薬剤の影響としては、抗コリン薬や抗ヒスタミン薬の服用により、
唾液分泌は抑制されます。抗てんかん薬や抗精神薬は嚥下反射を抑制します。
このように様々な原因によって摂食・嚥下に障害があらわれた際に、一番の問題となるのは「誤嚥」です。
誤嚥とは食道に送り込まれるべき食塊や水分が何らかの原因で声門を越えて気管や肺に入ってしまった状態を意味します。
誤嚥をした場合、通常は激しくむせて誤嚥物を喀出しようとする防御機構が働きます。これを顕性誤嚥といいます。
しかし、気管の感覚低下などにより、誤嚥してもむせや咳嗽などの反応がない場合もあります。
これを、不顕性誤嚥といいます。不顕性誤嚥では外見上、誤嚥しているか否かが判断できないため、
誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
現在、誤嚥性肺炎は大変問題になっており、
最新の統計では日本人の死因第7位となっています(2017年の統計より肺炎から独立)。
では、次回は摂食・嚥下障害に対する診査、診断方法についてお伝えしようと思います。
2025/04/24
こんにちは。歯科医師の西田です。ゴールデンウィークが目前ですね。皆さまは長期休暇のご予定は立てられましたか?